国内ユニバーサルから完全限定アナログ正規リイシュー
「アナログ復刻5+1」
LARS GULLIN
ウェストコースト・ジャズやジェリー・マリガンのレコードを探していたついでに中古盤で買ったEmArcyからのラルス・ガリンの「LARS GULLIN」は、53、55年にストックフォルムで録音されたもので、ウェストコーストでのトリスターノ的といわれるノスタルジックなジャズが収録されていた。そして今回のラルス・ガリン「オキ・ペルソン」も57年にストックフォルムで録音されたもので、音楽的にはそれほどの違いはない。彼らスウェーデンを始めとするスカンジナヴィアン、ヨーロッパでのジャズは、ジャズをやる前にクラシックの和声や作曲法などの理論、このラルフ・ガリンで言えばピアノやクラリネットのテクニックをマスターしたことが大きくものを言っているといわれていて、それがヨーロッパ、白人ジャズの特徴でもある。まああまり難しいこと音楽的なことを求めないで、こうしたジャズもまたスカンジナヴィアン・ファニチャーと同じように一種のスウェディッシュ・モダンととらえたほうが賢明だろう。なによりもモノクロのジャケット写真がカッコいい。ジャズは50年代のものと60年代のものとは大きな違いがある。50年代はやはりちょっとノスタルジックだ。
LARS GULLIN/ake persson(P 08202 L)
LARS GULLIN/Lars Gullin(EMARCY MG 36012)
THE DIAMOND FIVE
一昨年だったかユニバーサルクラシック&ジャズからリイシューされた"フォンタナ/フィリップス幻の名盤"のなかで最も刺激的だったのは、オランダ、アムステルダムのクインテット、ザ・ダイアモンド・ファイヴの「ブリリアント!」だった。このアルバムでの音楽はダイレクトにファイヴ・コーナーズ・クインテットのFinn Jazzに直結しているサウンドスケープが聴けたことが嬉しかったからだ。トランペット、テナーサックス2管編成もFCQと同じだし。今回7インチ仕様で発売された「Poll Winners Jazz」もこのシリーズで期待を裏切らなかった唯一のものだ。ウェストコースト・ジャズに似た知的でスタイリッシュなハードバップが聴ける。
THE DIAMOND FIVE/Poll Winners Jazz(UCJU-9089)
THE DIAMOND FIVE/Brilliant!(UCJI-9047)
THE MUSIC OF YUSEF LATEEF/Before Dawn(UCJU-9088)
YUSEF LATEEF
ユセフ・ラティーフの名前を知ったのはPrestigeからオリジナル・ジャズ・クラシックス・シリーズでリイシューされた「EASTERN SOUND」だが、そこでのアーシーなオリエンタルブルースに少々失望した覚えがある。しかしtenor sax, oboe, bassoon, fluteを自在に演奏するマルチプレイヤーとしての名前だけは覚えていた。このヴァーヴからの「Before Dawn」でもフルートのフレーズやアルバムコンセプトに民族的なサウンドを感じるが、A3「Pike's Peak」、A4「Open Strings」、B4「Constellation」などの上品なハードバップ・グルーヴとB3「Chang,Chang,Chang」のアフロ・キューバン・サウンドが聴けるということで厳選されたのだろうか。
STAFFAN ABELEEN QUINTET
スウェーデンのモダン・ピアニスト、Staffan Abeleen Quintetの66年のアルバム「Down Stream」と64年のアルバム「Persepolis」。去年Ricky-Tickから発売された2枚組コンパイル「ON THE SPOT」に61年作の原盤EP"Soul Time"からの「PIa 」がA1に収録されていた。そしてスタファン・アベリーンの60年代のアルバムもリッキーチックから「On The Spot」がコンパイルされリリースされたからこそ注目されるのであって、皮肉をこめて言えば、シックで上品なジャズではあるが"北欧ジャズの金字塔"と大上段に言えるものではない。このような概念作用は、nu jazz→Ricky-Tick→Five Corners Quintet→Finn Jazz→Scandinavian Design→Norse mythologyなどなど、連鎖するイメージによって彼らのジャズを捉えようとする・・それに加え予約限定アナログ復刻、「完全限定プレス」だからね。でもこうした仕掛けには要注意だ。 この2枚は、極論すればクラシックなどのバロキスム・ムード好き、ニューヨークよりもウェストコースト系が好きで、知的なひと向けのジャズ=スカンジナヴィアン/ヨーロッパ・ジャズの図式にあるもの。個人的にはこのアルバムからハードバップだけを選曲し、全体を通してその作品の価値を問わないことにしている。ボクはレコードマニアではないが、このシリーズを監修した須永辰緒によって入手困難な60年代北欧ジャズを聴ける機会が持てたことは感謝している。
STAFFAN ABELEEN QUINTET/Down Stream(PY 842 551)
STAFFAN ABELEEN QUINTET/PERSEPOLIS(PL 08217)
MEIRELLES E OS COPA 5/O Som(P-623.184-L)
MEIRELLES E OS COPA 5
今回のシリーズのなかからnu jazzの流れでレコードをセレクトするなら、先のダイアモンド・ファイヴとメイレリス・イ・コパ5、付け加えてLARS GULLINだ。60'Sジャズ・ボサの最高峰にも数えられるJ.T.メイレリス名盤「O SOM」だが、ドン・ウン・ホマオゥン(ds)、 ルイス・カルロス・ヴィーニャス(p)、ペドロ・パウロ(tp)など参加アーティストを見るとラテン/ブラジリアン/ボッサノヴァ好きのひとは納得だろう。ハード・ジャズ・サンバは来年の夏にはきっとクラブの核を占領するダンスミュージックになるだろう。"ジャズ・ボサ史的にも、クラブ・ジャズ的視点で見てもモンスター・トラックとして語り継がれる名曲「QUITESSENCIA」を収録したアルバムとしても名高い一枚"だと言われている。そのままnu jazzといっても語弊のないアルバムだ。
コメント ( 3 )
ON THE SPOTやFORUMWEST等のコンパイルものは、寄り選りの今の空気(または、次の流れを予感させる)に合ったものを選曲されている訳で、だからと言ってその中のアーティストの作品が全て今の時代に適合してないのは、解ってはいたのですが、StaffanAbeleenもPiaの様な若々しいハードバップを期待していたのですが...前にEsa PethmanのTHE MODERN SOUND OF FINLANDを聴いた時に同じ事を感じてたのに、学習能力がありませんね(笑)
投稿者: 東山 聡 | 2007年12月17日 05:47
日時: 2007年12月17日 05:47
nu jazz好きのひとが、Jazzを聴くのなら、まずBlue Noteでの60年代モノの2管、3管編成のハードバップから入り(トリオ編成などは避けること)、同レーベルのラテン、アフロなどを聴き、それを卒業してからウェストコースト・ジャズや北欧、ヨーロッパへと聴き進んでいかれることを勧めます。そうするとキミの感性に添った系統だったジャズが聴け、レコードを買っても失望しないと思います。ボクだって買わなきゃよかったかなと思うレコードは半分はあるよ。でもボクの場合は資料として必要だからね。
投稿者: 阿木 譲 | 2007年12月17日 22:07
日時: 2007年12月17日 22:07
毎回いろいろ教えていただきありがとうございます。
昨日たまたま、このBlogを最初から遡って読んでたら、今回指摘して貰った様な事が書かれてました。その返を参考にしながら、レコード選びしていきたいと思ってます。
投稿者: 東山 聡 | 2007年12月18日 05:42
日時: 2007年12月18日 05:42