2008年11月18日

Recomposed by CARL CRAIG & MORITZ VON OSWALD -music by Maurice Ravel & Modest mussorgsky

ポストモダン以後の21世紀音楽
CARL CRAIG & MORITZ VON OSWALD -music by Maurice Ravel & Modest mussorgsky
AUTEUR JAZZ / TWO JAGUARS IN WARSAW

80年代以後のポストモダン消費論での脱合理主義、脱構造化、シミュラークルの優越化という価値観に添って考えるなら、我々が音楽、CDやレコード購入の際にとる態度は、感覚的にどれだけ21世紀音楽としての要素をその音楽が内包しているか、ということに尽きるだろう。スタイルなどはどうでもよろしい。ポストモダン以後の21世紀の時代感覚をいかにトリートメントしリアルに再現しているかということだ。
Recomposed by CARL CRAIG & MORITZ VON OSWALD -music by Maurice Ravel & Modest mussorgsky (Universal / Deutsche Grammophon 476 691 3)
モーリッツ・フォン・オズワルド とカール・クレイグがラヴェルとムソルグスキーの曲を再構築した"Recomposed by Carl Craig & Moritz Von Oswald"での音楽を聴いていてそんなこと思った。ロックでも、ダンスミュージックでも、クラブ
ミュージックでも、ジャズでも、クラシックでも、現代音楽でもないオルターネティヴな耳を持った、ノスタルジーでもなく、画一化もされず、またあれもこれも欲しいという分裂症気味の消費の多様化という欲求や罠をも避け、すべての音楽ジャンルを俯瞰したなかでの21世紀音楽としての価値観を聴くことのできる耳を持つことの必要性に迫られているように思うし、またそうした音楽が生まれつつあるように思える。それにしても、なんとまあ、不必要な音楽の過剰なことか。ボクの言うそうした新しい耳、21世紀音楽とは、ロックもジャズも現存する音楽のすべてを、滔々と流れる西洋音楽の歴史(クラシック)に組込み"21th Century Music"として定義付け、"Neue Music"として考えることなのだが。カール・クレイグとジャーマン・ニューウェイヴのパレ・シャンブルグでホルガー・ヒラーが脱退した後の、トーマス・フェルマンがバンドのイニシアチヴだった時期に加入したモーリッツ・フォン・オズワルド ( Basic ChannelやMレーベルでのヒプノティックなダブミニマリズムの数枚の作品がいまも鮮やかに記憶に残っている)が、カラヤンのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による80年代のオリジナル録音から、ラヴェルの"ボレロ"、"スペイン狂詩曲"、そしてムソルグスキーの"展覧会の絵"をリコンポーズしているが、デトロイトやテクノハウスの先端がここまで来ているのも必然的なことなんだ。我々はこうした作品をもはやテクノとクラシックの融合とかで捉えるのではなく21世紀音楽(現代音楽)として聴く時代に突入している。

Recomposed by CARL CRAIG & MORITZ VON OSWALD -music by Maurice Ravel & Modest mussorgsky (Universal / Deutsche Grammophon 476 691 3)
A: Intro / Movement 1 / Movement 2
B: Movement 3 / Movement 4
C: Interlude / Movement 5
D: Movement 6
original recordings: Berliner Philharmoniker・Herbert Von Karajan
original music by Maurice Ravel: Bolero, Rapsodie espanole
Modest mussorgsky: Picture at an Exhibition
recorded by Berliner Philharmoniker, Herbert von Karajan (original recordings)
Berlin, Philharmonie, 12/1985(Bolero); 2/1986 (pictures); 2/1987 (Rapsodie)
concept: Christian Kellersmann, Moritz von Oswald
executive producer: Kleopatra Sofroniou
UNIVERSAL / DEUTSCHE GRAMMOPHON 2008

Festival of Lights 2008 /Music by Carl Craig/Moritz v Oswald
http://jp.youtube.com/watch?v=5ZcBO5GSZNw
Moritz Von Oswald with Max Louderbauer and Vladislav Delay
http://jp.youtube.com/watch?v=x6vb3eWsemM

AUTEUR JAZZ / TWO JAGUARS IN WARSAW (RT 025)
A1: Two Jaguars In Warsaw
B1: Gui Do
B2: Marbles
Antti Hynninen (woodwind, keys, drums )
Jarno Lappalainen ( bass -A, B2 )
Eero Tikkanen ( bass - B1 )
Abdissa Assefa ( percussion )
produced by Antti Hynninen
photography by Maija Eirola
sleeve by Antti Eerikainen
RICKY TICK RECORDS 2008

マルチプレイヤー + プロデューサーAntti Hynninenによるジャズ・プロジェクトAuteru Jazz。"Marbles"に聴かれるスピリチュアルなセンスもやはりジャズだけではなく、彼らの血に流れるバロキスム、クラシックの歴史的背景があってこそ生まれるものだろう。こうしたnu jazzでの"ジャズ的なるもの"の世界も、ジャズの文脈としてではなくポストモダン以後の21世紀音楽の文脈にあるものと言えるだろう。
AUTEUR JAZZ
http://www.myspace.com/auteurjazz

NICOLA CONTE / RITUALS Volume 1 - 2 (SCHEMA 441/1-2)
Volume 1
A: The Nubian Queens / Caravan / Karma Flower
B: Rituals / Castles In The Rain / Love In
Volume 2
A: Macedonia / Black Is the Graceful Veil / Paper Clouds
B: Like Leaves In The Wind / The Shaman / I See All Shades Of You
Fabrizio Bosso , Till Bronner , Flavio Boltro( trumpet )
Daniel scannapieco ( tenor sax )
Rosario giuliani ( alto sax )
Timo Lassy ( flute and baritone sax )
Mario Corvini / Gianluca Petrella ( trombone )
Nicola Conte ( guitar ) ............
recorded in Bari at Sorriso Studio
sound engineer: Tommy Cavalieri
produced by Nicola Conte
SCHEMA RECORDS 2008

このアルバムで圧巻なのはTill Bronnerがトランペットでセッションしている"Rituals"だろう。アルバムタイトルになった所以がわかる。それとFabrizio Bossonoのトランペットが聴けるDusko Gojkovicの曲"Macedonia"のバルカン・スケープだろうか。ジャズヴォーカルものも嫌いじゃないけれど・・・。ファイヴコーナーズ・クインテット以後のnu jazzの作品群のなかでも円熟し完成された美しい2枚組アルバムである。
Nicola Conte - Rituals - EPK
http://jp.youtube.com/watch?v=Cr0cRZ2fZ-w
Nicola Conte - Like Leaves In The Wind ( clip colour )
http://jp.youtube.com/watch?v=XIcx6hl0kV0&feature=related

