2007年05月 アーカイブ

2007年05月06日

Change instrument roles

SOUL JAZZ RECORDS LONDON
CHRIS BOWDEN

●CHRIS BOWDEN/DAUGHTERS(SOUL JAZZ SJR 030)
●CHRIS BOWDEN/IN ORBIT(SJR 033)
●CHRIS BOWDEN/TIME CAPSULE(SJRLP 32)
Chris Bowden(Alto Sax/Keyboards) Catherine Browning+Brian Wright(Violin) Everton Nelson(Violin+Flute) Sophie Sirota(Viola) Gay-Yee Westerhoff(Cello) Stephen Hussey+Amanda Drummond+Maudyah Tucker(Violin)
Frances Reardon(Clarinet) Stuart Eminson(Bass Clarinet+Clarinet) Matthew O'Regan(Fender Rhodes+Piano) Andy Hamill(Double Bass) Tom Gordon(Drums) Bosco D'Oliveira+Richard Adjuli(Percussion) Ben Clark(Tabla) Alison Crookindale+Elaine Higgins+Carol Marnoch+Angela Caesar(Voice)
Engineered By Luke Gordon Produced by Stuart Baker and Chris Bowden
イギリスのジャズにはそれほどの興味を湧かないのはなぜだろう。70年代のヴァージンレーベルでのカンタベリー系のHATFIELD AND THE NORTHの「THE ROTTER'S CLUB」、「NATIONAL HEALTH」、CARAVANの「IN THE LAND OF GREY AND PINK」などの音楽がボクにとってはイギリスのジャズの原点といえるだろう。この周辺のアルバムの原盤が少なくとも500枚はボクのレコード倉庫に眠っているので、近いうちに引っ張りだしてきてこのBLOGや「レコードアーカイヴ、データベース構築」の時に再解釈し紹介しようと思っているが、現在のイギリスのジャズといえば、唯一CHRIS BOWDENしか興味がない。彼の音楽は言うまでもなくそのカンタベリー系の血を引き継いだnu jazzであるのだが、1996年にSOUL JAZZ RECORDSからリリースされた12インチシングル「MOTHER AND DAUGHTER NOW」は、4本のヴァイオリン、2本のクラリネット、フルート、ヴィオラ、チェロ、フェンダーローズ、ピアノ、女性ヴォイスという編成の、帯のようになってうねるストリングスにシンプルなダウン・ヒップホップ・ビートのダブルベース、ドラムスがミニマルに織り込まれていて、そのうえをクリス・ボーデンのアルトサックスがソウルフルに縫ってゆき壮大なスケープを描いているもので衝撃を受けた。続いて発表された続編12インチシングル「IN ORBIT」はそれにエレクトリック・サウンドを駆使したスペーシーなサウンドで、当時のアブストラクト・ヒップホップの台頭、運動と共振した実験的なグルーヴを構築していた。ダブルアルバム「TIME CAPSULE」は、このタイトル名のように地球そのものをタイムカプセルに詰め込んだように時が延々と流れアーシーでスペーシー、そして存在の根源へと誘うノスタルジアな世界が描かれている。

●CHRIS BOWDEN with 4-HERO/HERO+LULLABY(SATELLITE STL 002)
1997年に4ヒーローと発表した「ヒーロー/ララバイ」は90年代のクラブジャズのベスト作品だとボクは思う。当時TALKIN' LOUDで勢力的に活動を始めた4ヒーローとクリス・ボーデンの才能がぶつかり生み出されたこの12インチシングルこそ、90年代のクラブカルチャーの生んだ最高作だ。ヴィニール・ジャケットに入れられた紙袋のモノクロのうなだれ苦悩する彫像写真、思えばクラブカルチャーはもうこの時からすでに下降線を描き始め、創造できるものすべてを吐き出してしまっていて終焉していたのだろう。

●CHRIS BOWDEN/BEAUTIFUL NASTY(NINJA TUNE ZEN1298)
●CHRIS BOWDEN/CROCKERS AND KILLERS(NINJA TUNE ZEN12136)
アブストラクト・ヒップホップはクラブミュージックのジャズへの回答だったんだ。それは新しい2ステップ・グルーヴのドラムンベースが誕生したからこそ生まれたグルーヴなのだ。現在に続く"ジャズ的なるもの"という記号の流れもまた、90年代前期のドラムンベース、90年代中期のアブストラクト、ジャジー・ヒップホップから派生したもので当時のMO WAXやNINJA TUNEでのBIG DADA、このZENなどの作品と比較すると、最近のヒップホップやアブストラクト、音響系といわれるものなど糞みたいなダサいものだ。2001年にリリースされた12インチシングル「BEAUTIFUL NASTY」は女性ヴォイス、スキャットがシネジャズのような世界を醸している生ドラムスによるジャジー・ヒップホップだ。そうして生まれたグルーヴのなかをボーデンのアルトサックスが即興的に泳ぐ。こんなこともまだニッポンのクラブミュージシャン、ジャズミュージシャンは誰も始めていない。A2の4ヒーロー・リミックスはダウンなヒップホップ・グルーヴから曲の途中で高速のドラムンベース・グルーヴへ急転調した仕上げをみせている。久しぶりにサイドB「ORIGINAL SINS」の生ドラムンベース・グルーヴを聴いていると、ドラムンベースとハードバップはひょっとすると相性が合うかもね。今度試しにMIXDJイングしてみようか。

