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2008年02月 Archive

2008年02月03日

CASCADES 2

ブリティッシュ・ビートのルーツとはイギリス北部ノーザンソウルのリリシズムとクールで都会的なモッズスタイル
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 2

VASHTI BUNYAN/SOME THINGS Just Stick In Your Mind SINGLES and DEMOS 1964 to 1967
(DICRISTINA/SPINNEY STEP11)
37年前に1枚だけアルバムを残し消息不明になった謎に包まれたフォークシンガー、ヴァシュティ・バニアンが1964年から1967年までに録音した「VASHTI BUNYAN/SOME THINGS Just Stick In Your Mind SINGLES and DEMOS 1964 to 1967」が'07年にリリースされていた。この2枚組アルバムには64-67年頃の未発表音源や最近発見されたばかりのデモ、初期の作品、アルバムタイトルにもなっている Rolling Stones のミック・ジャガー、キース・リチャーズによって作曲された 「Some Things Just Stick In Your Mind」などが収録されている。('65年 英DECCAからリリースされた同名の7インチシングルも「I Want To Be Alone」のカップリングでリイシューされている)。アコースティックというスタイルをとってはいるがヴァシュティ・バニヤンの音楽にもブルースロックの影があり、これこそがブリティッシュ・ロック=ブリティッシュ・ビートのルーツであり原点なのだ。(余談だが、下記のYoutubeの映像を見ていてフランスかぶれのモッズガールのようなヴァシュティによく似た若い頃の立花マリというモデルさんのことを思い出した)。なお'04年「Just Another Diamond Day」、'05年に「LOOKAFTERRING」というアルバムをリリースしているが、個人的には新しい彼女の作品には興味はない。ブリティシュ・ロックとはイギリス北部のノーザンソウルのリリシズムとクールで都会的なモッズスタイルを引き継ぐもの。
http://www.youtube.com/watch?v=a0e7nQrmf40&feature=related
http://www.youtube.com/user/visionacida

NICK DRAKE/FAMILY TREE
(sunbeam records SBR2LP5041)
ニック・ドレイク(Nick Drake, 1948-74)は不眠症のために眠り薬の代わりにしていた抗鬱剤の過剰摂取によりこの世を去った悲劇的な生涯を終えたイギリスのシンガー・ソングライターで、当時彼のすべての音楽を聴いていたわけではないが、ボクには72年に発表された3枚目のアルバム「Pink Moon」と「River Man」のメロディだけがなぜかいまも強く印象に残っている。資料によると74年にこの世を去った後も86年に「Time Of No Reply」、2004年に「Made To Love Magic」、生前には69年に「Five Leaves Left」、ノーザンソウルの風のようなサウンドが聴かれる70年リリースのアイランドからのアルバム「Bryter Layter」の制作時、ジョー・ボイドとレコーディングだったヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルがニックの作品を偶然耳にし彼との交流が始まったという逸話もある。ポール・ウィーラーも「Bryter Layter」というアルバムを"シティーLP"と呼ぶほど高く評価していたという。ジョン・ケイルやヴェルヴェット・アンダーグラウンドを死ぬほど聴き狂っていたボクでさえ、この逸話を知ったのはつい最近のことである。この2枚組アルバム「Family Tree」は2007年7月に発表されたもので、ホーム・レコーディング未発表29曲収録されている。アコースティック・ギターとヴォーカルだけのシティーブルースからはすべてのブリティッシュ・ロックの原型が聴こえてくる。このアルバムにはニックのソロだけではなく姉のガブリエル・ドレイクとのデュエット「All My Trials」や母親のモリー・ドレイクが唄う「Poor Mum」と「Do You Ever Remember」も収録されていてフィナーレを飾る「Do You Ever Remember」は圧巻だ。オリジナルの他にバート・ヤンシュの「Strolling Down The Highway」、ボブ・ディランの「Tomorrow Is A Long Time」、デイヴ・ヴァン・ロンクの「If You Leave Me」、ジャクソンCフランクの「Here Come The Blues」等のカバー曲もコンパイルされている。
●●このドキュメンタリーNick Drake Documentary - A Skin Too Few - はPart5まであるので参考に。
http://www.youtube.com/user/sunshineonsnow

2008年02月05日

CASCADES 3

クラシカルでゴチック的な淡い色彩と
ジャズのフリーフォーム・スタイルによって構築され描かれた
ハットフィールド・アンド・ザ・ノースのカンタベリー系ジャズロック
HATFIELD AND THE NORTH
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 3

ブリティッシュ・ロックへの回顧「Cascades 」は60-80年代のブリティッシュ・ロックを中心に重要なレコードだけを可能な限り最考察して、今後続けられるだけずっと書き留めていこうと思っているのだが、そろそろ本題に入るべくレコード資料室に行き迷わず70年代初期のヴァージン・レーベルやヴァージン・キャロラインで発売されていたアルバム50数枚とボクが初めてポートベロロードにあったヴァージンレコードを訪問した時にリチャード・ブランソンから直接頂いたサンプル盤7インチシングル20数枚だけを抜きだしてきた。このあたりのプログレッシヴ・ロックと呼ばれた音楽こそがボクにとっての始まりを意味する特別なものだから。久しぶりに手にした初期ヴァージンでのレコードは30年という時間が経過しているにも関わらず、まるで新譜レコードを手にしたかのような不思議な感覚にとらわれた。ソフト・マシーン、マッティング・モウル、キャラヴァン、エッグ、ヘンリー・カウなどなど、ロバート・ワイアットという存在を核にしたカンタベリー系を考えるならば、個人的にはやはりハットフィールド・アンド・ザ・ノースには格別な思い入れがある。

HATFIELD AND THE NORTH(VIRGIN V2008)
72年11月から75年6月までのわずか3年弱の活動期間しかなかったハットフィールド・アンド・ザ・ノースは、74年(原盤では73年とクレジットされている)に「Hatfield And The North」と75年に「The Rotter's Club」の2枚のアルバムを発表しただけで解散してしまったのだが、久しぶりにレコードに針を落として驚いたのは、これほどまでにクラシカルでゴチック的な淡い色彩で描かれた音楽だったのかと改めて気付かされたことだ。そういえばファーストでのカンタベリーの空に暗雲が立ちこめるように浮かび上がる地獄絵、ゴチック的絵画、セカンドの裏ジャケットのペガサスに股がり飛翔する少女と空から墜落する悪魔と天使などがコラージュされ暗喩されている。レコードに残された音楽に限定して言えば、ゲイリー・バートン、チャーリー・ミンガス、キース・ジャレットなどのジャズプレイヤーに影響された彼らならではの、ジャズのフリーフォーム・スタイルによって構築され、恐らくレコーディングする際にアイデアに添ったあらかじめ20を超えるセッションによって録音された曲の断片、素材をもとにスタジオで編集、切り貼りして構築されたものじゃないだろうかと思う。

HATFIELD AND THE NORTH/THE ROTTER'S CLUB(VIRGIN V2030)
彼らの2枚のレコードに収録されている楽曲には、まず前奏、序曲があり、それに続く間奏というように、曲間もなく次から次にたたみこむように連続して楽曲が再生される。アルバムに収録されたすべての曲によってひとつのコンセプチュアライズされた世界が完成される。それはまるでバロック時代の組曲の手法に似てデコレイティヴな美しさを持っている。当時多くのミュージシャンたちが「頑なに自己の音楽形態を極めようとするなら、純粋なジャズのアプローチになってしまう」という発言をしていたが、30年ぶりにジャズをイニシエーションした後に、「ジャズ的なる耳」で聴くハットフィールド・アンド・ザ・ノースの音楽からは当時聴こえなかったものが聴こえてくる。音楽って同じレコードを聴いていても、ひとによって聴いているものは違うんだから不思議だ。耳が音楽を聴いているんじゃなく、意識が、頭脳がその音楽をとらえていることがこのことでも立証される。当時63年のワイルド・フラワーズから始まったカンタベリー・ツリーは、キャラバン、ハットフィールド・アンド・ザ・ノース、キャメル、ゴング、エッグ、マッチング・モールなどに波及し、77年にはリチャード・シンクレア以外のハットフィールド・アンド・ザ・ノースの残りのメンバーたちは、NATIONAL HEALTHへと発展していく。

HATFIELD AND THE NORTH( VIRGIN V2008)
side one:The Stubbs Effect(Pip Pyle)Big Jobs "Poo Poo Extract"(R.Sinclair) Going Up To People And Tinkling(D.Stewart) Calyx(P.Miller) Son Og "There's No Place Like Homerton"(D.Stewart) Algrette(P.Miller) Rifferama(R.Sinclair,arr.The North)
side two:Fol De Rol(R.Sinclair) Shaving Is Boring(R.Pyle) Licks For The Ladies(R.Sinclair) Bossa Nochance(R.Sinclair) Big Job No.2 "by Poo And The Wee Wees"(R.Sinclair) Lobsters In Cleavage Probe(D.Stewart) Gigantic Land-crabs In Earth Takeover Bid(D.Stewart) The Other Stubbs Effect(Pip Pyle)
RICHARD SINCLAIR(Bass,Singing) PHIL MILLER(Guitars) PIP PYLE(drums) DAVE STEWART(Organ,Pianos and Tone Generator) THE NORTHETTES(Singing) GEOFF LEIGHT c/o HENRY COW(Saxes and Flte) JEREMY BAINES(Pixiephone) ROBERT WYATT(Singing on "Calyx")
recorded at The Manor Studios in 1973. engineered and produced by Tom Newman and The Hatfields.coverdesign and photography by Laurie Lewis
1973 VIRGIN RECORDS