近況報告

最近、深夜に散歩がてらに都会を徘徊することが多くなった。そういうとまるで痴呆症の老人のようだが、90年代のレコード・アーカイヴをすることでパソコンの前に座って作業する時間が多くなって、平野クンと心斎橋から時には梅田まで自転車に乗って足を伸ばし夜の都市を散策しながら身体のコンディションを整えているのだが、地下鉄の最終がなくなる頃にはまるで都会をボクら2人が借り切っているように閑散とし、イルミネーションだけが幻想的に輝いている。みんなが寝静まったあとの深夜の都会は素晴らしい特別の時間が流れている。テレヴィでは連日経済破綻による100年に1度あるかないかの経済危機などと騒いでいるが、90年代のバブル崩壊とは違ってこの静けさは決して経済不安によるものだけではないだろう。おそらく今、古い価値観がすべて淘汰され新しい時代の価値観に刷新される過渡の時代で、ようやく本物だけが生き残れる時代がやってきているように思える。音楽の世界でもそれは現実に起こり始めている。
先日のJazzactiveの"Switched On - 3 "には多くのオーディエンスが顔をみせて下さりありがとうございました。お陰でいいイヴェントが持てました。彼らの音楽のスケールも回を重ねる度に大きくなっていて"ジャズ的なるもの"のバップイズムが身体から生まれつつあるように思えます。さて、jaz' room "nu things"も平野隼也クン以外にもレギュラーのブッキング・スタッフ(イヴェント・オーガナイザー)として新しく中島康佑クンと、サテライト・スタッフとして松山智美、宮下明世さんたち(みんな20歳そこそこの年齢でnu thingsも若返ることでしょう)が参画してくれることになり、来年は今まで以上により質のいいイヴェントを提供できると思います。期待しておいて下さい。


2008年10月12日

THEO PARRISH

デトロイト系のテクノは、90年代初期にボクのなかでは終わっていて、最近の動向についてはまるで無知だが、ディープハウス・シーンのKenny Dixon Jr. ( Moodymann ) と双璧を成すといわれているセオ・パリッシュ ( THEO PARRISH ) の'97年に設立されたセルフレーベル"Sound Signature"からついこの間リリースされた2枚の12インチシングルに収録されている、一時のブラックドッグなどのインテリジェンス・テクノに通じるアブストラクトでミニマルなグルーヴには感動させられ、この1年に発売された新しいコンセプトを持つデトロイトテクノを取り寄せ、再考察する必要に駆り立てられる。
THEO PARRISH / Love Triumphant + Space Bumps (SS 031)
ジャズミュージシャンを叔父に持ち、マイルス・デイヴィスやジミ・ヘンドリックスなどのミュージシャンに影響を受けたという彼ならではの、ダウンでディープな、過去のデトロイトテクノのイメージを刷新するほどのスピリチュアルで呪術的な音楽が聴かれる。彼はワシントンDCの生まれだが、このSound Signature

THEO PARRISH / Goin' Downstairs Part 1 (SS 30)
を核にUKのピース・フロッグ、デトロイトのTrack Mode & Grooves、イタリアのArchive、そしてMoodymann、Rick Wilhite、Malik Pittmannとのユニット "3Chairs"でも活動している。1980年代をシカゴで育ち、 Ron Hardy、Larry Heard、Lil Louis、Frankie Knucklesといった当時全盛期であったシカゴのオリジナルなハウスミュージックの洗礼を受け、その後Kansas City Art Institute ではSound Sculpture(音の彫刻)を専攻し1994年デトロイトへ移住しデトロイトを拠点に活動を繰り広げてきた。この2枚のシングル以前の音楽にそれほど興味はないが、2000年に"ファースト・フロア"、2004年に"ナチュラル・アスピレイションズ"、2007年に"Sound Sculptures"などのアルバムをリリースしている。近いうちに発表されるアルバムがどんな音楽かは知るすべもないが、この2枚のEPは素晴らしい。

"14歳の頃の曲作りというものは非常に純粋だった。 注目願望や金、さらには商品として公に出したいといった考えはまるで持ち合わせていなかった。 唯一感じたものは、トラックを作り終え、その晩に、例えばベースメント・パーティでそれをプレイすることができるといったことに対する純粋な興奮だった。 その場に居合わせた50人のキッズがそれを聴き、満足感を得られたとしたなら、目的は達成されたわけだ。 それは非常に、地に足の着いた感覚だ。 純粋に音楽に対する愛情に突き動かされていた。 俺が凄く好きなのは、曲を作りはじめてから"何かを表現しないと"と思考を巡らせ、何とか音をかき集め、推敲しながら作っていくんだけど、その過程でパッと、その曲の完成形みたいなものがあたかもビジュアルなイメージとして思い浮かぶことがあるときなんだ。 そういう時は、それをコントロールしようとするのではなく、それが俺に語りかけてくるのを待ち、それに耳を傾け自分を委ねるんだ。 何かを創造するアーティストであるならばだれもが、それが100%正しいと思うことをしている時には、それが分かるものなんだよ" ( セオ・パリッシュ)。

Theo Parrish
http://3chairs.vakuum.net/

THEO PARRISH / Love Triumphant (SS 031)
A: Love Triumphant
B: Space Bumps
whobody publishing BMI contact: 586. 774. 4784
SOUND SIGNATURE 2008

THEO PARRISH / Goin' Downstairs Part 1 (SS 30)
A: Goin' Downstairs Part 1
B: Goin' Downstairs Part 2
whobody publishing BMI contact: 586. 774. 4784
SOUND SIGNATURE 2008

2008年09月29日

JAZZACTIVE SWITCHED ON! 2

Jazzactive
"Switched On!"
9.27 sat pm19:30-pm23:00

ジャズアクティヴのライヴを聴いていて、中産階級の裕福な家庭に育った、育ちのいい線の細い彼ら、日本人の20代そこそこの若者たちによるジャズになにができるだろうかと、思うときがある。それに老齢のジャズミュージシャンと比較すると、テクニックもおぼつかない彼らの音楽に。しかし、そんなこと考えること自体がもはや馬鹿げている。若いということはそれだけで力にもなり得るし、美しい。いま我々は過剰ともいえる音楽を享受し続けている。ルールもセオリーもない、なんだってありの時代であり、そしてまたなにもない時代だ。ニッポンの音楽なんてジャズに限らず、そもそもすべて模倣の産物でフェイクなものだしな。美味しいとこだけをマネしデザインすれば、それも新たなスタイルを生む。


Jazzactive
田澤良介 (Tp/Fh) 大久保雄一郎 (As/Ss) 森永翔 (Pf)
岡本洋平 (Wb) 藤林陽介 (Ds)