●CHRIS BOWDEN/SLIGHTLY ASKEW(NINJA TUNE ZEN67)
02年発表のダブルアルバム「SLIGHTLY ASKEW」でのクリス・ボーデンは"うねり"とコスモス+カオスだ。タイトル通りの一癖あるスピリチュアル・ジャズだ。トランペット2管、サックス、トロンボーン、フルート、クラリネット、そしてボーデンのアルトサックスの7管編成のテーマ・ユニゾンとそれぞれが掛け合のなかで発生するうねり、その混沌を重厚なドラムス、ダブルベースのダウンな2ステップ・グルーヴがバランスをとっているサイドAの「ONLY ANGST」は圧巻。この02年のアルバムを最後にクリス・ボーデンは早々とクラブシーンに見切りをつけてしまった。消費することの繰り返し、レコードショップの棚からそのレコードが消えたら最後2度とそのレコードに巡り会えないクラブシーンはその構造上始まりからなにも残らないのだ。このアルバムのサイドBの「CROCKERS AND KILLERS」がシングルカットされて発売されているが、ニコラ・コンテの甘さが苦手なひとはここでのアブストラクトで甘渋い大人のジャズをどうぞ。

●CHRIS BOWDEN+NEIL BULLOCK+BEN MARKLAND
THE TOMORROW BAND/3 TO GET READY(REHAB REH003)
しばらく音沙汰のなかったボーデンの動向だが、つい最近イギリスのREHABレコードから、イギリスの若手ジャズミュージシャンであるベースのBEN MARKLAND、ドラムスのNEIL BULLOCKとともに組んだ新たなトリオ「THE TOMORROW BAND」のCDがリリースされた。ここではジャズのスタンダード・レパートリーが6曲とボーデンの曲「BEAUTYFUL NASTY」1曲が収録されている。すべてがストレート・アヘッドで即興的アドリブが売りの"どジャズ"だが、ボーデンがこうしたスタンダードなジャズに再び転向している事実がとても興味深い。

●THE BEST OF BLACK JAZZ RECORDS(UNIVERSAL SOUND USLP2)
●MESSAGE FRO0M THE TRIBE(US LP5)
●UNIVERSAL SOUNDS OF AMERICA(SOUL JAZZ SJR LP27)

●STEVE REID ENSEMBLE/SPIRIT WALK(SJR LP122)
●NEW THING!(SJR LP110)
SOUL JAZZレコード傘下のUNIVERSAL SOUNDでは96年「THE BEST OF BLACK JAZZ RECORDS 1971-76」、96年「MESSAGE FROM THE TRIBE/AN ANTHOLOGY OF TRIBE RECORDS 1972-77」の2枚のコンパイル・ダブルアルバムを発表していたり、またSOUL JAZZからの95年「UNIVERSAL SOUNDS OF AMERIKA」などの作品は、ボクにその後70年代のBLACK JAZZ RECORDSや、TRIBE RECORDS、STRATA-EAST RECORDSなどのディープでスピリチュアルな音楽を聴く契機を与えてくれた。(サン・ラはロックの時代にかなり多くの作品を体験しているが)。SOUL JAZZからは最近ではSTEVE REID ENSEMBLEの2枚組「SPIRIT WALK」、SUN RAやALIS COLTRANEなどの曲がコンパイルされた3枚組「NEW THING!」など多くの作品が発売されている。スピリチュアル・ジャズもこれからのクラブジャズが避けて通れない大きなキーワードのひとつだろう。よりコズミックでスピリチュアルで黒っぽいジャズが好きなクラバーはこの周辺も押さえておかないと嘘だろう。ファンクやソウルも80年代的ディスコに遡るのではなく、もうそろそろここまで来ていいんじゃないの。

ところで話は変わるが、いままで病気にかかったことないほど健康なのだが、それでも毎年春先になると身体の調子を崩してしまう。今年は暖かい日が続いていたので何事もないと安心していたのだが、ゴールデン・ウィーク前あたりから急に調子を崩して風邪で寝込んでしまった。一昨日にはnu thingsのCINEJAZ'でDJイングしなければならないのと、自分がオーガナイズしたイヴェントだから人任せに出来ないので無理して起きたが、今年の風邪はヒドかった。ウィルスっていつの間にか人知れず突然変異を繰り返し、かなり強力になっているのを身体で体験したよ。音楽もウィルスのように時代にあわせて突然変異を繰り返しながら常に力を持ち、60-70年代のように人々の意識を変革し社会に風穴あけ人生を変えるほどのパワーを持っていたのにね。考えれば音楽は目に見えないウィルスのように、なんにでも寄生しどこにでも潜入できるものなんだけれどな。ウィルスのようにナニモノにも属さないで、ナニモノにも属して生きる。いま思えば若気のいたりというか、無謀でバカな覚悟を決めてこの歳までよく生きてきたものだとつくづく呆れてしまう。この時代に、群れから離れたこんな一匹狼的生き方はとてもダサくて居心地が悪く、正直言うと自分の無邪気さに呆れ少しは恥じを感じる歳になっているのかも。バックボーンに大企業の資本や組織でもついているなら、もっとデカイこともやれるのにね。でもだからといって、今更この生き方を変えようなんて微塵も思っていないよ。なによりも自由でいられるありがたさは代え難い。それにもう生きても10年だからな。人生なんてあっという間だ。このあいだの誕生日と、風邪で寝込んでいたとき一日中ひとりでそんな他愛無いこと熱にうなされながら考えていた。

2007年05月11日

Do nothing for as long as possible

WHAT IS ROCK?