HATFIELD AND THE NORTH/THE ROTTER'S CLUB(V2030)
side one:1.Share It 2.Lounging There Trying 3.(Big) John Wayne Socks Psychology On The Jaw 4.Chaos At The Geasy Spoon 5.The Yes No Interlude 6.Fitter Stoke Has A Bath 7.Didn't Matter Anyway
side two:1.Underdub 2.Mumps a.Your Majesty Is Like A Cream Donut b.Lumps c.Prenut d.Your Majesty Is Like A Cream Donut
PIP PYLE(drums and percussive things) RICHARD SINCLAIR(bass and vocals/guitar on "Didn't Matter Anyway") DAVE STEWART(organ,electric piano and tone generators)
produced by The Hatfields engineering and production assistance Dave Ruffell recorded and mixed on Saturn,worthing recording studio january and february 1975
1975 VIRGIN RECORDS

youtubeでも当時のライヴ映像をみることができるが、レコードでの音楽とライヴでは格段の違いがある。音楽の第一印象はなによりも大事だから、みるならこの2枚のレコードを聴いてからにしたほうがいいだろう。

2008年02月07日

CASCADES 4

カンタベリー・ジャズロックの即興性と室内楽的アンサンブル、現代音楽的構造を持ったポストモダン・ジャズ
HENRY COW
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 4

もはやHENRY COWの音楽をアヴァンギャルドと呼ぶのはよそう。 クラシックやジャズの音楽理論を習得したフレッド・フリスやティム・ホジキンソンを核にしたカンタベリー・ジャズロックの即興性と室内楽的アンサンブル、現代音楽的構造を持ったポストモダン・ジャズでいいだろう。そのことはRay Smithの「靴下」を描いたカヴァー・ペインティングに象徴されている。ライヴでは即興性を重んじるアクトを展開してはいたが、彼らのアルバムでの音楽はフリージャズにある無作為性とはほど遠い明確な構造を持っている。スリリングで予期出来ない楽曲を意識的に創造し、その突然変異的な構造美こそが彼らの音楽にみられる特質だ。'68 年結成されたヘンリーカウはSLAPP HAPPYとの融合/分裂を経て78 年に解散してしまい、 この期間に残された作品は僅か5枚だが、ここには30数年という時間を経たいまでも色褪せることが無い斬新なポストモダン・ジャズが凝縮されている。

HENRY COW/LEG END(RED RECORDS RED 001)
73 年に発表された第一作「Leg end」。ヴァージンからではなくフィラデルフィアのRED RECORDSからリリースされたもの。Aサイド1曲目の「Nirvana For Mice」はスピード感あるリズムのうえを管楽器のフレーズが踊る。まさにハードバップだ。 彼らの音楽はクラシック、スピリチュアル、フリー・ジャズ、ロックなど多様式主義的構造を持つ楽曲のなかに、タイミングよくフレッド・フリスのリリカルなメロディが挿入されることによって、カンタベリー・ジャズの特徴が浮かび上がる。当時コンテンポラリー・ロック(プログレッシヴ・ロック)台頭のなか、ヘンリーカウだけが現在のポストモダンの時代を先駆けていたと言えるだろう。

HENRY COW/UNREST(VIRGIN V2001)
当時ヘンリーカウの音楽とサードイヤーバンドなどのいわゆるチェンバーロックは同等に語られていて暗く陰湿で難解な音楽だととらえられていた。74年に発表されたセカンド「UNREST」は、サックス、フルートのジェフ・ライが脱退し管楽器バスーン、オーボエ奏者のリンゼイ・クーパーが新らしく加入している。 そのことによってこのアルバム全体を包むサウンドスケープはチェンバーロックという形容に相応しくファーストでのスピード感あるジャズ的なるものから、よりアブストラクトでロック的なるものに接近している。こうした音楽をインプロビゼーション、フリーなどと形容するのは間違っている。あらかじめ綿密に計算された構造のなかで、緊張感を生むためにギターなどはそのような手法をとって録音されるだろうが、スコアに起こされた明確な構造のなかで、即興、フリー、サウンドコラージュという遊びを持ったものだ。暴力的、ノイズ、気違いじみたなどの形容ももはや彼らの音楽にはあてはまらない。美しいバロキスム・ミュージックだ。

HENRY COW+SLAPP HAPPY/IN PRAISE OF LEARNING(VIRGIN V2027)
75年に発表されたサードアルバム。SLAPP HAPPYとの74年の共作アルバム「Desperate Straights」で共演した後、SLAPP HAPPY のメンバーが HENRY COW に合流し制作された作品。ジャケット裏の最後のコメントにはイギリスのドキュメンタリー作家を育て自身も記録映画作家だったJohn Griersonの"Art Is Not A Mirror-It Is A Hammer"という言葉が添えられているが、このアルバム録音後、ダグマー・クラウズだけを引き抜きヘンリ−カウはスラップハピーと決別するのだが、芸術や音楽が、すべての既成概念を破壊し新たな世界の扉をあけていたあの時代は様々なイデオロギーが交錯するなかで、特にロックにそのような観念、空論を見いだそうとする若者が多かったのは事実だ。80年代の頭だったか(手元に雑誌「ロックマガジン」がないから正確な年を忘れたが)、ロンドン郊外の一軒家に住むそのクラウゼに一度だけインタヴューしたことがある。「あなたの音楽はネガティヴですね」というボクの質問に突然憮然として怒りだしたことがある。あれもいまやいい笑い話で楽しい思い出だ。スラップハピーの音楽やダグマー・クラウゼのファルセット気味のヴォーカルを聴くとボクはなぜかハッピーエンドで終わる通俗劇に対する痛烈なパロディを描いていたベルトルト・ブレヒトの「三文オペラ」を思い出す。(ヘンリーカウの音楽に歌による物語性はいらないと当時そう思ったが)
アルバム全体を1つの作品として聴くコンセプチュアル・アルバムとしてのこうした音楽に感情移入し、幻想そのものをコンセプチュアライズすることは当時としては当たり前の行為だった。だけどそこからは誰も答えを見つけることが出来なかったことだけ、付け加えておこう。

HENRY COW/LEG END(RED001)
side one:Nirvana For Mice(Frith) Amygdala(Hodgkinson) Teenbeat Introduction(H.Cow) Teen beat(Frith/Greaves)
side two:Extracr From'With The Yellow Half-Moon and Blue Star'(Frith) Teenbeat Reprise(Frith) The Tenth Chaffinch(H.Cow) Nine Funerds Of The Citizen King(Hodgkinson)
Fred Frith guitars, violin, viola, piano, voice
Tim Hodgkinson organ, piano, alto sax, clarinet, voice
John Greaves bass, piano, whitsle, voice
Chris Cutler drums, toys, piano, whitsle, voice
Geoff Leigh saxes, flute, clarinet, recorder, voice
recorded at Manor Studio,May/June '73
sound by Tom 'greasy Patches' Newman and Henry Cow,(First bit of 'Nirvana for Mice' engineered bu Mike Oldfield). for Teenbeat Chorade we were anymented by Sarah Greaves,Maggie Thomas and Cathy Williams.
front cover by Ray Smith
1973 RED RECORDS

HENRY COW/Unrest(VIRGIN V2011)
I:Bittern Storm over Ulm Half asleep;Half awake Ruins
II:Solemn Music Linguaphonic Upon entering the Hotel Adlon Arcades Deluge
Fred Frith stereo guitar, violin, xylophon, piano
Tim Hodgkinson organ, alto sax, clarinet, piano
John Greaves bass, piano, voice
Chris Cutler drums
Lindsay Cooper bassoon, oboe, recorder, voice
recording engineeres:Phil Becque with Andy Morris:parts of Ruins by Mike Oldfield.
Mixing engineers:side I,Phill Becque:side II,Henry Cow. certain vocals and engineering assistance by Charles Fletcher.
cover paintings and inside photograph by Ray Smith.
recorded at the Manor Feb./Mar.1974
produced by Henry Cow and dedicated to Robert Wyatt and Uli Trepte.
1974 VIRGIN RECORDS

HENRY COW+SLAPP HAPPY/IN PRAISE OF LEARNING(VIRGIN V2027)
I.War(Moore/Blegvad) II.Living In The Heart Of The Beast(Hodgkinson) III.Beginning:The Long March(H.Cow/S/Happy) IV.Beautiful As The Monn-Terrible As An Army With Banners(Frith/Cutler) V.Morning Star(H.Cow/S.Happy)
I.War(Moore/Blegvad)
Tim Hodgkinson organ, clarinet, piano on 2
Fred Frith guitar, violin, xylophon, piano on 4
John Greaves bass, piano
Chris Cutler drums, radio
Dagmar Krause voice
Peter Blegvad guitar on 2,3, voice on 1, clarinet on 1
Anthony Moore piano on 1,2, electronics, tapework
Lindsay Cooper bassoon, oboe, recorder, voice
guest:Geoff Leigh soprano sax on 1
Mongezi Feza trumpet on 1
Phil Becque oscillator on 4
produced by H.Cow/S.Happy/P.Becque
recording and mixing engineered by Pjil Bacque.
recorded at Monor February-March 1975
1975 VIRGIN RECORDS

