CHRISTIAN PROMMER'S DRUMLESSON/DRUM LESSON VOL.1

2007年のベストアルバム 今年いちばんの衝撃

CHRISTIAN PROMMER'S DRUMLESSON/DRUM LESSON VOL.1(SONAR KOLLEKTIV SK162CD)

Truby Trio や Fauna Flash、Voom:Voom での活動で知られる Christian Prommerのデビュー・アルバムでもある「DRUM LESSON VOL.1」には、現在の「ジャズ的なるもの」の時代の90年代テクノハウスのあるべき音楽が聴かれ、ボクにとっては今年いちばんの衝撃だった。2部構成で完結するプロジェクトの第1弾であるこの作品には、Derrick May 「Strings Of Life」、 Masters At Work 「Nervous Track」、Kraftwerk 「Trans Europa Express」などなどクラブミュージックの名曲がジャズ・カヴァーされていて、テクノ、エレクトロニカ、ハウス、クラブ・クラシックなどのいまでは古い概念を持ちDJするのもダサくてカッコ悪くなってしまった過去のクラブミュージックを見事なまでに本格的なジャズに再構築、ニュー・コンセプションしている。それもDJ的テクニックの”REMIX”などという過去の手法ではなく、ゲストに迎えたWolfgang Haffner、Dieter Ilg、Roberto Di Gioia、Ernst Stoerといった現在のヨーロピアン・ジャズ・シーンのリーディング・ミュージシャンによってである。全曲たった一日のワンテイクでレコーディングしたというから、今更ながらジャズ・ミュージシャンのスキルの凄さと、アレンジャーRoberto Di GioiaとChristian Prommerの手腕に驚く。それに加えミックスがあの90年代クラブジャズ・シーンを席巻したクルーダー・アンド・ドルフマイスターのPETER KRUDERというのも嬉しい。もはやDJの時代ではないことを、このクリス・ボーデン以上の「DRUM LESSON VOL.1」での太いジャジー・グルーヴを聴いて、キミも納得せざるを得ないだろう。ニッポンで最初にクラフトワークを紹介したボクにとって、20数年の時を経て「Trans Europa Express」がジャズリメイクされる意味は重く、現在「ジャズ的なるもの」の地平に立っているのが間違っていなかったと、このことが立証してくれている。

Featuring:
Roberto Di Gioia:MD,Piano,Bass
Wolfgang Haffner:Drums
Ernst Stroer:Percussion
Dieter Ilg:Bass

1.Drum Lesson I 2.Can You Feel It 3.Rej 4.Plastic Dreams 5.Drum Lesson II 6.Trans Europa Express 7.Elle 8.Claire 9.Drum Lesson III 10.Higher State Of Consciousness 11.Strings Of Life 12.Beau Mot Place 13.Nervous Track 14.Drum Lesson IV
Produced By Christian Prommer
Mixed By Peter Kruder

**クラフトワークの「Trans Europa Express」は下記のyoutubeのDrumlesson - Song 6で。
http://youtube.com/watch?v=_9oWI3n2KG8&feature=related

http://youtube.com/watch?v=Ok7a0UM8ttA&feature=related

http://www.sonarkollektiv.com/

コメント ( 10 )

東山 聡 :

KraftwarkのTrance Eurpe Expressは僕の中でも大好きで、彼らの楽曲の中でも、一番印象的な曲なんです!

この曲が、どの様な生まれ変わり方をしているか、興味深くワクワクします。YOU TUBE見ましたが、よくわかりませんでした。

いずれ、購入する事になるだろうと思うのですが、re jazzプロジェクトみたいな感じなのでしょうか?

阿木 譲 :

ジャズミュージシャンのアレンジ力の勝利というか、オリジナルを超えたジャズカヴァーで、メロディーに微かに原曲の痕跡が残されているだけという感じです。すべての曲が新しく書き下ろされた曲といってもいいほどかな。それも伝統的ジャズ感覚を持ったものじゃなく、先端でのnu jazzやスピリチュアルジャズにみられる新感覚を兼ね備えたものといえるでしょう。

東山 聡 :

ありがとうございます。よく解りました。クラブ系のジャズ、BLUE NOTE等の伝統的ジャズやnu jazzまでいろんな切り口があり、奥も深い様な気がします。新参者には、まだまだ全てを理想するには、時間がかかりそうです。

クルーダーアンドドルフマイスターの12インチも最近またリイシューされ、再発されている様なので、この機会に聴いてみようかと考えています。

萩原 敏弘 :