JIMI TENOR
●JIMI TENOR
meets KABU KABU/SUNRISE(SAHKO PUU33)
●JIMI TENOR & KABU KABU with special guest NICHOLAS ADDO NETTEY /JOYSTONE(SAHKO PUU-34LP)
去年あたりから再び精力的に活動を再開したジミ・テナーの12インチシングル「SUNRISE」は、パーカッション/リズム楽器を強調したアフロ/ラテン・グルーヴィーな太陽讃歌といわんばかりのジャズ・フュージョンだ。この曲以外でも他に2曲ファイヴ・コーナーズ・クゥインテットのユッカ・エスコラとティモ・ラッシーがトランペット、サックスで参加している(アルバムでは7-8曲演奏しているが)。このSAHKO傘下にはJAZZPUUやKEYS OF LIFEなどのレーベルがあり、音響系のレコードなどもリリースされているが、JAZZPUUからのEERO KOIVISTOINEN KVINTETTI & SEKSETTIの「ODEYSSEUS」(JAZZPUU-10)は、まさにFINN JAZZといったサウンドスケープを持つnu jazzを展開していて注目に値する。2枚組「JOYSTONE」は、ジミ・テナーが2003年にRushhour/Kindred Spiritsからサン・ラの「Love in Outer Spece」の7インチ・リミックスなども手掛けていることからも推察できるアフロファンクでスピリチュアルでスペーシーなジャズをここでは展開していて、クラブジャズのエッジな部分を的確に押さえていて聴き応えのあるアルバムだ。こうした音楽以外にも2006年にドイツ・グラモフォンからリリースされた「DEUTSCHE GRAMMOPHONE RECOMPOSED」(cd 002894765676)でのスティーヴ・ライヒ、ピエール・ブーレーズ、エリック・サティなどの現代/近代音楽をリコンポーズ、アレンジしたアルバムを発表しているが、彼の並々ならぬ多才ぶりは計り知れない。ジミ・テナーはフィンランドの音楽シーンでは最重要人物。

KOOP
●KOOP/KOOP ISLANDS
(COMPOST 234-1)
●KOOP/WALTZ FOR KOOP(COMPOST JCR-021-1)
北欧のnu jazzの先駆けとして現れたスウェーデンのクープ。彼らのホームページでの「Come to Me」のヴィデオを観ると、20-30年代のスウィングジャズのノスタルジアとヴォーカルのユキミ・ナガノの東洋人ならではのエキゾチシズム、クープのマグナス・ジングマークとオスカー・シモンソンの倒錯したエロティシズムが相まって独特の耽美世界が描かれている。初めて彼らの音楽に触れたのは、2001年にドイツのジャザノヴァ・コンポストからリリースされたアルバム「Waltz for Koop」を聴いた時だ。このアルバムを聴いた瞬時に思い浮かんだのはオーストリアのG-STONEレーベルから95年「G-STONED」、98年「THE K&D SESSIONS」などの作品をリリースしていたクルーダー・アンド・ドルフマイスターのトリップホップだが、それをよりシネジャズやスウィングジャズの時代に接近させたクープにバロキシズム=ロックの現在形をみた。ヨーロッパならではの狂おしいほどノスタルジアで耽美な世界。アルバム「KOOP ISLAND」ではより腐った果実が放つ前の甘酸っぱいノスタルジアの匂いを加速させていて狂った夢をみるように美しい。

NOSTALGIA 77
●NOSTALGIA 77/EVERYTHING UNDER THE SUN
(TRU THOUGHTS TRUCD123)
クリス・ボーデンの「SLIGHTLY ASKEW」でもヴォーカルで参加していたLIZZY PARKSなどをフィーチャーしたノスタルジア77の「Every Under The Sun」。イギリスの南部の海浜保養地である都市ブライトンのTru Thoghtsレーベルからリリースされている彼の作品は「The Garden」しか聴いていないが、コンポーザー、ベン・ラムディンのモーダル・ジャズは北欧ジャズに通じる静謐なグルーヴを持っている。ここではよりスピリチュアルな世界を描いているが、それも黒っぽいグルーヴというのではなくスタイリッシュなチルアウト・グルーヴという感もありイギリス人らしい。このアルバムをKOOPに対するUKジャズの回答などとどこかの評論家が書いていたが、とんでもない。