レコードでのヘンリーカウの音楽はライヴでは聴けない念のため。
http://www.youtube.com/watch?v=iDFxcBsDNI0

2008年02月08日

CASCADES 5

オプティミストのスラップ・ハッピーの音楽と
ペシミストのヘンリーカウの音楽との落差
SLAPP HAPPY
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 5

スラップ・ハッピーとはドラッグハイやボクサーが殴られた瞬間にフッと気持ちよくなるパンチ・ドランカー状態の気分をさす言葉で、楽観主義的ケセラセラ、なるようになるさという意味を持つ。スラップ・ハッピーは1960年代の終わりにイギリスに移住したピーター・ブレグヴァドがアンソニー・ムーア とロンドンで出会い、その後ドイツでの実験的映画のための音楽を担当し(スラップ・ハッピーの72年の事実上のファースト「Sort Of」にみられるアンソニー・ムーアとファウストとの関係はこの時期に形成されていたのだろう)、その時にドイツのバンドでヴォーカルをつとめていたダグマー・クラウゼと巡り会い1971年にこの3人でスラップ・ハッピーを設立することになる。当時、スラップ・ハッピーのオプティミスト的態度とヘンリーカウのペシミスト的態度の、この2つのバンドの落差に矛盾をみていたボクは、なぜこの2つの異質なバンドが吸収合併しながら活動を続けたのかいまも判らない。その疑問がいまにして思えばきっとダグマーにインタヴューした際にでてきたあの意地悪い質問だったのだろうと思う。ヘンリー・カウのもつ共産主義的思想とスラップ・ハッピーのメンバーのもつボヘミアン的で享楽的な生き方が融合するはずなどない。スラップ・ハッピーはポップバンドだ。

SLAPP HAPPY/CASABLANCA MOON(VIRGIN V2014)
当時このアルバムにもシリアスに反応し感情移入していた自分のバカらしさに笑えてくる。74年発表の「Casablanca Moon」は前衛でも、ペダントリーな音楽でもなく、シンプルなポップミュージックだ。それはアンソニー・ムーアの音楽性によるものだろうが、もし今彼女たちがJポップ系のバンドとして表出してきたなら、ジャズからラテンテイストのポップミュージックもあるこのフレキシビリティな融通自在の音楽はなんの抵抗感もなく大衆に受け入れられるだろう。時間というのは、誤解だらけの、当時見えなかったものまで見せてくれることもある。

SLAPP HAPPY+HENNRY COW/DESPERATE STRAIGHTS(VIRGIN V2024)
75年発表のアルバム「Desperate Straights」。 バックを編成しているヘンリーカウの音楽性、音楽スキルはダグマー・クラウゼの歌やスラップ・ハッピーの楽観主義的音楽をも、まるでひとつのノスタルジックな物語性ある歌劇のように変容/変質させ音楽的に高めてしまう。ヘンリー・カウという存在があったればこそ「Desperate Straights」はスラップ・ハッピーの最高作となりえた作品だ。吸収/合併しながら昇華していった彼女たちは、このアルバムとヨーロッパ・ツアーライヴが収録されたヴァージン・キャロラインから76年に発表されたダブルアルバム「HENRY COW CONCERTS」のなかで頂点を迎え分裂してしまう。このアルバムは75年2月にスラップ・ハッピーの主導のもとに制作されたアルバムらしい。なお98年には新作「CA VA」を発表し、2000年にはニッポンでライヴを行ったという。(そんなバカな。当時リアルタイムに彼女たちの音楽をどれだけの人が聞いていたか、それはボクと去年亡くなった北村昌士だけが知っている)

ANTHONY MOORE/OUT(VIRGIN V2057)
これはボクが個人的に直接ヴァージンからもらったもので、76年にソロとしてヴァージンと契約したものの発売が中止になったアンソニー・ムーアのアルバム「OUT」のオリジナル・ジャケットとカセットテープ。初公開だ。しかしいつだったかこの作品がオフィシャルに無断で海賊盤でCD化されているというのを聞いて愕然としたものだ。この作品以前の70年代初頭のアンソニー・ムーアはケージのプリペアド・ピアノのような手法を使った現代音楽や、ミニマルなどの実験音楽に着手していて2枚の作品をポリドールから発表している。未発表アルバム「OUT」はPeter Jennerがプロデュースしたもので、収録されている曲は「Catch a Falling Star」、「The Pilgrim」など全12曲。ポップでモダンな出来映えだ。アルバムデザインを手掛けたHIPGNOSISのクレジットも懐かしい。このジャケットには喧嘩して殴られた右目に青い痣をつけたムーアの写真が使われている。(注、このジャケット写真だけは無断に使用しないで下さい)

HENRY COW/CONCERTS(VIRGIN/CAROLINE CAD 3002)
ヘンリー・カウは1968年ケンブリッジ大学でフレッド・フリスとティム・ホジキンソンのふたりを中心に結成された。最近知った話だが彼らはピンク・フロイドとのジョイント・コンサートでデビューしたというから驚きだ。その後69年にジョン・グリーブス、71年にクリス・カトラー、72年にジェフ・リーが加わり73年8月ファースト・アルバムを発表するに至る。ヘンリーカウは78年のクーパーを加えたヨーロッパ・ツアーを最後に解散してしまうが、このアルバムはロバート・ワイアットと共演した75年ロンドンのLondon Theatreを皮切りに、イタリアのUdine、オスロのHovikoden Arts Centere、フランスのFresnes、オランダのVeraでのヨーロッパ・ツアーライヴが収録された2枚組アルバム。ヘンリー・カウの解散後は、フレッド・フリス、クリス・カトラー、ダグマー・クラウゼの3人が新しいユニット「アート・ベアーズ」を結成し78年~81年までに3枚のアルバムを発表している。最終的にヘンリーカウの流れはNEWS FROM BABEL、MASSACRE、SKELETON CREW などに発展していく。

side one:1.Beautiful As The Moon;terrible As An Army With Banners(Frith/Cutler) 2.Nirvana For Mice(Frith) 3.Ottawa Song(frith/Cutler) 4.Glpria Gloom(Wyatt/MacCormik) 5.Beautiful As The Moon Repruse(frith/cutler)
side two:6.Bad Alchemy(Greaves/Blegvad) 7.Little Red Riding Hits The Road(Wyatt) 8.Ruins(Frith)
side three:9.Oslo(Henry Cow)
side four:10.Groningen(Hodgkinson/Hennry Cow) 11.Udine(Henry Cow) 12.Groningen Again(Henry Cow)
LINDSAY COOPER(bassoon/flute/oboe) CHRIS CUTLER(drums) DAGMAR(voice) FRED FRITH(guitar/piano) JOHN GREAVES(bass/voice/celesta) TIM HODGKINSON(organ/clarinet/alto sax) +with ROBERT WYATT
5・8・75. recorded & mixed by Bob Conduct & Tony Wilson
released by arrangement with BBC records and tapes
1976 VIRGIN/CAROLINE RECORDS

CASCADES 6

ジャズを好きになると世界中の人と繋がった気がする
(ロバート・ワイアット)
カンタベリーの風景 +言葉の調べ(韻律)+ジャズ
ROBERT WYATT
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 6

ロバート・ワイアット(Robert Wyatt, 1945.1.28生)の音楽ルーツはジャズ、ラテン、ボサノヴァなどで、シンプルな音楽ではあるのだが奥深い、言葉の調べ(韻律)と「季語」と「切れ」によって、短い詩でありながら心のなかの場景(心象)を大きくひろげることができる特徴を持っている「俳句」のような世界がワイアットの歌や音楽の本質、根源だろうと思っている。彼がもっとも敬愛するアーティストはマイルス・デイヴィスで「ジャズを好きになると世界中の人と繋がった気がする」という最近の発言や、ヴァージンからの75年のアルバム「RUSH IS STRANGER THAN RICHARD」では、叙情的な楽曲に政治的なテーマを扱い人間に対する深い愛に根ざしているといわれたジャズ・ベース奏者チャーリー・ヘイデンの「Liberation Music Orchestra」('69)から“Song For Che”、82年のラフトレイドからのアルバム「NOTHING CAN STOP US」では、ビリー・ホリデイの“Strange Fruit”などをカヴァーしていることから、ロバート・ワイアットの音楽をカンタベリー一言では片付けられないジャズのもっと奥深いところから湧き出る音楽として最解釈する必要がある。1960年代にソフト・マシーンの中心メンバーだった彼が、バンド脱退後のパーティの席上で酔ったまま5階から転落してしまい下半身不随という重傷を負いドラマーとしての生命は絶たれることになったが、その後も様々なミュージシャンとの交流を重ねながら、現在まで10数枚のソロアルバムを発表し、ソフトマシーン、カンタベリー系などで彼が関わったレコードは50数枚を超えている。