音楽に60年代のコルトレーンやアイラーのような"霊的な一体感(スピリチュアル・ユニティ)"や詩人としての存在など、我々は求めるべきではないのだ。ロックにも言えることだけど、ほんと、いまは、そうしたすべての音楽への感情移入ほど嘘っぽくてダサく感じることはない。Jazzactiveの音楽は、いかにカッコ良く答えすら出ていない没意味のポストモダンな時代をスマートに快楽主義者として滑走するかだけだ。それに、もうnu jazzやClub Jazzという記号を使いラテングルーヴを再生するあの手も、ダサいから、ジャズの本道を目指すべきだと、思うよ。ルックスも恵まれているし、女の子にももてていそうだしな。彼らのテクニックも当初と比較すると比べものにならないほど、進歩しているしね。60年代後半から70年代初頭のハードバップからフリーに侵入し始めた頃の、ジャズの本道、ニッポンの若いジャズミュージシャンが誰もやったことのない、ジャズの本道からの、切り込み。Jazzactiveはきっとやってくれるだろう。そんな期待感の生まれたSwitched On!だった。現在Jazzactiveのオリジナル曲は7曲。それが15曲くらいになれば、なにかが起こり始めているだろう。きっと。

2008年09月21日

NICOLA CONTE and His Group / SKETCHES OF SAMBA

NICOLA CONTE and His Group / SKETCHES OF SAMBA (SCHEMA scep 436)
セルジオ・メンデスの良く知られている曲"Groovy Samba"から始まるニコラ・コンテの10インチEP"SKETCHES OF SAMBA"には、この6月に亡くなった南米人の管楽器奏者J.T.メイレリス(J.T.MEIRELLES)に捧げられた"Solo"、ニコラ・コンテのオリジナル曲 " Paper Clouds "、"The Nubian Queens"の4曲が収録されている。この秋リリースのアルバム「Ritual」に先駆けて発売され
たもので、今回の彼のセットにはFabrizio Bossoのトランペット、Jose' James、Kim Sandersのヴォーカル、"Solo"では5コーナーズ・クインテットからTeppo Makynenのドラムス、Timo Lassyのフルートなどなど、12人の現在のヨーロッパジャズを代表する旬ともいえるメンバーがバックアップしている。ニコラ・コンテは勿論ギターで。全体的にはサンバの旋律を持つnu cool jazz短編集とでも言おうか、60年代ジャズ・ボッサの再構築が大きなコンセプトだが、オリジナルが歌ものというところにニコラ・コンテの音楽的限界も感じる。それも初期の"Kind Of Sunshine"にあった輝きも感じられないし、奇麗に作られてはいるが、おためごかし。しかしそうは言っても、いまはニコラ・コンテのレコードを購入するしか手がないのだ。それほど不毛不作の時代。
A: 1. Groovy Samba
Fabrizio Bosso (trumpet) Daniele Scannapieco (tenor sax) Pietro Lussu (tenor sax) Nicola Conte (guitar) Pietro Ciancaglini (double bass) Lorenzo Tucci (drums)
2. Solo
Timo Lassy (flute) Sandro Deidda (tenor sax) Pietro Lussi (piano9 Nicola Conte (guitar) Pietro Ciancaglini 8double bass) Teppo Makynen (drums)
B: 3. The Nubian Queens (samba version)
Jose' James (lead vocals) Sandro Deidda (flute, tenor sax) Giovanni Amato (trumpet) Mario Corvini (trombone) Pietro Lussu (piano) Nicola Conte (guitar) Pietro Giancaglini (double bass) Lorenzo Tucci (drums) Pierpalo Bisogno (vibes, bongos) horns arranged by Sandro Deidda
4. Paper Clouds (uptempo version)
Kim Sanders (lead vocals) Gaetano Partipilo (flute) Nicola Conte (guita) Pierpaolo Bisogno (vibes, congas) Pietro Ciancaglini (double bass) Lorenzo Tucci (drums)
recorded at Sorriso Studio in Bari in 2006 and 2007
sound engineer:Tommy Cavalieri
produced by Nicola Conte
SCHEMA RECORDS 2008

Nicola Conte
http://profile.myspace.com/index.cfm?fuseaction=user.viewprofile&friendid=147830070

http://www.nicolaconte.it/

Meirelles & Dom Salvador Trio - O Barquinho (1966)
http://www.youtube.com/watch?v=QsFtLrNGl5Y&feature=related
Meirelles e Os Copa 5 / Samba Jazz !!


ENRICO INTRA TRIO / JAZZ IN STUSIO (SCHEMA / REARWARD RW 126LP)
side 1: 1. Percussion 2. Nardis (M.Davis) 3. Pittura 4. A Foggy Day (Gershwin) 5. Tra Bop
side 2: 6. John Lewis 7. Classic Jazz  8. You Stepped Out Of A Dream (Brown) 9. Tre, Tre, Tre 10. Fiora Blues
recorded Oct,1962
Enrico Intra(p)
Pallino Salonia(b)
Pupo De Luca(ds)
SCHEMA / REARWARD 2008
この"Jazz In Studio”というアルバムが中古盤相場で30万円もしていたというバカらしさにも驚くが、エンリコ・イントラがこの日本で当時神格化されていたジャズ・ピアニストだというのにも驚く。いまでもそうだが、どジャズファンというのはほんとに聴く耳持っているのかな。スウィングジャーナルとか、ジャズ専門誌が取りあげているレコードをみると、その感受性の鈍さに、愕然とさせられる。さて、'35年ミラノ生まれで、50年代からトリオで活動を始め、幾枚かの素晴らしい作品を残しているらしいが、この作品は62年にイタリアのコロンビアからリリースされたデヴューLP でスキーマからリイシューされた。5ヶ月間のスタジオ・リハーサルの上に完成させた、一種、捧げもののようなアルバムというには、ピアニストのテクニックを強調しただけの"どジャズ"で無感動なものだ。"Classic Jazz"を聴くくらいならクラシックのスクリャービンでも聴くよ。過去に30万円もしたレアものというコピーに惑わされないように。

CARL DREVO und die CLARKE - BOLAND BIG BAND / SWING, WALTZ, SWING, (RW 125 LP)
side 1: 1. Fruhlingsstimmen (J. Strauss) 2. My Favourite Things (R. Rogers)
3. Schon ist die Welt (F. Lehar) 4. Wives And Lovers (B. Bacharach)
5. Rosenkavalier (R.Strauss)
side 2: 1. Claudia (K. Drewo) 2. By Strauss (G. Gershwin) 3. Kaiserwalzer (J. Strauss) 4. Just Give Me Time (F. Boland) 5. Keep On Keeping On (J. Woode Jr.)
Trumpets : BennyBailey /Jimmy Deuchar /Dusko Gojkovic /Shake Kean
Trombone : Ake Pearson /NatPeck
Saxophones : Derek Humble /Karl Drewo /Sal Nistico /Sahib Shihab
Rhythm : Francy Boland /Jimmy Woode /Kenny Clarke /Fats Sadi /Bora Rokovic
recorded in Koln, in February 28th, 1966
recording engineer Wolfgang Hirshmann
(p) 1966 (c) edizioni ishtar snc.
SCHEMA / REARWARD 2008
ウィーン出身のテナー・サックス奏者、カール・ドゥレヴォをフィーチャーしたクラーク=ボーラン・ビッグバンドの'65年の作品。ヨハン・シュトラウス "Fruhlingsstimmen (春の声) "から"マイ・フェイバレット・シングス"、バカラックの"Wives And Lovers"など誰もが聞き覚えのあるスタンダードと、ユーロジャズ独特のクラシカルな選曲とダスコ・ゴイコヴィッチ、サヒブ・シハブなどのいまやクラブジャズ・ファンにもお馴染みの名前もみられる。アレンジャーにはユーゴのピアニストBORA ROKOVICを迎えている。ノスタルジックなビッグ・バンド・ジャズワルツ。