J.SWINSCOE/THE CINEMATIC ORCHESTRA
●THE CINEMATIC ORCHESTRA/BREATHE
(NINJA TUNE ZEN12195)
J.Swinscoeの世界は、音響を聴くことによって頭脳に浮かぶシネマチックな抽象的イメージを構築することだ。音楽は聴く者によってその受け取り方は多種多様である。それが音楽が本来持つ抽象ゆえの自由さであり、同じイメージを描いた者同士がスムースなコミュニケーションを果たせる愉快である。彼の音楽は極論すればブライアン・イーノが70年代に未完にしていたアムビエント・ミュージック世界をクラブシーンのなかでジャズという記号を使い再現していると言えるかも知れない。シネマチック・オーケストラの12インチシングル「Breathe」でのColoursという曲を聴いているとイーノの75年の「Another Green World」や77年の「Before and After Science」などの世界に引き戻されてしまう。もうすぐダブルアルバム「Ma Fleur」(ZEN122)が発売されるが、喪失と愛と不在をテーマに彼の音楽は常にロウ・エモーションから始まる「To Build A Home」から「Time And Space」までの11曲はメランコリックな憂愁の感情で満ちているのだろうか。

●THE CINEMATIC ORCHESTRA/EVERY DAY(ZEN59)
●THE CINEMATIC ORCHESTRA/MAN WITH A MOVIE CAMERA(ZEN78)
彼の過去の作品は数多くあるが、2002年発売のダブルアルバム「EVERY DAY」と29年に作られたソビエトの無声ドキュメンタリー映画にスウィンスコアがサントラとして作曲した2003年のダブルアルバム「MAN WITH A MOVIE CAMERA」を紹介しておこう。(ここで紹介したアーティストの90年代の古い作品などは、ボクの編集したINFRAやBITで詳細に記録してあるので)。自分で検索すればいまやネットはすべてに通じているので、ボクはあえてBLOGにリンクを張っていないが、こうした映像のすべてやシネマチック・オーケストラ、KOOPの映像などもYouTubeでみられるので、細かくチェックされるといいだろう。無精モノのために今回だけTCOの映像をみられるYouTubeをリンクしておいてあげるからどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=lwMkNv79zUM
29年前後の頃のソビエトといえば「声のために」「ミステリア・ブッフ」「素晴らしい!」などのデザイン運動を展開していたボクの大好きなアヴァンギャルドの中心的人物マヤコフスキーが自殺したり、ロシア・アヴァンギャルドの一つの終焉を象徴する出来事が多くあった。スターリンが政権を握った後のアヴァンギャルドに対する多くの粛清、国内での批判、芸術全般に対する厳しい制限など1925年あたりからその兆しをみせ、それに対抗してきたマヤコフスキーやその死を乗り越えて抵抗したメイエルホリドが40年に銃殺されるなどアヴァンギャルドは完全に消滅した時期で、なにもかもがうやむやにされたこの時代を知る上でもこの「MAN WITH A MOVIE CAMERA」は貴重な映像だ。ロックの先端は今日紹介したアルバムや先日紹介したアブストラクト・ヒップホップにある。こうしたものこそクラブシーンをイニシエーションした後のロックの現実の姿なんだ。

「追伸」
今日は初めて本音を話すよ。日本ではバブル景気が崩壊した後1991年頃から2000年代初頭の10年余りの期間を"失われた10年"と呼ぶ。当時のことを複合不況や平成不況と呼び単に経済論だけで語ることは多いが、日本の90年代は国も会社も個人も目指す方向を見失い当てもなくさまよっていて、当時の音楽業界やミュージシャンたちもロックからクラブミュージックに突然変異し新たな音楽があれほど表出していたにも関わらずノイズ、スカムなどから前進することなく、その病状を悪化させて自滅していった。当時の20-35歳の世代は、これこそロスト・ジェネレーションの"運命なんだ"というキーワードを手に、自分の今の出口なしの状況を"仕方ない"を口癖に容認しながら、スピリチュアルとかオカルトとか前世とかオーラとかで納得しオウム真理教にもにた精神世界のなかに自閉していった。ボクは横目でそれを見ながら密かに掌握していた新しいヴィジョンを持った音楽情報を誰に教えることなく、自分のなかだけに仕舞い込んでおくことを決心した。それはある意味でボクのロックファンに対しての陰湿な仕返しだったのだろうと思う。あの頃のボクのロックに対して持つ挫折感はキミが思っている以上に救いようがなく、日々絶望感のなかで苛まれていた。読者に対しても、ロックファンに対しても、スタッフだった人間に対してもね。いま思えば恨みや殺意さえも抱いていたかも。80年代の終わりに過去の音楽概念を刷新するクラブミュージックやアシッドハウスが表出してこなかったら、きっともうここにはいなかっただろう。90年代初頭、クラブM2やカフェ・ブルーにEというミュージシャンが来たとき、ボクのDJイングを聴きながらフロアに座り「阿木もクラブなんか経営しちゃって、ハウスなどかけるようになったらもう終わりだな」と嘲笑していた。彼らはスカムやノイズという出口なしのエセ共同体に逃げていったまま結局メジャーにもなれず負け組になってしまったが。それに当時クラブカルチャーやダンスミュージックやボクを批判していたEは時代遅れのダサいハウスミュージックを今頃になってDJ イングしているんだとか。そう、nu jazzやHARD BOPが理解できないのは、キミの時間軸が止まったままになっているからだ。それほどあの"失われた10年"というのは大事な時代だったし、21世紀を見据えた新しい音楽が続々表出していた時期だった。最近なぜかロックマガジンの40代になった元スタッフや読者がたびたびjaz' room nu thingsに顔を出すことが多くなった。でももうボクはキミたちになにもしてあげられないよ。残念だが、キミたちがあの"失われた10年"を取り戻しこの地平に立つのはよほどの覚悟がないかぎり無理だ。だから死ぬまでロックやノイズを聴いていればいいんじゃないの。それがカッコいいんだろう。でもキミに内在しているロックという病はいずれキミの生活にリアルに影を落とす日がくるだろう。