ROBERT WYATT/RUTH IS STRANGER THAN RICHARD
(VIRGIN V2034)
ワイアットのソロアルバムのなかで最も好きだった作品が75年に発表された3枚目だ。このアルバムでは、ゲストに「クリス・マクレガー」のメンバーだったテナーサックス・プレイヤーのゲイリー・ウィンド、「バタード・オーナメンツ」のメンバーだったテナーサックス・プレイヤーのジョージ・カーン、「デリヴァリー」のメンバーだったドラムスのローリー・アランなど3人の英国ジャズ・ミュージシャンたちが参加していることが何よりも重要なことで、当時は多くのリスナーが、ビル・マコーミックやブライアン・イーノ、フレッド・フリスなど、カンタベリー系のミュージシャンが参加していることの方に視点がいってしまいがちだったが、アルバム全体を支配しているのは、バリトンサックス、テナー、ソプラノサックス、トランペット、ベースクラリネットによる管楽器によって生まれるハードバビッシュなジャズグルーヴだ。ジャズをイニシエーションした耳で聴いても、このアルバムは充分過ぎるほど現在の「ジャズ的なるもの」の時代に通用する。若かったあの頃はなにも分からず、ただ感覚だけで音楽に接していたけれど、いい時代の最高の音楽を聴いていたんだなと、このブリティッシュ・ロックへの回顧「CASACADES」のために再び自分の手許に引き寄せて最考察してたら、そう再認識し確信したよ。

ROBERT WYATT/RUTH IS STRANGER THAN RICHARD
SIDE RICHARD:♪"Maddy Mouse(a)(Frith/Wyatt)" 00.50
Fred Frith(piano) Robert Wyatt(mouth)
♪"Solar Flares(Wyatt) "5.35
Bill MacCormik(bass) Gary Windo(bass clarinet) Robert Wyatt(mouth,drums,key)
♪"Moddy Mouse(b)(frith/wyatt)" 00.50
Fred Frith(piano) Robert Wyatt(mouth)
♪"5 Black Notes and I White Note(Offenbach/wyatt)" 4.58
Laurie Allan(drums) Brian Eno(guitar,synthesiser) Nisar Ahmad Khan(tenor sax) Bill McCormik(bass) Gary Windo(tenor sax,alto sax) Robert Wyatt(imitation electric piano)
♪"Muddy Mouse(c) which i turn leads to Muddy Mouth(Frith/Wyatt)" 6.11
Fred Frith(piano) Robert Wyatt(mouth)
SIDE RUTH:♪"Soup Song(Hopper/wyatt)" 5.00
Laurie Allan(drums) Nisar Ahmad Khan(baritone sax) Bill MacCormick(bass)
♪"Sonia(Feza)" 4.12
Mongezi Feza(trumpet) John Greaves(bass) Gary Windo(bass clarinet,alto sax) Robert Wyatt(drums,piano)
♪"Team Spirit(MacCormik/Wyatt/Manzanera)"8.26
Laurie Allan(drums) Brian Eno(direct inject anti-jazz ray gun) Nisar Ahmad 'george' Khan(tenor sax) Bill MacCormik(bass) Gary Windo(tenor sax) Robert Wyatt(mouth,piano)
♪"Song For Cha(Heden) "3.36
Laurie Allan(drums) Nisar Ahmad Khan(tenor sax,soprano sax) Robert Wyatt(piano)
cover by Alfreda Benge
1975 VIRGIN RECORDS

ROBERT WYATT/ROCK BOTTOM
(VIRGIN V2017)
74年ヴァージンから発表。カンタベリー・ミュージックを代表するヒュー・ホッパー(ソフト・マシーン)、リチャード・シンクレア(キャラヴァン)、ローリー・アラン(ゴング)、第2期マッチング・モールに参加予定だったギャリー・ウインド、そしてマイク・オールドフィールド、それに加えワイアットがファンだったというアフロジャズのアサガイのトランペッター、モンゲジ・フェザなどによるドメスティックでアットホームな手作り感あるスタジオ・セッッションによるトラディショナルで叙情的なアルバム。ワイアットのスキャットも聴けるヴォーカルやキーボードを中心に構成されたこのアルバムでの、全体を通して聴こえる不安定さがより彼の暖かいヒューマニティを表現していて◎。このアルバムのプロデューサーはニック・メイソン(ピンク・フロイド)が手掛けている。

ROBERT WYATT/ROCK BOTTOM
A:Sea Song- Richard Sinclair(bass) Robert Wyatt(voice,key,james's drum)
A Last Straw - Laurie Allan(drums) Hugh Hopper(bass) Robert Wyatt(voice,key,guitar,delfina's wineglass)
Little Red Riding Hood Hit the Road- Ivor Cutler(voice) Mongezi Feza(trumpet) Richard Sinclair(bass) Robert Wyatt(voice,key,james's drum,delifina's tray and a small battery)
B:Alifib- Hugh Hopper(bass) Robert Wyatt(voice,key)
Alifie- Alfred Hopper(bass) High Hopper(bass) Gary Windo(bass clarinet,tenor) Robert Wyatt(voice,key,james' drum)
Little Red Robin Hood Hit the Road-Laurie Allan(drums) Ivor Cutler(voice,baritone concertina) Fred Frith(viola) Mike Oldfield(guitar) Robert Wyatt(voice,key)
Produced by Nick Mason
Drones and songs by Robert Wyatt
engineered by Steve Cox at the Manor and on Delifina's farm with the Manor Mobile and by Dick Palmer,assisted by Toby Bird at CBS studios London
cover by Alfreda Benge
1974 VIRGIN RECORDS

2008年02月10日

CASCADES 7

不気味でキモかわいい そしてナンセンスなエドワード・ゴーリーの絵本世界の音楽化とロンドンの劇作家ハロルド・ピンターが書き下ろしたシアトリカルなポストモダン・オペラ
MICHAEL MANTLER
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 7

MICHAEL MANTLER+EDWARD GOREY/THE HAPLESS CHILD
(WATT/4)
ロバート・ワイアット関係で注目すべき2作品がある。その1枚は76年にニューヨークのWATT WORKSからリリースされた物語性を重視したポストモダン・オペラとしての様式を持つ「The Hapless Child and other incrutable stories」で、大人のための絵本作家として世界的なカルト・アーティストであるエドワード・ゴーリーの散文詩が使われたもの。ゴーリーといえば11歳の時から2000年に亡くなるまで猫とだけ暮らしていたという逸話を持つひとで、単行本「The Unstrung Harp」、1972年「Amphigorey」などの著作、 他に1977年にはブロードウェイの舞台「Dracula」のセットと衣裳デザインによりトニー賞を受賞、 後に自身の作品をベースにしたミュージカル「Gorey Stories」の上演、PBS( Public Broadcasting System)の番組「Mystery!」のオープニング・アニメーションを作成など多岐にわたり活動していた。彼の「Amphigorey」、「The Doubtful Guest」などの絵本にみられる不気味でかわいいい独特な線画のナンセンスなゴーリー世界がマイケル・マントラーの音楽とワイアットのヴォーカル、カーラ・ブレイのピアノ、クラヴィネット、ストリング・シンセサイザーなどのオーディオ・インスタレーションによって再生され動きだす。そしてこのアルバムの主役マイケル・マントラーは、1943年ウィーン生まれのトランペット奏者・作曲家で、JCOAやWATTレーベルの創設者だが、それ以上にECMレコードの創始者として有名。彼はその後1987年にサミュエル・ベケットやエルンスト・マイスター、フィリップ・スーポーの詩を基にしたアルバム「メニー・ハヴ・ノー・スピーチ」を発表、2001年3月にロルフ・ハイムの企画による劇場版「ハイド・アンド・シーク」なども発表している。彼のジャズ、クラシック、ロックのミュージシャンを起用した前衛文学をテキストに使った数多くの作品が制作されているが、タイミングよくアンソロジー・アルバムがECMから発表されている。
http://www.edwardgoreyhouse.org/
http://www.mantlermusic.com/

A:The Sinking Spell/The Object-Lesson/The Insect God
B:The Doubtful Guest/The Remembered Visit/The Hapless Child
ROBERT WYATT-vocals/CARLA BLEY-piano,clavinet,string synthesizer/STEVE SWALLOW-bass guitar/JACK DEJOHNETTE-drums,percussion/TERJE RYPDEL-guitar/ALFREDA BENGE-speaker/ALBERT CAULDER,NICK MASON,-additional speakers
recorded july 1975 through january 1976 at Grog Kill Studio on Willow,New York,with the Manor Mobile at Robert Wyatt7s house and Delfina's farm in England,and at Britannia Row in London
engineers:Michael Mantler,Dennis Weinreich,Alan Perkins,Nick Mason/mixed January 1976 at Britannia Row by Nick Mason
produced by CARLA BLEY
1975 WATT WORKS INC.

