"it's time" 29 November 2008
NATIVE / Marchenco
NATIVE
2004年の11月にInpartmaintからリリースされたネイティヴの " Snobbism " を手にしてからもう4年もの時が経っている。当時の彼らの音楽はそのアルバムの収録曲 " Zoo " に象徴される中村智由のアルトサックスと椎原寛基のギターがクールに絡み、そのなかをフランス語のポエトリーディングが織り込まれるスタイリッシュなジャズボッサ、カフェミュージック的でモーダルなグルーヴを持つものでボクはもう既にニッポンでのnu jazzの始まりをこの " Snobbism " とネイティヴの音楽にみていた。そのアルバムはニッポンよりもヨーロッパでの耳の肥えたクラブジャズ・ファンや業界人に支持され、一時タイムワープレーベルからもリリースされるという噂が流れたほどだった。ネイティヴが結成されたのは99年で、当時すでに2枚の自主制作アルバムを発表していたし、そのアルバム " Snobbism " でのグルーヴを聴いて、いずれフィンランドのリッキーチックから2003-4年にかけてリリースされていたファイヴ・コーナーズ・クインテットの " Trading Eights / Blueprint " (RT001)、" The Devil Kicks" (RT002)、" Different Corners EP " (RT003)の3枚の10インチシングルでのスタイリッシュ・ジャズ、ポストモダンジャズの流れに組込まれるであろう新たなジャズの始まりをも予感していた。
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その後、ピアノの杉丸太一の新加入というメンバーチェンジがあり、05年の " Intention "、'06年のアルバム " Upstairs " を発表した後、予想通り'06-'07年の春にかけてドイツのInfracom!から " Guess Who ( For A While - native Jazz It Up version ) "、" Historory is pershaped (What nature brings - native rmx) "、ニコラ・コンテによる" Prussian Blue "のリワークのシングルとそれを含めたアルバムが立て続けにリリースされ、ネイティヴはニッポンでのnu jazzの先駆者として冠たる存在として成功を収めることになる。"jaz' room nu thingでは、彼らのイヴェントを一昨年までは夜を通して行われるクラブイヴェントとして位置づけ展開し、それなりの動員数もあり成功を収めはしたが、nu jazzやclub Jazzに集うクラウドというパーティピープルの存在とネイティヴの本質的な音楽とのギャップなどに疑問がわき、去年からはクラブやダンスミュージックという記号を排除し、ひとつの生ジャズライヴ/ギグとして展開してきた。このニッポンでネイティヴの音楽と存在の重要さに果たしてどれほどのひとが気付いているのだろうか。ネイティヴの音楽はもはやクラブジャズやダンスカルチャーに位置づけるものじゃないかも知れない。彼らの音楽は21世紀に対応するジャズの新しい方法論であり。ジャズの未来を予見したものである。nu jazzが少々社会的に認知されだし、大学のジャズ研の延長線上や、サラリーマンをやりながら趣味でnu jazzの領域に侵入してくるアマチュア・ジャズミュージシャンも多くなった昨今、中村智由、大久保健一、山下佳孝、杉丸太一たちで構成されるネイティヴは一種の頭脳集団でもあり、生粋のプロのジャズミュージシャンでもある。メンバー間のコミュニケーションと志がこれほど信頼感で固く結ばれているのも奇跡だ。プロのジャズミュージシャンが何年も固定されたメンバーで活動することがどんなに至難なことか、それが可能なのは、なによりもリーダーの中村智由の懐のひろい人間性にあるのだが。昨夜のネイティヴのイヴェント" It's Time! "は、現在のネイティヴジャズに無くてはならない堀嵜ひろきのパーカッションまでもが見事に溶け込み、もはや堂々と世界を相手にしても揺らぐことのないひとまわりも、ふたまわりも成長しスケールが大きくなったグルーヴとサウンドが空間を占領していたし、観客を湧かせていた。
29 sat pm19:30-pm23:00
"IT'S TIME"
Native
中村智由(sax&flute) 大久保健一(b)
山下佳孝(ds) 杉丸太一(p)
堀嵜ひろき(per)
Marchenco
この夜のネイティヴの対バンとしてnu thingsで初ステージを踏んだ、今後注目に値するユニットが表出してきた。ジャズの世界で活動するマリンバ、ヴィブラフォン奏者の影山朋子率いる7人編成の新しいユニット " Marchenco " (メルヘンコ)だ。" 待ち合わせ "、" 海遊館 "、" 星空と "、"しんとした"、" すずのマーチ "という曲のタイトルからも想像できるだろうが、ユニット名からフィンランドのファッション、インテリア、バッグ、生活雑貨などを取り扱う有名ブランド"マリメッコ"のカラフルな花柄のテキスタイル・デザインをイメージさせられ影山朋子らしい、とても女の子ぽくってかわいい世界を描いていた。
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音楽的にはジャズという太い幹にフリー、ロック、ポップスという葉っぱが散りばめられた過去には聴いたことの無い、誰もやったことのない新らしい感覚を持つ未体験な " ジャズ的なる " アヴァンポップ世界を繰り広げていた。" ロック " や" 雨の日 "、" 朱色のへや "という曲では影山朋子のヴォーカルも聴けるというおまけ付き。現代の20歳世代のミュージシャンの頭の中を覗き込むと、きっと様々な音楽がポテンシャルに混在して詰め込まれていて、彼女たちが音楽創造するときには、自然とそれらが具象化されたポストモダン世界が描かれるのだろう。すべての21世紀音楽は、このメルヘンコの音楽のようにジャズにもフリーにもポップにもロックにもカテゴライズされないものであることに違いないだろう。それでいてメルヘンコの音楽は誰も手をつけたことのない斬新で新感覚な幻想的世界でもあった。彼女たちの今後の活動と、ヨーロッパの飛び出し絵本のページをめくると聴こえてきそうな夢の世界がどこまで広がっていくのか、楽しみでもある。こういう世界が描けるのも影山朋子が音楽理論をきちんと押さえ学んだプロのジャズ・ミュージシャンだからこそ可能なのである。
Marchenco
kage(vib) nozu(gt)
yohey(tp) ameck(p)
mochie(electric-per) koichi hara(ba)
ミレ(ds)