2007年05月18日

Discard an axiom

ARCHIVE1
TALKIN LOUD RECORDS

今月末に行う「GREEDY BUGS IN THE ARCHIVE VOL.1」の準備のため、久しぶりにレコード倉庫に行き未整理だったレコード群のなかからTALKIN LOUDとMO' WAXだけを引っ張りだしてきた。過去に聴いていたレコードを再び聴いたりするのはこうした機会がないことには滅多にないし、いままでは過去を振り返らなくて済むほど次から次に新しいコンセプトを持った音楽が表出していたからだが。だけど2、3年前からは買いたいと思う新譜レコードがまるでなく先端での音楽はnu jazz以外はすっかり停滞してしまい気がつくと行きつけの輸入レコードショップも何軒か廃業してしまったほどだ。きっと新しい音楽などもう表れることはここしばらくはないだろう。今後アーカイヴの動きや全音楽史的データベース構築というプロジェクトがおそらくこの時代に最も相応しく、音楽に関わってきた人間の残された唯一のとるべき態度だと思っている。このレコード・データベース構築がお金になる事業だと、まだ企業サイドの人間は気づいていないのが不思議だ・・?。でもまあ、それにはデータの基礎になる大量のレコードを所有してなきゃ話にならないんだけど。どこかにデータベース構築を手伝ってくれる有能なプログラマーいないかな。いたらぜひ御連絡いただきたい。
「GREEDY BUGS IN THE ARCHIVE VOL.1」は5月29日と30日の2日間かけて第一回目はTALKIN LOUDレーベルだけをチョイスし、ボクひとりで両日合わせて計8時間アーカイヴします。TALKIN LOUDというのは多くの人間がアシッドジャズだと誤解しているけれど、やはり核はアブストラクト・ヒップホップやドラムンベースで、それにソウルやガラージュやディープ・ハウスなどを横断し90年代後半のクラブシーンや時代を切り拓いてきた重要なレーベルだ。このイヴェントではボクの持っている100枚を超えるTALKIN LOUDのレコードをアーカイヴするが、ここでは重要な作品を数枚紹介しておきます。

COURTNEY PINE
1.COURTNEY PINE/MODERN DAY JAZZ STORIES
(TALKIN LOUD 529-028-1)
ソプラノからテナー、ベース・クラリネット、フルートまで操るアフロ・ブリティッシュのジャズメンCourtney Pine。96年発表のダブルアルバム「Modern Day Jazz Stories」での音楽はDJ POGOをターンテーブルスとして起用していることからも判明できるが主にカットアップ、サンプリングによるジャジーなアブストラクト・ヒップ・ホップとスピリチュアル・ジャズ。レコーディングにはトランペットにEDDIE HENDERSON、ヴォーカルにCASSANDRA WILSON、ピアノ/オルガンにGERI ALLEN、ベースにCHARNETTE MOFFETT、ドラムスにRONNIE BURRAGEなどそうそうたるメンバーがクレジットされている。サイドBの1曲目「Creation Stepper」はダウンな2ステップからハードバップ風に転調しCortney Pineの凄まじいスピリチュアルなソプラノ・サックスが繰り広げられていて圧巻。このアルバムがターニング・ポイントとなりクラブジャズは現在のnu jazzへ変遷していく道を歩みだしたといっても過言ではない。サイドDにはドラムンベースが隆盛を極めていた当時の時代が蘇る名曲「I've Known River」が4HEROなどによってリミックスされていて懐かしい。もうあれから10年もの歳月が経ったんだ。ボクらは少しでも前に進めたのだろうか。
2.COURTNEY PINE/UNDERGROUND(TALKIN LOUD 537 745-1)
97年リリースの2枚組。ここではスピリチュアル・ジャズからダウンテンポのアブストラクト、ヴォーカルもののR&Bまでを展開していて、時間の経過によって色あせることの無い現在でも充分DJイングに使える数少ない名盤の1枚。TALKIN LOUDからは96年4HEROやFLYTRONIXのリミックス12インチ「Dont' Explain」(TXL9/573 049-1)、98年4HERO、ATTICA BLUESなどによるリミックス3枚組「Another Story/Remix From Modern Day Jazz Stories And Underground」(536 928-1)などの作品をリリースしている。