12inchが2枚出ていたのは購入しましたがTrance Europe Expressは聴いてみたいですね。kraftwerkが当時最先端の音を用いて描くモチーフにしたものは『未来』ではなく、ヨーロッパ横断鉄道であったり、1930年代のモデルであったり、アウトバーンであったりしたわけで、ある種のレトロフーチャリスティックな感覚も介在していたんだと思いますが20数年の時を経て、今度は別角度からのレトロフーチャリスティックな感覚:『未来』を選択しないことが『未来』を切り拓くことに繋がるのかもしれないと『string of life』を聴きながらそんなことを思いました。

阿木 譲 :

ジャズの音楽理論を熟知しているアーティストは、例えばオリジナル曲のコード進行の上にジャズの♭、♯などの和音、コード進行を挿入することによって、どんな曲でもジャズ的なる音楽に再生手術できるのでしょう。この作品にはテクノ、レトロという記号はないと思うけれどな。パーカッションやベースで生まれるグルーヴが効いている(最も近いものはクリス・ボーデン)その上をRoberto Di Gioiaのピアノが疾走する生音ジャズだ。なによりもジャズピアニストのジャズのコード分析、理論がなきゃ創れないものでしょう。

萩原 敏弘 :

阿木さん、コメントありがとうございました。私としては最先端の音の手法が『生音ジャズ』というところがなんとも興味深く、それでいて、やっぱり今、一番魅力のあるサウンドだと思いました。(それをレトロとはいわないですね。すいません)阿木さんのおっしゃられた通り、テクノやハウスを通過したジャズは何か違いますね。最近、藤原大輔さんのQuartz HeadやフランスのArt Bleekのような音楽のスキルのかなり高い方たちのラップ・トップ・サウンドに非常に関心を持ちました。

阿木 譲 :

Art Bleekか・・・。すべてを聴いていないから明確に言えないけれど、彼の音楽はやはり過去の90年代テクノ、ハウスミュージックなんだな。ボクは嫌というほどDjイングしてきたから食傷ぎみだ。すべてのDJがこうした音楽からなぜ前に行けないのか? クラブジャズでも、DJ的アプローチとジャズミュージシャン的アプローチには大きな壁が立ちはだかっているんだ。Future Sounds of Jazzから少しも前進していない。nu jazzを理解してもらおうと考えるとき、これがいちばんの頭痛の種だ。

東山 聡 :

クラブミュージック、とりわけクラブジャズ、nu jazz等の最大の面白みと言えば、例えば源曲の良さや、特徴を残しつつ一度バラバラにして再構築していく事だと思っています。
いくら感覚の優れたDJがコラージュ的に重ね合わしてみても、今の時代にそぐわないと言うか、限界がある様に思われ。
むしろ、実際に絵を描く力を持った人、または、そんな技を持った人を使いこなし、操れるだけの能力を持った人じゃないと対応しきれないところまで来ているような気がしています。

クラブミュージックと言えども、日々進化しレベルアップしていると言う事、我々聴き手側も理解しなければならないと思います。

遅ればせながら昨日聴きました。個人的にはブッゲ的なアプローチを全編生でやるような音楽という印象を最初に受けました。テクノやハウスという音楽はどちらかというとヨーロッパの音楽という印象が私にはありますが、そうしたものをグラスルーツに持つジャズミュージシャンが彼の地にいるのは至極当然のことで、そうした人達がジャズという音楽を非常に可塑的に取り扱える表現様式をマスターするとこういう音楽が出てくるのではないかと。ミュージシャン全員の音楽の知識的バックボーンも、楽器のスキルも素晴らしく高いです。

Trans europe expressのメロディが実にドイツっぽいラインなのに妙に感心してしまいました。リアルタイムでは小学生中学年くらいだったはずで、これを当時聴いたことがあったかどうか、非常に微妙です。

阿木 譲 :

ブッゲの名前がでてくるなんて、違うんだよなあ。多くの人が音楽をメロディやハーモニーのようなものを主体に聴くけれど、ダンスミュージックに関わらずロックでもジャズでも音楽にはリズム/グルーヴこそが最も肝心要だということなんだ。このアルバムで言えば、ベースとドラムとパーカッションによってすべてが決まり、成立している。極論だけどメロディ楽器なんて、それに比べるとなんだっていいんだよ。
(ここに公開している以外に、今回、多くの方からコメントを頂いていますが、匿名でのコメントは公開しませんので、よろしく。)

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

« THE STANCE BROTHERS | メイン | LTC/A Different View »

About

2007年12月06日 20:49 に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「 THE STANCE BROTHERS 」です。

次の投稿は「 LTC/A Different View 」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.35