MICHAEL MANTLER/SILENCE an adaptation of the play by HAROLD PINTER(WATT/5)
先のアルバムの直後にヴァージン/WATTから発表されたもの。このアルバムでの歌詞(台詞?シナリオ?)は英ロンドン劇作家ハロルド・ピンターが書いたもので、彼の作品は「劇中で日常の対話の中に隠されている危機をあらわにし、抑圧の閉ざされた空間への通路を押し開いた」と批評されるイギリスの演劇界では高く評価されている人物で、ノーベル文学賞を受賞してもいる。現代社会の現実に対して理想や夢を捨て去ることはできないが、我々はそうした深い苦悩がよりリアルに反映されたデスコミュニケーションの時代を生きているが、彼の書くシナリオはそうした社会を辛辣に風刺、批判したものが多い。この「SILENCE」ではケヴィン・コイン演じるRUMSEYと、カーラ・ブレイ演じるELLEN、ロバート・ワイアット演じるBETESの3人の主人公を設定し、その歌はまるでセリフのように歌われ、シアトリカルなポストモダン・オペラ仕立てのコンセプトアルバムとして構成されている。このアルバムをプロデュースしているカーラ・ブレイのアイデアを主軸としたWATTレーベルは、もともとは夫のマイケルとの共作の発表の場として考えて設立されたものだろう。現在マイケル・マントラーとカーラ・ブレイは離婚しているが、最近の彼女の活動が知りたくてググって調べるとイキなウェブを見つけた。そこには、現在活動をともにしている Steve Swallow (bass)、娘の Karen Mantlerが離れ小島に造られた刑務所に収容されているという架空の設定で作られた、ブラックユーモアあふれる楽しいウェブサイトである。彼女たちのオリジナル曲の試聴可能。
http://www.wattxtrawatt.com/

side one:1.IWalk With My Girl 2.I Watch The Clouds 3.It Is Curiously Hot 4.When I Run
side two:1.Sometimes I See People 2.Around Me Sits The Night 3.She Was Looking Down 4.For Instance 5.A Long Way 6.After My Work Each Day 7.On Good Evenings
all tracks:Michael Mantler words by Harold Pinter
CARLA BLEY-voice,piano,organ/ROBERT WYATT-voice,percussion/KEVIN COYNE-voice/CHIRIS SPEDDING-guitar/RON McCLURE-bass guitar,acoustic guitar/CLARE MATHER-cello
Carla Bley and Ron McClure recorded during january 1976 at Grog Kill Studio,Willow,New York,engineer:Michael Mantler/Robert Wyatt and Chris Spedding recorded during February with the Manor Mobile at Delfina's farm,Little Bedwin,Wiltshire,England engineer:Alan Perkins/Kevin Coyne recorded during April with the Virgin Mobile at the Gong farm,Whitney,Oxfordshire,England,engineer:Steve Cox/additional strings recorded during June and mixed during November at Grog Kill Studio,engineer:Michael Mantler
1976WATT WORKS,INC/VERGIN RECORDS

2008年02月11日

CASCADES 8

フレッド・フリスのただ在るものとしてのノンセンス・ミュージックと
デレク・ベイリーのnon-idiomatic improvisation「非慣用的な即興」
FRED FRITH+DEREK BAILEY
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 8

ティム・ホジキンソンと共にHENRY COWの創設メンバーであったフレッド・フリスはHENRY COWの終焉とともにART BEARSを始動させ、同時にソロ活動を活発に行う。ヘンリー・カウが解散した78年に単身アメリカへと渡り、ノー・ニューヨーク/ノー・ウェイヴ全盛のNYでマテリアルと合流し、リーダーのビル・ラズウェルと当時16歳のフレッド・メイヤー(ドラムス、後にスクリッティ・ポリッティに参加)と共にMASSACREを結成。(81年にセルロイドからリリースされたこのあたりの原盤は機会があれば紹介します)。'85年にフリスはSKELETON CREWで、CURLEWのチェリスト、トム・コラ、NEWS FROM BABELのハーピスト兼キーボード奏者のジーナ・パーキンスなどとパフォーマンスを展開するが、翌'86年には解散する。その後フリスは事実上音楽活動を休止した状態が続き、'88年に「The Technology Of Tears」、'89年にはサントラ「The Top Of His Head」をリリースし、FRENCH FRITH KAISER THOMPSONやジョン・ゾーンのNAKED CITYなどにベーシストして参加する。この頃にはルネ・リュシエとKEEP THE DOG、THE GUITER QUARTETなども組み活動(KEEP THE DOGのほうは'92年頃には解散)。そんな中'90年にはニコラス・フンベルトとヴェルナー・ペンシェルの監督により旅する人フリスを描いた映画「Step Across The Border」が作られ同名のアルバムもリリース。その後もヨーロッパ等での活動を活発に行いながらも映画やダンスの為の作曲も続け'96年には「Middle Of The Moment」や「Allies」等を発表。'97年はTHE GUITER QUARTETのアルバム「Ayaya Moses」をリリースし今も活動を続けている。
http://fredfrith.com/

FRED FRITH/GUITAR SOLOS
(Caroline Records C1508) 
' 74年キャロライン/ヴァージンから発表のファースト・ソロ・アルバム。アブストラクトではあるが、彼の音楽を、暴力的アヴァンギャルド・サウンドだとか、インダストリアル・ゴシック・ミュージックだとか言われ続けているが間違いだ。ギターというツールボックスによるオーディオ・インスタレーション/オーディオヴィシュアル・インスタレーション(視聴覚の、聴の装置)としてのクールで醒めた構造が強く感じられる。ギター1本による即興演奏によるこのアルバムも、「Glass c/w Steel」ではピックの変わりになる鏡に持ち替えて弦を擦ったり、「Ghosts」ではヴォリューム・ペダルを操作することによってワウァワウァ鳴る音を発てたり、「Out Of Their Heads」ではファズを使うことによってピアノの弦を叩いているかような音を合成し、現代音楽のプリペアド・ピアノを真似たものだしなどなど、楽器ではなく、音の出るギターというツールを使ったフリスのシンプルなアイデアによって構成されたアルバムである。こうしたギター・インプロビゼーションには意味などない。子供が玩具を手に取って自由に音楽遊びしているのに似た「お遊び」だ。こうしたエクスペリメンタルと言われる音楽が機能するのは、天井の高いコンクリート打ちっぱなしのアートスペースなどの、西洋近代建築のなかだけだ。 もう一度言っておこう、こうした音楽は、意味を思い問うものではなく、ただ在るものとしての音楽。人工的に創りだす空間のなかの空気感。気配。

side one:1.Hello Music 2.Glass c/w Steel 3.Ghosts 4.Out Of Their Heads (On Locoweed)
side two:5.Not Forgotten 6. Hollow Music 7.Heat c/w Moment 8.No Birds
all compositions by FRED FRITH
engineering:David Vorhaus
cryptic comments:Jack Balchin
sleeve photos and design:Ray Smith
1974 CAROLINE/VARGIN RECORDS


VA/GUITAR SOLOS 2
(CAROLINE C 1518)
当時イギリス、ヨーロッパのフリーミュージック・シーンで活動していたフレッド・フリス、デレク・ベイリーなど4人のミュージシャンによるコンパイルアルバム。DEREK BAILEYは1932年にイギリスのヨークシャーで生まれ11才の頃より正式なギター教育を受け、'60年代からフリー・インプロビゼーションの世界に傾倒していき、'66年ロンドンでJohn Stevens、Evan Parker、Kenny Wheeler、Dave Hollandらと「The Spontaneous Music Ensemble」を結成。'70年にはEvan Parker、Tony Oxleyと共にINCUSレコードを設立。彼が注目されだしたのは、Brian EnoのObscureレーベルのGavin Bryars「Sinking Of The Titanic」でのギタープレイだろう。調性もリズムもストーリー性(起承転結)もなにもない彼の音楽は、non-idiomatic improvisation'(非慣用的な即興)と呼ばれ、音楽のどの文脈にも属さないものと定義付けされている。まるで東洋の禅のような音楽だな。残念なことに2005年12月24日ロンドンの自宅で逝去している。G.F.FITZGERALDといえばアシッッド、サイケフォークのギタリストで、ボクが彼の名前を知ったのはこのアルバムが最初で、次にロル・コックスヒルのヴァージンからのアルバム「Fleas In Custard」にクレジットされていた。このアルバム以前に70年に眼鏡猫で有名なアルバム「Mouseproof」がUK のUNIレーベルからリリースされていた。HANS REICHELは当時ドイツ、ベルリンのFMPから「Wichlinghauser Blues」などのアルバムを発表していたが、自作楽器ダクソフォンを操る即興演奏ギタリストとして知られている。この4人のなかで独自の非イディオマティック・インプロヴィゼーション、言葉どおりのフリーミュージックを確立したのはやはりデレク・ベイリーただひとりだった。といってもやはりこうした音楽はポストモダンな、あるいはモダンな西洋近代建築の空間だけで機能するもの。

side one:FRED FRITH 1.Water/Struggle/The North 2.Only Reflect
G.F.FITZGERALD 3.Brixton Winter 1976
side two:HANS REICHEL 4.Avantlore 5.Vain Yookts 6.Donnerkuhle DEREK BALLEY 7.Virginal 8.Praxis 9.The Lost Chord
all the piaces were recorded in Dec.75 or Jan.76,and are heard as played. 1 and 2 were recorded at at Tom Newman's barge(Argonaut Studio). 1 uses two guiters simultaneously-an Ormston-Burns black Bison,and a Gibson 345.Both are fitted with an extra pick-up mounted above the first fret,which,together with a contact microphone,an ambience microphone and slow echo repeat,make s a tatal or 9 separate tracks at once.
2 was played on the Gibson. on 3 the guitar,a Burns TR2,was treated with crocodile clips,crome pipe and a loudspeaker from the output of the main amp on the strings.The instrument was tuned BEAGBE,and the main loudspeaker was facing a piano frame.The recording was done on a Revox and cleaned up at Tom Newman's Studio.
5,5 and 6 were played on a home-made guiter (one neck of it pointing to the left,one to the right).the guitar on 2,8 and 9 was an Epiphone Blackstone Acoustic.
1976 CAROLINE RECORDS