※6年ほど前からファイヴ・コーナーズ・クインテットやFinn Jazz、ニコラ・コンテなどの音楽を聴き続けていて一昨年そのピークを迎えたことを実感した。あれ以上の動きはもう期待できないだろう。その後、After nu Jazzとして、このようなレアなジャズも聴くようにはなったが、果たしてこうした動向がクラブシーンの新しい道を切り拓くかというと、もはや疑問だろう。海外でのnu jazzに影響されて表出してきたニッポンのクラブにおけるclub jazzの動きも、花開く前にもうすでに萎んでしまっていて終わってしまったようだ。いますべての音楽が失速していくのは、なにが原因だろうかと、考えることすら、正直もう嫌になったよ。その答えははっきりしてるよ。音楽以前に手がつけられないほど壊れた人間や病んだ人間が増殖しているからだ。いまではすっかりどこかへ置き忘れてきた誰の心にもあった言葉にはできない心の襞のような、繊細さと、ひととしてのプライドや品格をなくしちゃ、お前ら人間じゃねえよ。

2008年09月10日

jazzre:freshed / AFRONAUT Y AMIGOS                   

ウェストロンドンを拠点にアフロカリビアン・ムーヴメントとも言えるクラブジャズの新たな動向とnu cool jazz

多くのダンサー(舞踏家)たちが"音楽を踊るのも音楽を聴くのも、その内臓のあるそのポイント、体の重心部は肋骨の真中、ほとんどミゾオチ部からくる"という。2000年に表出したウェストロンドンのブロークンビーツを最後に、最
jazzre : freshed vol.1 (uprock / jrf 001)
近は滅多にそうした音楽に巡り会わないなと思っていたが、2003年から、ウェストロンドンのポートベロロードにある"Mau Mau Bar"を拠点にして行われているUprock Records主催のライヴイヴェントを集大成したかのような2枚組CDが発売されたり、ロンドンでカンデラ・バーを立ち上げたPablo Rodriguezによるプエルトリ
コのミュージシャンたちとのセッションと、ウェストロンドンで活動するプロデューサーたちのコラボレーションによるラテン・キューバンとブロークン・ビーツの融合ともいうプエルトリコ・プロジェクトのCDが発売されたりして、ウェストロンドンを拠点にnu cool jazzと、アフロカリビアン・ムーヴメントとも言えるクラブジャズの新たな動向が見られる。もともとはレゲエもジャマイカで生まれたアフロカリビアンの音楽だが、西アフリカのナイジェリアのヨルバ地域のアフリカンサウンドには悲しい運命があった。カリブを含む南米と共に北アメリカ大陸にも奴隷として連れて来られたが彼らヨルバの魂が、ロンドンのプエルトリコと結びつきポリリズム・グルーヴを持つ新たなクラブジャズが発生しつつある。ラテンミュージックの原型と先端のクラブジャズの融合と言い直しておこう。1960年代のアフロカリビアン・ダンスミュージック、マンボ、サルサなどに受け継がれているアフリカのリズムと踊りは海を越えて遠くカリブの国々、ラテンアメリカを経て、Hip-HopやRaggaeton、Houseを経て現在のクラブジャズなど先端で起こりつつあるクラブミュージックやストリートカルチャーのなかにだけ見られる。infra vol.07で使用したコピー、"音楽は過去も現在も常にその混合過程においてアフリカ的リズムの土台がヨーロッパ的要素を吸収、変化させている"は俄然生きている。

http://www.myspace.com/jazzrefreshed
jazz : refreshed
http://www.jazzrefreshed.com/
westlondon maumau bar
http://www.maumaubar.com/

jazzre : freshed vol.1 (uprock / jrf 001)
cd one: 1. FEMI TEMOWA - Wood & Strings 2. KAIDI TATHAM - These Things Will Pass (unreleased exclusive) 3. JASON YARDE - Ro's Reflection 4. JOY JONES - Today (previously unreleased) 5. SILHOUETTE BROWN - Check It (previously unreleased) 6. BROTHERLY - System 7. ROBERT MITCHELL'S PANACEA - Thief Of Dimensions 8. LYRIC I - Ever (after) 9. TAYLOR McFERRIN - The Song I Promised You 10. GIANNI BOSCRINO - Panic (previously unrleased) 11. OBENEWA - I Wonda If (previously unreleased) 12. JULIE Dexter - The Race 13. THE ORGANISM - Soul Claddin
cd two: 1. ELETTRORGANICA - 3 Five Blind (previously unreleased) 2. AZYMUTH - Wait For My Turn (yam who? remix) 3. REAL PEOPLE - Anything You Want 4. MARK DE CLIVE LOWE'S FREESOUL SESSIONS - Reintroducing 5. SHELLEY NICOLE'S BLACKBUSHE - Three Four Sh!t 6. FERTILE GROUND - Spiritual War (agent k remix) 7. XANTONE BLACQ - Without You 8. THE REBIRTH - Got Your Madness 9. MARCINA ARNOLD - Please Release 10. GREEN - Heavy 12. RASIYAH - Untitled (my love) 13. THE TIM COLLECTION QUARTET - Told You Once
credits: project management Adam Moses & Justin McKenzie
artwork: Toprock Arts
photography: Bunny Bread 8all photo taken at jazz re:freshed)
mastered: Matt Tord @ chocolate factory II
UPROCK 2008
ウェストロンドンのUprock/JFRコレクティヴによる2枚組CD。5年前にDJ、プロデューサー、グラフィック・アーティストたちによって始められたウェストロンドンのマウマウ・バーに於ける毎週木曜日に行われているUprock Records主催のライヴイヴェントでの、現在進行形のリアルなニュークール・ジャズの動向がコンパイルされてある。ここには現在のクラブシーンの先端で起こっているChristian Prommer's Drumlessonにも見られたブロークンビーツが進化した"ジャズ的なるもの"がまるで辞書を紐解くかのように編集されている。新たなクラブジャズ・ファン入門書として最適だ。今後のUprock Recordsの動向にも注目!