GILLES PETERSON / RAINER TRUBY/JOE DAVIS
3.TALKIN JAZZ VOL.3
(053 585-1)
ジャイルスとレイナーによる97年発表のコンパイル・ダブル・アルバム。THE CLARKE-BOLAND BIG BAND、MARK MURPHY、ELLA FITZGERALDなど15曲が収録されている。YAADのJazz Meets Indiaで始まるこのアルバムはアーシーでエスニックな匂いが強くすべての選曲が素晴らしいとは言えないが、全体的にはフロアジャズ系の音楽が収録されていて当時としては目新しかった作品。
4.BRAZILICA VOL.2(535 027-1)
西洋人にとっては我々が感じる以上にラテンやブラジリアン、アジアンテイストのサウンドスケープにあるエキゾチシズムはある種の桃源郷/ユートピアのように映るのだろう。アーシーなこうした異国趣味ともいえる世界にある暖かいヒューマニズムがボクはどうも苦手でどこかにクールでスタイリッシュな態度がないと彼らのようには受け取れない。97年を境にこうしたラテン、ブラジリアンもクラブジャズの一側面としてクラバーが認識しだし当時としては目新しかった作品。信じてる人には申し訳ないがニッポンではジャイルスと言えば誰もが尻尾を振るが、個人的にボクは最近ジャイルスのコンパイルしたレコードでのコンセプトや感性をあまり信じていない。

21ST CENTURY SOUL
5.21ST CENTURY SOUL
(534 742-1)
97年リリースの2枚組アルバム。Dサイド、ラストの71年作のTHE CLARKE-BOLAND BIG BANDの「SAKARA」とAサイド1曲目81年作のROBERTINHOSILVA「FALANGE DOS TAMBORES」の間に90年代にトーキン・ラウドからリリースされた9曲が挿入された過去の集大成といった作品。URSULAをフィーチャーした4HEROの「Loveless」というドラムンベースは忘れられないほどの名曲だった。このアルバムを契機にトーキン・ラウド人気は一気に下降線を描き始め、ヘビーでノイジーなRONI SIZEやKRUSTのブロークン・ドラムン・ベースで自滅していき消滅してしまう。ジャケットデザインにも明らかだが21ST CENTURY SOULと言えどももはや近未来的記号論に過ぎない。
6.21ST CENTURY SOUL LIMITED DJ SET(534 840-1)
4HERO、JEFFREY DARNELL、UFO、DJ KRUST、CLEVELAND WATKISSの12インチシングル5枚がヴィニールケースに入れられDJセットとしてリリースされたもの。すべてのヴィニールが片面しかカッティングされていなく贅沢な作りだった。97年当時の流行りを反映したジャジー・ヒップホップとジャジー・ドラムン・ベースが収録されている。97-98年が最もTALKIN LOUDに勢いがあり輝いていた一瞬の時期だったのかも知れない。

NUYORICAN SOUL
7.NUYORICAN SOUL/YOU CAN DO IT [BABY]
Featuring George Benson(4sr12-3091)
96年にリリースされたギターとリード・ヴォーカルにジョージ・ベンソンをフィーチャーしたニューヨリカン・ソウルの12インチシングル。ここではパーカッション・グルーヴの上をベンソンのギターとスキャットが絶妙に絡み合いモダンなラテン・グルーヴを構築していてとてもイキでスタイリッシュな作品に出来上がっている。
8.NUYORICAN SOUL/A Project by Master At Work(578 795-1)
ニューヨーク生まれのプエルトリコ人KENNY'DOPE'GONZALESとLOUIS VEGAの自身のプロデュースによる96年に発表された12インチシングル6枚入りボックスケース。NUYORICAN SOULはジャズ/ヒップホップ/ラテン/サルサをブレンドし、それを現代的感覚でよみがえらせた革新的なプロジェクトと言われているが、好きな人にはたまらないだろうが正直に告白するとボクはこのあたりが最も苦手な(嫌いとは言ってないよ)音楽かも知れない。センスいい音楽も収録されているが、おそらくハウスというよりディスコ・ミュージックとして聴こえてくるからだろう。例え嫌いなレコードについて評論するときにもそのレコードを聴かずに先入観だけで絶対に文章を書いたりはしないが、このレコードも高かったけれど奮発して買ったのはこうしたレコードをかける機会もあるだろうと思ったのとTALKIN LOUDの一資料として買った意味が大きい。

4HERO
9.4HERO/TWO PAGES
(568 879-1)
4ヒーローのピークは98年に発表された4枚組アルバム「Two Pages」だろう。世紀末に表出した革新的なドラムンベース/アブストラクト・ヒップホップの有終の美を飾るに相応しいほど繊細なジャズグルーヴ、メランコリックなサウンドスケープが描かれていて彼らの最高作でもありドラムンベースでのベストアルバムだ。その翌年にリリースされた「Reinterpretation」これの続編だったが、このアルバムを越えることはできなかった。こうしたドラムンベースは最終的にはウェスト・ロンドンのブロークン・ビーツに繋がるが、当時はクリス・ボーデンやシネマチック・オーケストラの音楽と共振していた。
10.4HERO/CREATING PATTERNS(586 057-1)
ロウ・エモーショナルでストリングスを駆使したアブストラクト・ヒップホップ「Conception」から始まる01年制作の3枚組アルバム「Creating patterns」はこれもクリス・ボーデンやシネマチック・オーケストラの世界に通じるイギリス独特のメランコリックなサウンドスケープが描かれている。50年代のビート族を想起する詩とジャズの融合の、乾いたサンプリング・スネアが醸すグルーヴの上をUrsula Ruckerのスポークン・ワードが走る。地味なアルバムではあるが4ヒーローが最も感情移入して制作した作品じゃないだろうか。ドラムンベースも4ヒーローとともに消滅しこのアルバム以降彼らは6年間作品を発表していないが、つい最近「Play with the Changes」が発表された。ボクはこのレコードを買わなかったけれど、そこには新しいヴィジョンが聴こえるのだろうか。
キミが当時のクラブミュージックを未体験なら5月29-30日の2日間行う「GREEDY BUGS IN THE ARCHIVE」にお越し下さい。90年代のクラブジャズだがきっと新しい発見があるでしょう。