関西には特にこうした音楽に幻想のようなものを抱いて支持している人間が多いという。はっきり言っておくが、そうした聴き方は間違っている。松岡正剛の「千夜千冊」でのデレク・ベイリー論もボクには?だ。こうした音楽は野呂芳雄が「ユリイカ」(1981年, 5月号, 青土社)の「夢・ノンセンス・宗教」で書いておられた"ノンセンスは何よりも「言棄のゲームで」あり、遊ぴである。遊びである以上は、こちらを支配するようないかなる情緒も認めないし、避けなければならない。私たちから情緒的反応を引き起こして、私たちを情緒の波に乗せて運んで行ってしまうような、美、性、愛などはノンセンスにとってタプーである”というノンセンスの効用でもある「シンボルに支配されずにシンボルを支配する」という音楽だ。空気のように気配だけを感じるノンセンスな音楽をシリアスに聴いているなんてアリスが笑うよ。キミたちはいま流行りのKYか? さて、キミに禅問答だが、フリー・インプロヴィゼーションはジャズかロックか現代音楽か? ・・・。

2008年02月12日

CASCADES 9

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドなどにもみられる
1960年代後半のカウンターカルチャーに影響された
自然主義者のドラッギーなバロキスム(Baroque-ism)・ポップ
FAUST
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 9


1971年に発表された美しいスケルトンのレコードと、透明のヴィニール・ジャケットに印刷されたレントゲン撮影された拳のファーストアルバム「Faust」を聴いてからもう37年もの時が流れている。ストーンズの「サティスファクション」、ビートルズの「愛こそすべて」がコラージュされたWhy Don't You Eat Carrotsから始まるあのアルバムでの印象は、パレードや稲妻などのエフェクトやサウンドコラージュが散りばめられ、装飾的で形のいびつなグロテスク趣味のバロック(Baroque-ism)世界が描かれていた。(このあたりの当時ドイツから発表された作品群はいつかジャーマン・プログレッシヴ、ジャーマン・エクスペリメンタルを最考察するときに詳しく取り上げます。)

FAUST/IV(VIRGIN V2004)
そしてこの73年にヴァージンから発表された4th 「FAUST IV」。FAUSTと言えば北ドイツの片田舎ヴェンメで廃校を改造したスタジオでのコミュニティが音楽活動の始まりの契機になったもので、彼らの音楽には、1960年代後半に主にアメリカの若者の間で生まれた自然と愛と平和と芸術と自由を愛するヒッピームーブメントの影響が少なからず残っている。カウンターカルチャー、ナチュラリズム、エコロジー、オルタナティブ、ニューエイジ、ドラック、神秘主義、瞑想、ヨーガ、トランスパーソナル心理学、サイケデリック、ビート・ジェネレーションなどすべての発祥源が当時のヒッピームーブメントだった。FAUSTの音楽にはこうした60年代ヒッピーカルチャーの記号が至る所から聴こえてくる。最近のFAUSTの音楽を聴いていないので現在どういう音楽変容をみせているのか、まるで無知だが、多くのクラウトロック・ファンが、初期FAUSTの音楽を"フリージャズ、フォークなどの要素を含みながらテープコラージュやエフェクト処理を用いたアヴァンギャルドな世界"と思っているが、それもちょっと違う。72年のFAUSTのアルバム「ソー・ファー」のなかの"イッツ・ア・レイニー・デイ、サンシャイン・ガール”に象徴的な、'67年にアンディ・ウォーホルがプロデュースした「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ」 や、'68年に発表されたセカンド・アルバム「ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート」でのヴェルヴェット・アンダーグラウンド、それと同じくVUに影響されたカンの73年発表の「FUTURE DAYS」と共通した"自然主義者のドラッギーでバロックなポップ世界”で、彼らの音楽は大変ヒューマニスティックで、人々がイメージするほど過激なバンドではない。ニッポンで言えば70年代の裸のラリーズのサウンドか。こうした音楽のことを、アルバム「FAUST IV」の1曲目「KRAUTROCK」から採用され現在ではクラウトロックと形容されているが、これは植物的な彼らの世界をストレートに表わしていて正解だ。なお'71年当時のオリジナル・メンバーはリヒャルト・ザッピ・ ヴェルナー・ディーアマイアー(ドラムス)、ハンス・ヨアヒム・イルムラー(キーボード)、ジャン・エルベ・プロン(ベース)、ルドルフ・ゾスナ(ギター) ギュンター・ヴュストホフ(サックス、キーボード)、アルノルフ・マイフェルト(ドラムス)。
http://www.faust-pages.com/

side one:1.KRAUTROCK 2.THE SAD SKINHEAD 3.JENNIFER
side two:4.JUST A SECOND 5.PICNIC ON A FROZEN RIVER,DEUXIEME TABLEAU 6.GIGGY SMILE 7.LAUFT...HEISST DAS ES LAUFT ODER ES KOMMT BALD...LAUFT 8.IT'S A BIT OF PAIN
all titles written & performed by FAUST
special equipment & sound engineering by KURT GRAUPNER
recorded at The Monor,Oxfordshire,ENGLAND,June 73
cover by UWE NETTELBECK & GUNTHER WOSTHOFF
published by Golden Records Music/Virgin Music
It's A Bit Of Pain Published by Intersong
produced by UWE NETTELBECK
1973 VERGIN RECORDS

2008年02月13日

CASCADES 10

ドラッグカルチャーに影響を受けたサイケデリックな共同体幻想を夢見る
呪術的ロウテック・ダブ
CAN
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 10

カンのレコードを初めて手にしたのはアモンデュール・セカンド、サードイヤーバンドなどと一緒にリリースされていた当時東芝音楽工業の宣伝担当ディレクターの石坂敬一氏が仕掛けたプログレッシヴ・ロック・シリーズでだった。明確な年代は覚えていないが、ちょうどボクが東芝レコードの歌手を辞め、万国博が開かれていたり、三島由紀夫が割腹自殺した激動の時代だったから、70年代初期から中頃にかけてだっただろう。当時は輸入レコードショップなんて存在していなかったから日本盤でリリースされていた。イギリスではそのアルバム「TAGO MAGO」が1971年に、「EGE BAMYAGI」が1972年に発売されているから間違いないだろう。一般的にはE.L.P、ピンク フロイド、ジェネシス、キングクリムゾン、YESなどをプログレッシヴ・ロックと呼んでいるが(正確には彼らの音楽をプログレとは言わないけれど)、リアルタイムにプログレを聴いていた者にとっては、邦盤でリリースされていた10枚にも満たないこのシリーズでの音楽がプログレの始まりだった。さて、CANの名前の由来が「Communism」(共産主義)、「Anarchism」(無政府主義)、「Nihilism」(虚無 主義)の頭文字を並べ"可能"を意味する助動詞「CAN」からきたものと言うから、ベルリンの壁が存在した東西緊張の時代を生きた彼らなりのシビアなジョークだったのだろう。CANの音楽もまたサイケデリックな共同体幻想を夢見た当時のドラッグカルチャーが反映されたものだ。それにプラスしてユーモアと皮肉のテイストが調味されている。(80年代初頭、ボクはドイツのケルンでホルガー・シュカイに会ってインタヴューしているがその時のことや、ヴァージン以外で発表されていた'69年「Monster Movie」、'70年「Soundtracks」、 '71年 「Tago Mago 」、'72年「Ege Bamyasi 」、 '73年「Future Days」などのアルバムはいずれ近いうちに最考察します)

CAN/LANDED(VIRGIN V2041)
ドイツ人ミュージシャンも特徴を大げさに強調して描いた戯画や風刺的な表現をするカリカチュア(caricature)が好きだ。西洋社会では宗教や政治へのカリカチュアは文化として生活の中の一部にもなっているのだろうが、こうした一種のユーモア、ジョーク、ギャグなどの諧謔の精神もカンの音楽の特徴だし、それは80年代ジャーマン・ニューウェイヴでのアタタック・レーベルのダー・プランなどの音楽に継承されている。CANのロウテックなB級センス音楽には、ギター・ロックではとてもイギリスやアメリカを越えられないフェイクな複製としての開き直りの魅力も充分あるのだ。'75年にヴァージンから発表されたこのアルバムにもヴェルヴェット・アンダーグラウンドやシド・バレットの影がみえかくれするが、Bサイド1曲目の「Red Hot Indians」では、有名な「ハーメルンの笛吹き男」を想起させる集団で踊るうちにトランス状態となり何時間も移動しながら踊り狂いやがて疲労困憊して倒れ死に至るという舞踏病のような初期CANを象徴するグルーヴも聴かれる。アルバムのラストでは、ドイツならではのアンビエントでエレクトリックなエクスペリメンタル・ミュージックも展開しているが・・・。