AFRONAUT Y AMIGOS Presentan HECHO EN CASA part1 (bipolar BPL002)
1. Mark de Clive Lowe Featuring Abdul Shyllon - Relax Unwind...(Afrojas Ricanstruction) mixer - Toni Economides percussion - Diego Centeno producer - Juan Maricio "Choki" Rojas , Orin Walters vocals - Luis F. "Totin" Augusto writer - Abul Shyllon , Mark de Clive-Lowe
2. Candela Allstars - Mambo Roto bass - Polito Huertas percussion - Anthony Carillo piano - Cachete Maldonado producer - Cachete Maldonado , Orin Walters , Pablo Rodriguez saxophone - Georgie Cruz trombone - Tonito Vasquez trumpet - Javier Riviera writer - Cachete Maldonado , Pablo Rodriguez , Tempo Alomar
3. Broki - Es Que Los Es (Kay Suzuki Mix) percussion - Hector Calderon , Tempo Alomor remixer - Kay Suzuki vocals - Hector Calderon writer - Emilo Velez , Hector Calderon , Orin Walters , Paul "Seiji" Dolby
4. Oreja - Julietta (Nautz 20:20 Edit) edited by - Afronaut mixer - Toni Economides percussion - Hector Calderon producer - Seiji programming (additional) - Emilo Velez vocals - Hector Calderon writer - Hector Calderon , Paul "Seiji" Dolby
5. Tito Sensai - Galleta Liquida percussion - Diego Centeno , Hector Calderon producer - IG Culture vocals - Diego Centeno , Hector Calderon writer - Diego Centeno , Hector Calderon , Ian Grant
6. Broki Featuring Tempo - Mi Ritmo percussion - Tempo Alomor producer - Orin Walters writer - Orin Walters , Tempo Alomor .............. (以下省略)
executive producers: Pablo Rodriguez & Orin Walters
bipolar 2008
Bugz In AtticのAfronaughtことOrin Waltersと、フェスティバル"カンデラ・フェスト"のオーガナイザーPablo Rodriguezによるプエルトリコ・プロジェクト。現地プエルトリコのミュージシャンたちとのセッションと、ウェストロンドンで活動するプロデューサーたちのコラボレーションによるラテン・キューバンとブロークン・ビーツの融合、インプロヴァイズ・ミュージックといってもいいだろう。ペドロ・ロドリゲスは、ロンドンでカンデラ・バーを立ち上げたひとりだが、"俺たちはクルーダー・アンド・ドルフマイスター、キッド・ロコなどを聴き、その後、ブロークンビートを発見した。カンデラ・バーをオープンした時に決めたんだ。なにがあっても、新しい音楽しか流さないと"。この発言は羨ましい(jaz' room nu thingsも常にそう思い続けているが、あまりにもニッポンのDJやミュージシャンは時代に遅れ過ぎている)。CDを聴いているとウェストロンドンのブロークンビーツも、その後アフリカンやカリビアンの記号を取り入れ確実に前進し新たな時代に対応する"ジャズ的なるもの"に変容している。

THE BAHAMA SOUL CLUB feat. Isabelle Antena, Pat Appleton, Bella Wagner, Malena / RHYTHM IS WHAT MAKES JAZZ JAZZ (RCIP 0120)
01. But Rich Rhythms 02. A Bout De Souffle 03. Nassau Jam 04. Kind Of Cool 05. Dejame Marchar 06. Sugar Cane 07. Boca Chica 08. Muchacho 09. Late Night Bossa 11. The Rhythms Of ... but rich rhythms 11. The Rhythms Of ... kind of cool 12. The Rhythms Of ... boca chica
produced by Oliver Belz
under exclusive license from BUYU Records
A&R International / director: Shota Inaba for Rip Curl Recordings
cover artwork by Oliver Belz
BUYA RECORDS / INPARTMAINT INC 2008
The Juju Orchestraのメンバーによる新ユニット"The Bahama Soul Club"。2曲目"A Bout De Souffle"ではヴォーカルにイザベル・アンテナをフィーチャーし、ジャズからファンク、ソウル、ラテンを横断するクラブジャズにおけるアフロ・パーカッションが多用された現在進行形のアフロジャズ・グルーヴ。アート・ブレイキーの"チュニジアの夜"のジャケット感覚をそのまま真似たというのもセンスいい。ドイツのジャズユニットThe Juju Orchestraは去年のアルバム"Bossa Nova Is Not A Crime"がヒットしたが、ここでの音楽は現在のロンドンでのアフロカリビアン・ムーヴメントが反映したものとも言えるだろう。

Katherine Dunham
http://www.kdcah.com/
キャサリン・ダナムという振り付け師がいた。アフリカのディアスポラの文化を推進したNYのダンサーとしても有名だが、アフロキューバンという音楽を知るためにも知っておくべきだろう。音楽と同じようにダンスに於けるそのスピリチュアル/身体性も奥深い。
KETC | Living St. Louis | Katherine Dunham
http://jp.youtube.com/watch?v=7vyx6ue7K6o&eurl=http://www.kdcah.com/inthemedia.html


2008年08月31日

jaz' room nu things 4周年パーティー

時間というのはあっという間に過ぎて行く。だから迷ってなんていられない、限りある人生だからと、改めて思う。好きなことだけを好きなだけして、嫌になればいつでも辞めて、新たな道を選べばいい、それで人生終われば本望だと、改めて思う。人生で最も難しい迷った時期はボクにとっては40歳代の頭だった。失われた10年というあのちょうど時代が移り変わる節目の時代だった。しかし、それは自分の生き方に迷っていたのではない。時代がそうさせたのだ。でも、ここまでくればもうなんの焦りも曇りもない。走り続けるだけだ。後はどう自分の死に向き合い決着させるかだけだ。
さて、nu thingsを立ち上げてもう4年もの歳月が経っていることに、まず驚く。早いな! 正直ボクのなかでは、少々飽きがきていて、というよりボクはこうした業種は性格的に向かない。いっそnu thingsの変わりに新たにお洒落で素敵な音楽の流れている小さなカフェでも立ち上げて、nu thingsは破棄しようかとも考えている。経営的には決して赤字ではないし、出来るならいまのうちに誰かnu thingsを引き継いでくれないかなと、思い始めている。それは第1に、なによりもそろそろ新しいことに着手し始めたいからだ。人生最後の仕事として、新しい発想を持った雑誌の発刊と、1960-2010年までの全音楽史/レコードデータベースの構築、有能なアーティストの発掘/プロデュース/レーベルの立ち上げなどをしておきたいなと思い始めているが、なかなか果たせない。転職しようかと迷うほどの、つまらないサラリーマン人生歩むくらいなら、ボクと愉快で豪快な人生を歩まないか! これがnu thingsという場からのキミに対する最初で最後の問いかけだ。


●BLACKQP'67 blackqp(as,ts),issy(tp),endo(gt),turner(org),kamiya(dr)
●TATSUMI Tetsuya(trumpet, PC)
●DJ:TAIZO (LESSON ZERO) - OOTANI Yohei - TANII Makoto - Ange (HIJAK)