2007年05月22日

Don't break the silence

今週発売された新譜

(5月28日追加)
NILS KROGH/THINGS WE DO(DNMEP014)
スウェーデンのストックホルムにあるDNM(Dealers Of Nordic Music)でリリースされているレコードの全てがいいとは言えないが、ファイヴ・コーナーズ・クインテット効果ともいえる北欧やスカンジナビアン・ブームは今後もしばらくは続くだろう。我々が想像する以上にFCQ効果はスカンジナビアンのクラブシーンに波及し始めているようだ。このNILS KROGHのEP「Things We Do」もその効果の一端でDNMからリリースされたものだが、A2にJazzy Sport Crew(最近になっての東京のMasaya Fantasistaの精力的活動は凄いね)のダウンなヒップホップ・リミックスと、BサイドにトランペットにFebrizio Bossoをフィーチャーしたニコラ・コンテの4つ打ちハウスミュージック、ディープ・ジャズ・ワークが収録されていて、ユキミ・ナガノにも似たAnni Elifの美しいヴォーカルが聴ける。(先日下記に述べたアーティストが不思議とこの作品ではすべてが繋がってしまったね)。
http://www.dnmmusic.com/default.asp?page=home

ヨーロッパやイギリスでのレコードやCDの流通システムも、90年代から現在までTime Warpなど色々あったがこの2、3年の間に再び新しいシステムが構築されようとしている。それはクラブミュージックそのものが新しい時代に入ったこと、そして音楽そのもののあり方が再構築され問い直されているを意味している。
http://www.mconnexion.de/

NINJYA TUNE
●THE CINEMATIC ORCHESTRA/"Ma Fleur"
(NINJA TUNE ZEN122)
ハードケースに11枚の写真が収められた2枚組アルバム。添付された11枚のフォトすべてが、まるで時間が止まったかのような静謐な空気を撮らえていて、この写真を見ながらシネマチック・オーケストラの音楽を聴いていると、エントロピーがすでに死に向かい終息を迎える準備をしているかのように思える。ロウ・エモーショナルなメランコリック物語。これはブルース? フォーク? ロック? サウンドは相変わらずのシネマチック・オーケストラで、このアルバムでは特に2人の女性ヴォーカリストの存在にボクの意識がいってしまった。それほど歌を重視した作品だ。その1人はサイドDの「Breathe」でのヴォーカルのFontella Bassで、彼女はゴスペルシンガーであり95年にNonesuchレーベルから「No Ways Tired」などのソロアルバムも発表している。もう1人はサイドD2曲目「Time and Space」でのLou Rhodesで、97年から04年にかけてトリップホップやドラムンベースを展開していたユニット"LAMB"のメンバーで、ソロでは07年にCooking Vinylから「Beloved One」、06年に「Tremble」などの作品を発表していて、ポスト・ビョークとまでは言わないがいままで以上に頭角を現してくる予感がする。クラブジャズも最近はヴォーカルものの曲が多くなってきたが、クラブ系のダンスミュージック好きの人間はDJをはじめ多くが"歌をわすれたカナリア"のごとく自分の言葉を持っていない。クラブ系の音楽にジャーナリズムが確立されなかったり人々にクラブミュージックが充分認識されなかった要因のひとつだろうと思う。なぜこの曲に魅かれるのか、DJをしているのか? そう彼らに聞いてもなにも答えは返ってこない。しかしこのシネマチック・オーケストラのレコードを聴いているうちに、よくよく考えれば、なにもクラブというカテゴリーに固執して音楽を聴く必然性がもうないように思えた。ジャズもロックもクラブもなにもかもがジャンルレスの、それこそ真のポストモダンの時代がやっと今始まろうとしているのかも。ところで塩化ヴィニールでできたレコードというメディアは近いうちにすべてがCDに取って代わられるだろう。その時こそDJカルチャーは完全崩壊する。その日は近い。さて、6000yenもするこのシネマチック・オーケストラのレコードはもはや書物にも似たひとつのObject D'art。こうした美術品的方法か、または古いプレミアム価値の付いた貴重盤というフェティシズムを誘うしかアナログ・レコードメディアが今後果たす役割は残されていないだろう。