MICHAEL KAROLI(guitar,violin,vocals) IRMIN SCHMIDT(key,alpha 77,vocals) JAKI LIEBEZEIT(percussion) HOLGER CZUKAY(bass,vocals)
tenor sax on Red Hot Indians by Olaf Kuber
side A:Full Moon on The Highway /Half Past One/Hunters And Collectors/Vernal Exquinox
side B:Red Hot Indians/Unfinished
recorded at Inner Space Studio.
1975 VIRGIN RECORDS

CAN/FLOWMOTION(VIRGIN V2071)
76年にヴァージンから発表されたアルバム。ドイツならではの独自のカンのロウテックな音楽を確立しその頂点を迎える作品として、また同時にCANの終焉を意味した作品として、この「フローモーション」を忘れることができない。未来のクラブカルチャーの時代を予言したかのようなディスコ・ヒット曲「I Want More」ではVCSシンセサイザーのリズムによるクラフトワークを想起させるエレクトリックなネオン・サウンドが聴け、「Laugh Till You Cry」ではドイツの重鎮だったエンジニア、コニー・プランク伝統のダブが聴こえるし、「・・AND MORE」ではマイルス・デイヴィスのワウワウ・トランペットのようなミヒャエル・カローリのワウワウギターが聴け、「Smoke」ではシャーマニックなアフログルーヴが延々と続き、「Flowmotion」ではレゲエ+ダブ・グルーヴがアーシーでドラッギーな90年代のアシッドハウスやダンスミュージックを先取りしていて、このアルバムでの完成度は高く、カンのベストアルバムだ。このアルバムでの音楽は現在のクラブシーンでも充分そのまま適応しDJイング可能。

side 1:I Want more 2.Cascade Waltz 3.Laugh till you cry-live till you die(O.R.N.) 4....and more
side 2:Babylonian pearl 2.Smoke(E.F.S.Nr.59) 3.Flow Motion
MICHAEL KAROKI(gu,vo,e.violin,baglama) IRMIN SCHMIDT(key,synt.strings,alpha 77,voc) HOLGER CZUKAY(bass,voc) JAKI LIEBEZEIT(perc,voc) RENE TINNER(voc) PETER GILMOUR(vo)
composed,written and produced by CAN. Cascade Waltz:produced by CAN and Simon Puxley recorded at Inner Space Studio.
recording:Holger Czukay,Rene Tinner
sound engineer:Manfred Schunke
1976 VIRGIN RECORDS

CAN BIOGRAPHY
ウィキペディア フリー百科事典を参照下さい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/カン_%28バンド%29

http://www.spoonrecords.com/

CASCADES 11

「言葉の腐敗」
詩人レディー・ジューンの幻覚とリアリティ
"ゲームのように気楽に生きてごらん"
LADY JUNE
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 11

詩人レディー・ジューンの「LINGUISTIC LEPROSY」は直訳すると「言葉の腐敗」という意味で、このアルバムのなかの彼女の詩の多くが物語性のあるメタファーなものだが、メタファーとは元々ギリシャ語のmeta-(~を越えて) -phor(運ぶ)に由来しているものだから、具体的なイメージを喚起してくれたり、簡潔な言葉で類推させてくれなきゃ詩とは言えない。その点でも彼女の詩はリアリティあるメタファーなものだ。わけわかんない抽象詩は詩じゃないしメタファーでもない。このアルバムのなかでは「エヴリティングスナッシング」が最も好きなものだ。"それは表裏 それとも裏表? なぜって裏が表で 表が裏だから そう 結局は すべては同じこと/すべてのものは無で そして あなたが意味を聞くけれど それなら 私は言う 意味なんて何もないのよ ただ理解するだけ そう 結局 すべては同じこと/生き残ったあなたたちに 私が何を言ったって 皆 理解の仕方が違うのだから すべて意味なんてないのよ/理解されるということは 裏が表になるということ でも 誤解されるということは 表が裏になるということ だから よく聞いて あなたが私を理解しないのなら 私も決してあなたを理解しようとはしない なぜって すべてはみんな同じこと"(訳KEI & NORI)。このニッポンにはレディー・ジューンのような粋に風流に地獄の深淵をみてきた哲学的詩人は皆無だ。嘘っぽい人生生きてるわりには、額に皺よせてシリアスぶる文学ディレッタントは多いけれどね。80年代初頭、ニッポン・ビクターから「ヴァージン・オリジナル・シリーズ」としてスラップ・ハッピーやヘンリーカウ、コウマス、エッグなど60-70年代のヴァージンの作品がリイシューされたことがある。その際にボクがレディー・ジューンのライナーノーツを書いたものが資料室から出て来たので、今回はそれを少々手直し削除したものを転載しておきます(堕落詩人というタイトルはレコード会社が付けたものです)。
http://calyx.club.fr/mus/june_lady.html

LADY JUNE/LADY JUNE'S LINGUISTIC LEPROSY(VIRGIN V4017/VIP-4074)
「堕落詩人と題されたこのアルバムは、神秘の詩人、レディー・ジューンの言霊である」。レディー・ジューンと言う謎の詩人に会ったのは、'76年のロンドンでブライアン・イーノを初めケヴィン・エアーズ、デヴィッド・アレンに会見した2、3日後の暑い夏の午後だった。レディー・ジューンの住むメイダベルにあるフラットの一部屋を借りている知人の音楽関係者の部屋をたずねた時に、その知人が僕に彼女を紹介してくれたのだった。印度更紗の、ちょっと光沢のある長い寝間着のような民族衣装に身を包み、「どうぞ、ごゆっくり」という会釈をかわしただけの短い時間だったけれど、眠りからまだ醒めやらない起きぬけのけだるい表情の中にも、知的な人間特有の眼光の鋭い青い瞳と、落ち着きのある静かな口調は、まさにサイケデリックな裂け目をのぞいだ人のものだった。40歳をちょっと過ぎたばかりだとも、30歳前後だとも言われていた彼女は、思ったより若く見え、少女の香りすら漂わせていた。当時のブリティッシュ・アンダーグラウンド・ミュージック・シーンで活躍する多くのアーティストの相談役や陰の存在として、誰もが彼女のそのフラットをたずねて夜明けまで音楽について熱い会話がかわされていたと、その知人は話していた。このアルバムを作ったミュージシャンのギリ・スミスや、デヴィッド・アレン、ロバート・ワイアット、ケヴィン・エアーズ、ブライアン・イーノ、スティーヴ・ヒレッジ、ティム・ブレイク、ロル・コックスヒル、デイヴ・スチュアート、デヴィッド・ベッドフォードの名前をあげるだけでも、彼女の存在が当時のブリティッシュ・ロック・シーンにおいて、どれだけ重い比重を占めていたか察せられるだろう。'74年にヴァージン・レコード傘下にある実験的な音楽だけを追求するレーベルで有名だったキャロライン・レーベルから、この「堕落詩人/レディー・ジューン」が発表されたのだが、当時の本格派プログレッシヴ・ロック・ファンの間では、この余りにも濃度の高い作品と、神秘のベールに包まれた謎の詩人の存在は、神話さえ生まれたほどだった。
'74年といえば、他にもロック史上に残る名盤として今も語り継がれているケヴィン・エアーズ、ジョン・ケール、イーノ,ニコの「JUNE I 1974」があるが、この年はブリティッシュ・ロック・シーンの最盛期とも言えるほどに重要な年でもあったようだ。当時設立されたばかりのヴァージン・レーベルからは、マイク・オールドフィールドを筆頭とした多くのアーティストが名乗りをあげ、カンタベリー・ファミリーと呼ばれるソフト・マシーンを中心とした人々の動きもまた、最も活発な時期だったと言える。このアルバムで大きな活躍を見せているブライアン・イーノ、ケヴィン・エアーズの2人は、特に当時のブリティッシュ・ロックの中軸にあった。'73年にロキシー・ミュージックを脱退したイーノは、キング・クリムゾンを率いていたロバート・フリップと共にアルバム「ノー・プシーフッティング」を制作し、また初のソロ・アルバム「ヒア・カム・ザ・ウオーム・ジェット」、セカンド・アルバム「テイキング・タイガー・マウンテン」をたて続けに発表している。その2枚のアルバムに参加している人々の顔ぶれにも、ロバート・フリップを初め、ロキシー・ミュージック、ホークウィンドのメンバーなど多くのアーティストの名前が見受けられるが、当時はこのレディー・ジューンのアルバムにも見られるのと同じように、おそらくアーティスト同志の交流が盛んに行われ、お互いに影響を受け合っていたのだろう。・・・・・このアルバムのプロデュースはケヴィン・エアーズだが、'68年にソフト・マシーンを脱退した彼は'69年にソロ・アルバム「おもちゃの歓び」を制作し、'70年には現代音楽の作曲家デヴィッド・ベッドフォードのホール・ワールドに加入し、アルバム「月に撃つ」を発表した。・・・・・このアルバムのミキシング、エンジニアリングを担当し、自分のスタジオを提供しているデヴィッド・ヴォーハウスはアイランドから「ホワイトノイズ」と、ヴァージンから「ホワイトノイズ2」(バルトークの「コンサート・フォー・オーケストラ」を基に制作された作品)を発表していて、エレクトロニクスを多用したアルバムによって話題を呼んだ人物だ。・・・・・このアルバムの音楽にある神秘的な呪術世界は、詩人レディ・ジューンの言霊である。それはスロッビング・グリッスル、PIL、オルターネイティヴ・ティヴィ、ポップ・グループ、キャブス、ディスヒート、メタボリストの音楽に受け継がれている。