昨夜の4周年パーティーには多くの人が顔見せてくださってありがとうございました。懐かしい顔と新顔、常連客、ミュージシャンたちが入り乱れて、挨拶するので大変だった。でも、始まりから終わりまで、大盛況で、午前2時頃には散会する予定が、結局朝の5時までオープンしていた。そうした楽しい空気のなかで、来て下さったお客さんみんなが踊ったり、話したり、BLACKQP'67やTatsumi Tetsuyaのライヴを聴き、都会の夜をエンジョイしている姿を見ていると、nu thingsを立ち上げてよかったなと実感しました。自分で言うのもなんだが、いいパーティーだった。とりあえずこの場を借りてお礼を言っておきます。

※わざわざ東京からnu thingsの4周年を祝ってくれるために来てくれたジャズ・トランペッターTatsumi Tetsuyaの打ち込みによるライヴ、ラップトップ・ジャズは新曲2曲と過去の曲4曲で構成されていて、来ていた外人さんたちは彼の音楽を"アメージング!"といって高く評価していた。 BLACKQP'67はNATIVEの中村智由の新しいユニットで、踊らせることを第1の目的としたパーティ・ジャズユニット。中村氏がテナーサックスを操るというのも珍しく、(また彼のニックネイムなのだろうキューピーさんのような髪型を見てご覧、彼のお茶目な一面がみてとれる) 彼らの音楽に合わせてクラウドたちは最後まで踊ることをやめず狂乱しダンスしていた。( 東京と名古屋のミュージシャンが大阪にまで来てnu thingsの4周年を祝ってくれているというのに、nu thingsに常に出演している地元のミュージシャンが顔を出してくれていたのは、ボクの知る限りでは数人だけ。これが大阪で活動しているミュージシャンたちの人間性/実態だ。そんな彼らが音楽で成功することなどまずありえないだろう。まあ、これはなにもミュージシャンに限ったことではないだろう。自分の本性や素性を隠したままのネットコミュニケーションでの匿名性と表面だけを滑って行くだけの、無理に親密さのフリをしながら、無関心を装うアンヴィバレンツな態度が反映された現代の人間模様でもあるのだろう。)

2008年08月11日

COOL SCANDINAVIANS

晩夏の夕暮れる南の空に半月が輝くのを見上げていると5年前の北欧旅行の空を思い出し、またまたスカンジナヴィアに旅したくなってくる。北欧のジャズに興味を持った理由には色々あるが、ひとつにはヴェルナー・パントン、アルネ・ヤコブセン、イッタラなどのデザイン家具やテキスタイルに90年代後半から興味を持ったことが大きい。5年前の北欧の旅で訪問した国のなかでは、やはりノルウェイのオスロが最高だった。オスロのクラブといえば Blå (ブラ http://www.blaaoslo.no/ )だが、そこはいまも健在だし、70年代にはClub 7という伝説の店があって、'63年から'85年の約20年間存続した北欧における
ジャズの発祥地でもありノルウェイのジャズミュージシャン、アルフ・エーリング・シェルマンなどを育み、Dexter Gordonの " Ballads "、Webster Leisの" In Norway : the Club 7 Live Tapes "など多くのミュージシャンのレコードがここで録音されている。( jaz’ room "nu things"も古くはダダイストたちの巣窟であったキャバレー・
ヴォルテールのように、アーティストやミュージシャンたちが自由にあの空間を使い常に文化の収斂と震源地であって欲しいと、願って立ち上げてはいるのだが・・) 。北欧の音楽に注意をむけ始めたのは、ノルウェーのレコード・レーベル " Jazz Land " での'97年にブッゲ・ヴェッセルトフト(Bugge Wesseltoft)によって"New Conception Of Jazz"が発表された頃からだ。その後、'99年にロンドンのCosmic Soundsでリリースされていたトランペッター、デュシュコ・ゴイコヴィチなどやユーゴスラヴィアやチェコ、ブルガリア、ロシアなど、バルカン諸国のレア音源がリイッシューされていたモダン・ジャズのレコードでの東欧ジャズに興味を持ったことなどに起因している。このCosmic Soundsは2005年のVA / BLUE LIGHT Fusion Gems from Hungarian Vaults vol. 2や、VA / ANTHOLOGY Fusion Gems from Hungarian Vaults vol. 2を最後に作品はリリースされていないが、現在のFinn Jazzやnu jazzのルーツともいえるジャズ音源が多く発売されていた。
COOL SCANDINAVIANS / DANISH JAZZ COVER ARTWORK FROM 1950 - 1970
デンマークのNTY NORDISK FORLAG出版社から発売された"Cool Scandinavians - Danish Jazz Cover Artwork From 1950 - 1970"には、50-70年代にデンマークで発売されたLPやEPのレコードジャケットが142点収録されていて、そのすべてのジャケットデザインが正直優れたものとは言えないが、コペンハーゲンにオープンした
ジャズハウス " モンマルトル " ( 最近リッキー・チックから発売された " On The Spot - A Peak At The 60s Danish Jazz Scene " のジャケットには、そのモンマルトルの店内の壁に彩られたモチーフが使われている )や、コペンハーゲンから遠く離れたユトランド南西部の小さな町ブランデの本屋が設立したジャズレーベル " デ
ビュー ( Debut ) "などを拠点にして広がっていったデニッシュ・ジャズの歴史が計り知れて興味深い。ちなみに、ここで紹介されているレコードでボクが持っているのは'70年に発売された " The Danish Jazzballet Society Ensemble - The Jazz Dance " たったの1枚だけである。
Cosmic Soundsの話に戻るが、'60 - '61年にRTBレーベルでの地元ベルグラードと外国のミュージシャンによるセッションが収録された2002年にリリースされていた " three 10' records originaly " シリーズの10インチ3枚をやっと手にすることができた。3枚目の " BORISLAV ROKOVIC TRIO / III SASTANAK U STUDIJU ( 3RD MEETING IN STUDIO ) は'61年ペオグラードでの録音で、Cole Porterの " You'd Be So Nice to Come Home " 、" Theme From the Beggar's " などがセッションされていて、ノスタルジックなスウィンギン・ピアノ・ジャズ、悪く言えば"どジャズ"だが・・・。2枚目のJACK DIEVAL - II SASTANAK U STUDIJU ( 2nd Meeting In Studio ) は、フランスのピアニストJack Dieval、テナー・サックスにはFrancois Jeanneau、バップ・ドラマーのArt Taylorがフィーチャーされ'61年ベオグラードでのセッション録音。1枚目の " JEROME RICHARDSON - SASTANAK U STUDIJU " は、ユーゴ・ジャズシーンのヴァイブ奏者BOSKO PETROVICを核に地元のジャズメンと、QUINCY JONES楽団の渡欧メンバーとして現地に赴いたテナー・サックス奏者JEROME RICHARDSON、フレンチ・ホーンにJULIUS WATKINSなどによって'60年ベオグラードでのセッション録音。全体的にはノスタルジックでリリカルな面が強いが、なかにはハードバップ・グルーヴも聴こえる北欧スカンジナビアン・ジャズとも共振している東欧ユーゴスラビア・ジャズのマニア向けの60年代レアな作品である。