SCHEMA
●THE DINING ROOMS/INK EP1
(SCHEMA SCEP 429)
●THE DINING ROOMS/INK(SCHEMA SCLP4279)
スケマでのダイニングルームの音楽はジャズというと語弊がある。多くがラウンジかカフェ・ミュージック、またはポップス/ロックだ。最近のジャザノヴァ周辺でのSonar Kollectiveなどの動きも多くがロックやポップスだ。こうした音楽を某輸入レコードショップではジャズ/クロスオーヴァーと曖昧にジャンル分けしているが、もっと明確にラウンジ/ポップスと書くべきだ。でないとそれは詐欺だ。EP「INK EP1」はAサイドはSkwerlのリミックスしたハウスミュージックだし、Bサイドの2曲目の「Cobra Coral」はJuju Orchestraのリミックスしたアフログルーヴを持つジャズファンクで、2枚組アルバム「INK」での、ジャズサウンドを持つ曲は強いて言うなら「FATALE」と「COBRA CORAL」の2曲だけというように、買う人の身になってもっと丁寧に書いてあげるべきだと思うよ。EP「INK-EP2」(SCEP 4309)ももうすぐ発売される。こうしたレコード情報もYurTubeなどの映像で自分で確認するのが、間違った情報に振り回されない賢明な方法だろう。個人的にはスケマでもここらあたりは起きかけにお茶を飲んでいる時にバング・アンド・オルフセンのスピーカーから小さな音でBGM的に聴いていることが多い。
http://www.youtube.com/profile_videos?user=schemarecords

●BEAT OUT SHRINE/THE CHANT-PINKIE(SCHEMA SCEP 422)
Gerardo FrisinaとPaolo Fedreghiniのコラボレーション/プロデュースによるBEAT OUT SHRINEでのジャズファンクも太いポリリズム・グルーヴでクラバーをノセノセにして踊らせるにはDJ必携のEP。
●TOCO/GUARAPIRANGA GERERDO FRISINA REMIXES(SCHEMA SCEP 428)
アフロからラテン、ボッサ、ファンクまでのGererdo Frisinaによるこのリミックス盤もキミがDJなら必携のものだ。Gerardo Frisinaはこのニッポンではあまり評価されてないが、ラテン、アフロテイストを持ったnu jazzとしては、他の追従を許さない。それほど彼の作るポリリズムはポゼッションしている。もうすぐEP「Calle De Candela」とLP「Note Book A Journey In Soun」がスケマからリリースされるが、過去の作品は多くあり新譜ではないがいい機会なので05年の2枚組アルバム「THE LATIN KICKS」(SCLP395)と04年のEP「Gerardo frisina blends Sabu Martinez 6 Sahib Shihab」(SCEP 381)を紹介しておく。

Gerardo Frisinaが関係したミックスものにExotic nujazz Comboの"Mop Mop"があるが、いかに彼がセンスあるアーティストであるか。これをみれば分かる。
http://www.mopmop.com/
http://www.youtube.com/results?search_query=gerardo+frisina&search=Search
http://www.myspace.com/andreabenini

ミラノにあるスケマ・レーベルに関する情報は下記ホームページでどうぞ。
http://www.ishtar.it/

●MARIO BIONDI AND THE HIGH FIVE QUINTET/HANDFUL OF SOUL(SCEMA SCLP 406)
イカつい大男だが甘いロマンティックな世界を歌うジャズ・ヴォーカリスト、マリオ・ビオンディとハイ・ファイヴ・クインテットの共演作。ボクはマリオのヴォーカルよりもバックのHFQのトランペット、フリューゲルホーン奏者のファブリツィオ・ボッソやテナー・サックスのダニエル・スカナピエコに魅かれてこのアルバムを買ったのだが、全12曲中ボッソが7曲 ( M-3, 5, 6, 7, 8, 10, 11 )、スカナピエコが6曲 ( M-4, 6, 7, 9, 11, 12 )ソロをとっていて全体的にはニコラのジャズボッサ/スケマサウンドというより、もっとインプロ重視のジャズ寄りのグルーヴをプレイしている。マリオ・ビオンディはイタリアのマーク・マーフィーか?
下記のYouTubeではボッソやスカナピエコのソロもみられるよ。
http://www.youtube.com/watch?v=5IzccDy94Zg

JAZZY SPORTS
●NSM PRESENTS :THE HYPE EP1
(jazzy sport jsv-026)
4つ打ちハウスをDJイングしているダサいDJは腐るほどいるのに、ウェストロンドンのブロークンビーツをDJイングしているDJをみたことがないのはなぜだろう? それがとても不思議でしかたない。このEPはウェストロンドンのニュー・セクター・ムーヴメンツ/IGカルチャーの新譜なのだが、ヴォーカルにナイジェリア出身のASA OF LOGOSをフィーチャーし全編ダウンなまるでアフリカの土着民たちが狩りにいく前に戦意を高めるかのように徐々に高揚していく魔術的で不思議な緩いグルーヴを持ち、ポスト・ブロークンビーツとしての nu hiphopと形容したいほどにボクは興味を持った。
●THE SA-RA CREATIVE PARTNERS PRESENTS:SONIC SEDUCTION,VOL.1(Jazzy Sport jsv-024)
ジャジー・スポーツ・レーベルでの作品は、この2枚が初体験だが、このタイトでルーズな緩い4拍子のグルーヴはひょっとするとクラブでのアフロ・ステップとして新しいスタイルのダンスミュージックを生み出すかも知れない予感がする。それほどこのグルーヴは未知の感覚、斬新なジャズ・グルーヴでとても新鮮だ。これらの仕掛け人は東京の"Jazzy Sports"だが、彼らのような存在がいることを思うとニッポンのクラブカルチャーもまだまだ捨てたもんじゃないかも。

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