From the futurism to the spiritual jazz
未来派・ Futurismo・ Futurism・ フトゥリズモ ・フューチャリズム
ドイツCOMPOSTからリリースされていた90年代後半のFuture Sound Of Jazzに見られた未来派のヴィジョンがなによりも心地良かった時期があった。もともとボクはロシア構成主義からダダイズム、ドイツでのバウハウスなどに見られるジオメトリックでモダンな近代合理主義的デザインが好きだったこともあり、イタリアの詩人フィリッポ・トンマーゾ・マリネッティ (Filippo Tommaso Marinetti; 1876-1944)の「未来主義創立宣言」での過去の芸術の徹底破壊と機械化によって実現された近代社会のスピード(速度の美)や運動性を讃える姿勢を、デトロイトテクノや90年代後半に表出したFuture Sound Of Jazzに重ね合わせてとらえていた。ボクのなかでエレクトリックな音楽の始まりは70年代後半のクラフトワークの表出から、テクノポップ、ポストインダストリアル(ノイズミュージックの原点をルイジ・ルッソロのミュージック・アート「騒音芸術」と考えていたり http://www.youtube.com/results?search_query=+Luigi+Russolo&search=Search)へと流れ、90年代に入るとデトロイトテクノ、ブリープハウス、そしてドラムンベースへと漂流を続けるのだが、Future Sound Of Jazzというコンセプトはなににも増して未来派ならではの"子供じみた移ろいやすさと楽観主義的遊び心"を満たしてくれた。
http://www.youtube.com/watch?v=X402kBJv7mc&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=7zHYApspsJg&feature=related
ブルーノート・レーベルなどにみられるモダンなデザイン感覚に惹かれるのも、ボクのこうした嗜好が若い頃から現在まで、なんら変わっていないことを裏付けているのかも知れない。最近はこうしたエレクトロ・ミュージックをそれほど聴かなくなりジャズ漬けの日々を送っているが、去年の暮れにリリースされたCHRISTIAN PROMMER'S DRUMLESSON/DRUM LESSON VOL.1(SONAR KOLLEKTIV SK162CD)の、過去の90年代テクノハウスですらジャズミュージシャンによってジャズに再構築され再生されていたのを聴くと、すでにDJカルチャーの終焉を意味していて、テクノやエレクトロ、打ち込みという記号は、PCで音楽を創造するときの作曲ツールとして使用されることはあっても、ラップトップやテクノという記号からは21世紀に引き継がれるアヴァンギャルドな未来派のダイナミズムとスピード感覚を感じることは不可能になってしまった。それは「FUTURE SOUNDS OF JAZZ VOL.11」(compost 275-1)のノスタルジーとレトロ感覚しかないダサいミニマルなテクノハウスを聴けばキミも納得できるだろう。(左上の写真はCD From The Valt;Planet E Classics Collection Vol.1)
未来派からスピリチュアル・ジャズへ
TRIVE COLLECTIVE/Livin In A New Day(planet e PE65294-1)
デトロイト・ブラック・ジャズの伝説的レーベル「Tribe」の創始者たち、Phil Ranelinの音楽と詩をもとに、Marcus Belgrave、Wendel Harrisonをフィーチャーしたカール・クレイグがプロデュース、ミックスした12インチシングル。あのDetroit Experimentを彷彿とさせるが、デトロイト・テクノの現在形からもすでにテクノの影は消えている。Carl Craigの元に集結したTribe Collectiveの、「未来派」から「スピリチュアル・ジャズ」へのスペシャル・プロジェクトが愈々始まったようだ。そう、すべてが「ジャズ的なるもの」へ傾れ込んでくるのだ。それはもう21世紀の始まりの必然的な事件。
CARL CRAIG/PARIS LIVE(planet e PE65290-1)
カール・クレイグのジャズ的なるものへの強い傾向は96年のInnerzone Orchestra「Bug In The Bass Bin」で始まり99年の「Programmed」、そして2003年の「Detoroit Experiment」でひとつの句読点を迎えたと思う。その頃からボクはエレクトロ音楽や打ち込みによるジャズに興味をなくし、生楽器で構築するnu jazzやリアルジャズにその対象が移ってしまったが、この12インチシングルはだから4年ぶりにカール・クレイグの音楽を聴いたことになる。しかしこの「PARIS LIVE」の、デトロイト・モダンジャズ・シーンの WENDELL HARRISON(clarinet、saxphone)と KELVIN SHOLAR(keyboards)の2人、URのMAD MIKE BANKS(keyboards) をフィーチャーした「Twilight」「At Les」でのオブスキュアなスピリチュアル・ジャズは、21世紀の新たな概念を持つ未来派への誘惑に再び駆られるほど素晴らしい。
http://www.youtube.com/watch?v=OsmDYsdHIP8&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=rUwwdaSDVM8
コメント ( 1 )
枯山水の庭のような一番観じたいものを方法論的に抜き去って、不在をもって、かえって存在を際立たせるギミックみたいなものを昨今のミニマルなテック系ハウスには全然感じられませんね。最盛期のミニマル系にはそういったギミックを十分に理解してミニマリズム(最小の努力で最大の効果を得るという意味で…)遂行していたから面白かったのかも。今、ただの砂利の山、見せられてるようなのばっかで。…それに比べるとKenny DorhamのAfrocubanとかが阿木さんのいった通りDance The Latin Funkしっくり来ちゃう方のギミックに魅かれる昨今です。
投稿者: 萩原 敏弘 | 2008年01月24日 15:00
日時: 2008年01月24日 15:00