TRIO BORISLAV ROKOVIC / III SASTANAK U STUDIJU (COSMIC SOUNDS CS-27 EP)
side A: 1. Bad Dream 2. Theme From The Beggar's Opera 3. You'd Be So Nice To Come Home
side B: 1.Bee - Deedle - Dee - Doo 2. The Midnight Sun Will Never Set 3. Donna Lee
Borislav Rokovic (piano) Vojislav Donovic (guitar) Hans Hoitz (drums) Milan Stjanovic (flute) Joe Sydow (bess)
recorded at 14, 15 JUNI 1961
licenced from PGP RTS.1961
COSMIC SOUNDS LONDON 2002

JACK DIEVAL - II SASTANAK U STUDIJU (COSMIC SOUNDS CS - 26 EP)
side A: 1. Pennies From Heaven 2. Moonllight In Vermont 3. Gloria
side B: 1. Theme No.4 2. My Birthplace 3. Bon Voyage
Jack Dieval (klavir) Bernard Vitet (fligelhorn) Francois Jeanneau (tenor sakusofon) Jacques Hess (double bass) Art Taylor (bubnjevi)
SNIMJENO U STUDIJU VI. RTB 4, 5 MARTA 1961
licenced from PGP - RTS.1961
COSMIC SOUNDS 2002

JEROME RICHARDSON - SASTANAK U STUDIJU (COSMIC SOUNDS CS - 25 EP)
side A: 1. Two Songs 2. Why In Blues
side B: 1. Minor Flute 2. Night In Tunisia
Julius Watkins (frenchorna) Jerome Richardson (tenor saksofon, flauta) Bosko Petrovic (vibrafon) Davor Kajfes (klavir) George / Buddy / Catlett (bass) Joe Harris (bubnjevi)
Snimljeno u Studiju VI RTB 16, Juna 1960
licenced from PGP RTS. 1960
COSMIC SOUNDS 2002

http://www.jazzlandrec.com/home/
http://www.nytnordiskforlag.dk/
http://www.cosmicsounds-london.com/menu.html

7/31のTALKIN' ABOUT JAZZY THINGS"nu cool jazz"で、Finn Jazzからニコラ・コンテ、そして最後の1時間はSonar Kollektivレーベルからリリースされていた2004年の"Forum West - Wewerka Archive '62 - '68"、2006年の"Focus Jazz - More Modern Jazz From Wewerka Archive '66 - '69"、"Romanian Jazz - Jazz From Electrecord Archive '66 - '78"、ついこの間Jonny RecordsからリイシュされたHarbie Hancock、Thad Jones、Ron CarterなどのセッションHear, Olsrael "A Prayer Ceremony in Jazz"などを繋いでDJイングしていて感じたことなのだが、時代はハードバップよりも愈々nu cool jazzという新しい形容詞での少々クールでリリカルなグルーヴが最もフイットする時期に差し掛かっているように感じた。それだけクラブジャズを聴いて来たひとたちの耳や感性も鋭くなってきているように思える。次回はハイテンションなグルーヴやボッサ/ラテンにとらわれることなく、nu cool jazzの渋めのグルーヴで4時間展開しようかなと考えている。

2008年07月27日

FUJIWARA DAISUKE + OMAR GUAINDEFALL - ORGANIC SUN

夏の熱い夜はアフロジャズに限る。昨夜のエレクトロニクス+ジャズサックスの藤原大輔と、アフリカン・パーカッション+歌のオマールによるステージは過去に彼らのステージを3度体験しているが最高のポリ・グルーヴが渦巻いていた。久しぶりに会った藤原の体調やメンタルな部分も、過去の彼に比べるとずいぶんと良くなっていて、それが音楽的にも如実に表われていて、ずっと悩み続けていたのであろう彼のやるべき音楽の指針やヴィジョンを明確に掴んだ自信に溢れた素晴らしいステージだった。2、3年前まで彼はデトロイト・テクノのジェフ・ミルスやURのセッションにも参加していて、2年前のnu thingsのステージで初めて彼の音楽に触れたときには、デトロイトテクノを引き摺った90年代のハード・トランステクノのようなちょっと時代遅れの音楽を展開していて、ステージが終わった後、彼に"こんな音楽をやっていたら、キミはもったいないよ"と失礼を承知で言ってしまったことがある。21世紀のテクノのあるべき音楽として、カール・クレイグをみてもすべてが"ジャズ的なるもの"に変容しているからで、本来ジャズミュージシャンである彼がその記号を使わない手はないだろうと思ったからである。昨夜の藤原大輔の音楽はテクノとジャズとアフリカンのポリリズムが融合したラップトップ・ジャズで、彼独自の世界観が見事に表現されていた。ステージ前の合間にnu thingsの近くにある南船場のカフェで彼らとお茶した時に話してくれた東京での音楽業界の現状、ジャズにおけるアフリカという記号、過去のジャズを時代に対応したものへ再構築する夢、クラブカルチャーに伝統のないことなど、とても有意義な夜だった。藤原大輔の音楽はまだまだ発展途上で、今後より"ジャズ的なるもの"に変容していくことだろう。それにしてもオマールのパーカッションの神に通じているかのような波動がボクの身体と共鳴していたのには・・・。




FUJIWARA Daisuke (a.k.a quartz head) - sax, electoronics
Omar GUAINDEFALL - djambe, vo

2008年07月26日

JAZZACTIVE - Switched On!

昨夜は天神祭だったそうだけれど、例年のような華やいだ気配は街には感じられなく、ボクの住んでいる南船場界隈の夜の都会もこの夏は不気味なほど午後10時を過ぎる頃には、ひっそりと静まりかえっている。なんだろうね、この静けさは。nu jazzも正直言うと、この春頃から失速ぎみで、というより、音楽に関わるあらゆる現象が激変してきたと言い直したほうがいいだろう。CDの売り上げが10%下がり、オンライン配信が40%以上ものび、ネットの違法ダウンロードや、youtube、ニコニコ動画などで音楽だけをダウンロードして携帯とかipodに入れてるひともいるという現在、アナログ・レコードの売り上げなんて話にもならない微々たるものだね。CDの売れゆきは悪くなったけれど、チャート入りしたばかりの若手ミュージシャンのコンサート料金は、4,500円から6,000円でも、テレヴィで顔を知られるようになると満員になるという不可解な現象もある(いまだにテレヴィを観て毒にも薬にもならない情報に扇動されている若いひともいるんだね。テレヴィも観なくなって久しい)。音楽をライブで楽しむことは、CDなどで音楽を聴くのとはまた別の経験だ。ライヴに来て音楽を楽しむ人間と、レコードやCDだけで音楽を聴いている人間とはまるっきり違う人種だ。ほんとは、音楽に力や魅力がなくなったのではなく、MP3ファイルにデータ収録された音楽に、そもそも幻想など抱けるのだろうかということだ。昨夜のJAZZACTIVEのステージは、彼らの音楽的な成長ぶりが感じられるものだった。特にドラマーの藤林陽介クンの成長ぶりが著しい。存在そのものが輝き、オーラのある魅力を感じる若いジャズミュージシャンの少ない現在のジャズシーンで、それらを持つ彼らが、時間とともに"どジャズ"ズレすることなく、大きく成長していって欲しいと願うだけである。ジャズ・バンドマンではなくいつまでも創造するひと、アーティストで、いてもらいたいものである。広くなったステージで聴く新しく設置したグランドピアノの音色は、それだけで彼らの音楽のスケールをひとつまた拡張させたように感じた。



jazzactive
田澤良介 (Tp/Fh) 大久保雄一郎 (As/Ss) 森永翔 (Pf) 岡本洋平 (Wb) 藤林陽介 (Ds)

2008年07月14日

JOHN COLTRANE WITH ALICE COLTRANE / COSMIC MUSIC

JOHN COLTRANE WITH ALICE COLTRANE / COSMIC MUSIC (impulse! 9148)

かってあんなに新しいファッションに夢中になっていて、月に数着のジャケットやスーツなどを買い求めていたのが嘘みたいに、この数年は気がつけばヨージの新しい黒いシンプルなスーツを年に2着ほど買うだけで、相変わらずそればかりを飽きること無くヨレヨレになるまで着続けている。チェックはしているのだが、年齢相応の着たいと思うものがないのだ。いま一番気になっているのは、南船場にある"ビスポーク・テイラー"のスーツやジャケットだが、ここはオーダーメイド主体のスーツなどを扱っているのだが、なかなかのもので、"ジャズ的なるもの"の都会的で渋いセンスが感じられ近いうちに購入しようと考えている。
BESPOKE TAILOR DMR
http://www.bespoke-tailor-dmg.com/

最近は中古輸入レコードショップを散策するのが唯一楽しい。そこにはボクの知らない情報が山のように眠っていて、気に入ったレコードと巡り会ったときは宝物をみつけたかのような歓びがある。ジョン・コルトレーンの"コスミック・ミュージック"は、'66年に自主制作盤として制作されたもので、コルトレーンの貴重な未発表テープを編集したもの。ニュージャズに挑戦していた時期のインパルス・レーベルからリリースされていた数枚の作品の中の1
枚で、アリス・コルトレーンを擁した死の直前の最後の時期に録音されたもの。このインパルスには" Meditation "、” Interstellar Space ”、" Expression "などの作品を残しているが、キリスト教への信仰と時間と肉体から解き放たれたかのような自由をも感じる壮絶な演奏が聴ける。ブルーノートは90%ほどの作品を聴き漁ったので、次はインパルスの9100シリーズかなと、考えている。このインパルス・レコードは、'60年にABCパラマウント・レ
コードのプロデューサー、クリード・テイラーによって設立されたジャズレーベルで、ボブ・シール(Bob Thiele)のプロデュース、ルディ・ヴァン・ゲルダーがサウンド・エンジニアをしていて、フリー・ジャズのレーベルとして有名だ。

JOHN COLTRANE WITH ALICE COLTRANE / COSMIC MUSIC (impulse! 9148)
side 1: Manifestation 2.Lord, Help Me
To Be
side 2: 1.Reverend King 2.The Sun
John Coltrane (tenor sax and bass clarinet) Alice Coltrane (piano) Pharaoah Sanders (tenor sax and flute) Jimmy Garrison (bass violin) Rhshied Ali (percussion) Ray Appleton (percussion) Ben Riley (percussion)
*The Sun-The Only Begotten "Sun" The Love Of God.(traces of Pharoah's flute can be heard in the distant background)
Invocation by John Coltrane and Pharoah Sanders ・Lord, Help Me To Be ・ReverendKing・TheSun - Manifestation
all songs published by Coltrane Music BMI
produced by Coltrane Records
IMPULSE!

このなかの2曲はコルトレーンの死後、アリス・コルトレーンを核にしたグループで演奏されたもので、1/1は'66年2月2日に、1/2は'69年1月29日に録音されたもので、2/1はコルトレーンの死後アリスを中心に演奏された彼女のオリジナル曲である。演奏の最後に"アリス!”と呼ぶジョンの声が聴こえる意味深な曲でもある。

Impulse! 9100 series (12 inch LP)
http://www.jazzdisco.org/impulse/9100-cat/index.ja.html


jaz' room "nu things"に新しくグランドピアノを設置した。アップライトではどうしても音量のバランスが悪く、マイクやPAに頼りがちになるのが嫌で、思い切ってセットアップしたのだが、グランドピアノの一音一音のきめ細かな繊細さと、ダイナミックなサウンドの幅の広さなどが、自然と前に出るのにはやはり凄いとしかいいよ
うがない。これでジャズからロック、クラシック、現代音楽、音響系まで、すべての音楽とミュージシャンの力量に対応可能になるでしょう。是非多くのすばらしいミュージシャンに使ってもらえたらと思っています。それにともなってステージを拡張しました。10人編成のユニットまでは対応できると思います。


Agi, Yuzuru

Profile:
Editor, Publisher, Producer and Music Critic.

AGI was regrded as one of "Big Three" critics in Japan in 70~80s. Other critics are: Toyo Nakamura and Yoichi Shibuya. He created the term "Techno Pop" on "Rock Magazine" which he edited and published in mid 70s. He was also founder of "Vanity Records" which regarded as the first independent record label in Japan.
Differ from other music critics, Agi has been focusing on "New music" of the time till now on. For example, He introduced Velvet Underground, Kraftwerk, avant-garde classical music, German experimental, Brian Eno to name few. He introduced "Edgy" music around the world from mid70s to now. He is such a guy like pioneer or explorer. And his atitude stays same still now on. Usually, music critics focused on music category which they love most, but Agi is different from that type.
Agi also wrote books like "Rock End(Kosakusha publishing)", "Iconostesis(impetus)" and "E(neu product)".

Generally speaking, Agi was defined "Rock Music Critics" mainly because he produced "Rock Magazine" and that magazine was so strong impression and great information. But on the Rock Magazine, Agi also introduced many style of music like punk, new wave, industrial, noise, and so on and on because he has been searching for something "new things" in music. Furthermore, his way of editorial was so much ahead of time, it reflected most of Japanese music magazine. This is maybe because stuffs of Rock Magazine was kind a melting pot of young people who want to be with music and many of them works music publishing business. Besides Rock Magazine, Agi produced magazineslike "EGO" "Infra" and "BIT". All works reflected music of the time. His attitude remind me of Miles Davis who wanted to keep his music as fresh as possible.

One more thing make Agi special is that he always researches around music to understand it. He checked art, philosophy and design around music of the time while he check music. So he can find something new or old music but fresh in nowadays so quickly. And such knowledge around music make him possible to edit or design anything he want without spoiling image of the music.
Thus, AGI Yuzuru is something great guy not only categorize music critics but also something big exsistence.

(Jazz trumpeter Tetsuya Tatsumi)