SIDE ONCE UPON A TIMING
1.Some Day Silly Twenty Three 2.Reflections 3.Am I 4.Everythingsnothing 5.Tunion 6.The Tourist
SIDE TIME UPON A SECOND
1.Bars 2.The Letter 3.The Mangel/Wurzel 4.To Whom It May Not Concern 5.Optimism 6.Touch-Downer
produced by Kevin Ayers mixed by Kevin Ayers except 'Tunion' mixed by Eno & Kevin 'Touch-Downer' mixed by David Vorhaus
cover by Lady June photograph by Trever Key
1974 VIRGIN/CAROLINE/victor

※悔やまれることだが、彼女は99年に死去する直前まで、作曲家、音楽監督としてのMark Hewins(カンタベリーシーンのジャズ・ギタリスト)と共にカンタベリーシーンのミーティングポイントとしての新しい「Rebela」というプロジェクトに取り組んでいる最中だったという。これはレディー・ジューンのものではないが、Mark HewinsがオルガンプレイしLoad Buckleyがジャズ・スピーク・ポエムしている映像だが、参考に。
http://www.youtube.com/watch?v=OojvRWYM7Ow

2008年02月14日

CASCADES 12

ロル・コックスヒルのスピリチュアル・ジャズと
スティーヴ・ミラーのオブスキュア・ジャズ
LOL COXHILL AND STEPHEN MILLER
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 12

STEPHEN MILLER/THE STORY SO FAR.....+LOL COXHILL/.....OH REALLY?
(CAROLINE C1507)
ロル・コックスヒルといえばハットフィールド・アンド・ノースの前身である'68年にスティーヴ・ミラー、フィル・ミラー、ピップ・パイル、ジャック・モンクと結成したデリヴァリーというイギリスのプログレッシヴ・バンドのメンバーの1人だったソプラノ・サックス奏者だが、ボクが彼の音楽を聴いていたのは、せいぜい'77年に発表されたOGUNからの「DIVERSE」までで、ジャズにルーツを持ち、フリーミュージック、シャンソン、エセ・フォーク、パンク/ニューウェイヴなど多岐にわたり様々な音楽ジャンルを横断するソプラノ・サックス奏者としてのイメージが強く、それ以後の活動にはまったく興味がなかった。今回最考察するためにググったらその後も結構の枚数の作品を発表しているのに驚いた。スコットランドのコンテンポラリージャズ・シーンをリードするThe George Burt & Raymond Macdonald Quintetとのコラボレーション「Hotel Dilettante Textile 」や、イギリスのフリー・ジャズ・レーベルLEO RECORDSでリリースされている”CONSPIRACY OF EQUALS"に参加しているギターリストでもありアルトサックス奏者のAARON STANDON(DEREK BAILEYとの共演歴もある)と、ベースのPETER BRANDT、ドラムのSTEVE HARRISと共に制作したAARON STANDON/PETE BRANDT/STEVE HARRISの「RED DISPERSION」などでもサックスを吹いているし、ソロ活動として最近ではEMEMENから「Freedom Of The City 2001(small groups)」「Freedom Of The City 2001(large groups)」、「Alone and Together」、「Worms Organising Archdukes」、FMPから「Three Blokes」などの作品を発表している。ボクが彼の音楽に縁遠くなってからも、この周辺は知らないうちにずいぶん奥深いシーンが形成されていたのかな。
このアルバムは74年にキャロラインから発表されたもので、Bサイドがロル・コックスヒル、Aサイドがスティーヴ・ミラー(Stephen Miller)のカプリングでコンパイルされたもの。このアルバムも、デリヴァリーの'72年未発表ライヴ音源3曲他ボーナス・トラック8曲が追加され、日本で去年の6月にCDでリイシューされている。しかしニッポンの音楽業界の商魂の逞しさと、レコードマニアの強い物欲は恐るべしだな(でも、だからこそ若い世代がこうした良質の音楽に触れることも出来るのだから良しとするか)。セールス・コピーの"カンタベリーサウンドをベースにさらにJazz/Avantgarde色を加えた個性的な内容"とあるけれど、アヴァンギャルドという言葉が、近代化の中で過去の伝統を否定し芸術の革命を目指し未来派、構成主義、ダダイズム、シュルレアリスム等、20世紀のはじめに急速に広がったもので、「自分を取り巻く社会の先を行き、先取りする事。未知を目指して進み、新しい認識、すなわち新しい現実を手に入れ築き上げる事」であるという定義に添って考えるなら、もはやこのアルバムの音楽のどこがアヴァンギャルドなのだろう。それならnu jazzやFinn Jazzのほうがよほどアヴァンギャルドだよ。それに個性的ってなんだ? このアルバムでロル・コックスヒルは「Reprise For Those Who Prefer It Slower」から「Soprano Derivativo」や「In Memoriam...」では、Archie Leggett(bass)、Laurie Allan(drums)、Steve Miller(piano)、Robert Wyatt(perc,vocals)、Kevin Ayers(guitar)などのプレイヤーとスピリチュアル・ジャズを、「Oh, Do I Like...」ではインプロヴィゼーション・ジャズを、スティーヴ・ミラーは全編クラシカル・テイストを持つオブスキュア・ジャズを展開している。アヴァンギャルドや個性的という言葉は、何につけ曲者だから決して惑わされないように。このアルバムでのジャズはFinn Jazz好きなひとには、充分楽しめるもの。

side one:STEPHEN MILLER/"THE STORY SO FAR..."
1.G Song 2.F Bit 3.Songs Of March 4.More G Song 6.Does This 6.Or This 7.The Greates Off-Shore Race In The World
written by Stephen Miller
side two:LOL COXHILL/"OH REALLY?"
1.Reprise For Those Who Prefer It Slower 2.Tubercular Balls 3.Soprano Derivativo/Apricot Jam 4.Oh Do I Like To Be Beside The Seaside? 5.In Memoriam,Meister Eckhart 6.A Fabulous Comedian
written by Lol Coxhill
1974 VIRGIN /CAROLINE RECORDS

2008年02月15日

CASCADES 13

古典主義から生まれる音楽の多彩な楽器が奏でるルネサンス様式のジャズ
EGG
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 13

70年代のイギリスのヴァージン・レーベルを拠点にした多くの名盤を生んだカンタベリーのジャズとはなんだったんだろう。イギリス南東部ケント州の東にある地方都市カンタベリーは、ローマ・カトリック教会が紀元597年に宣教師、聖オーガスティンを送り、当時のイギリス人(アングロ・サクソン人)をキリスト教に改宗しようとして、その拠点としてカンタベリー大聖堂を建設し、16世紀の宗教改革を経てイギリス国教会に変わった後も現在に至るまで、イギリスの宗教的中心地となったところだ。いまでも中世の美しい町並みや遺跡などを擁し英国南東部随一の観光地だという。彼らのサウンドスケープにある植物的な、バロキスム、ゴシックの香りは、その大聖堂を取り巻く、なだらかな緑の丘や牧歌的な田園が広がるカンタベリーの風景/土壌だからこそ生まれたものに違いない。そしてこのEGGでは、バンドの主軸であるピアニスト、モント・キャンベルの厳密な古典主義から生まれる音楽の多彩な楽器が奏でる美しい和音は、人体比例と音楽調和を宇宙の基本原理としたルネサンス様式の建築物をみるかのようだ。イギリスの中世といえばイングランド中部の街ノッティンガムのシャーウッドの森に住む悪を打ち弱者を助けるという伝説のヒーロー、ロビン・フッドを思いだすのだが、鮮緑色(リンカン・グリーン)の服に身を包む弓の名手ロビン・フッド伝説の名前の由来には、魔術や森の妖精エルフなど幾つかの説が存在して、カンタベリー系のジャズだけではなく、イギリスの音楽には、そんな伝説の森から湧き出る泉のような鮮緑の色彩に似たオブスキュアな美しい物語り、サウンドスケープが聴こえてくる。


EGG/"CIVIL SURFACE"
(VIRGIN/CAROLINE C1510)
エッグの前身だったユリエル(URIEL)結成時のメンバーは、デイブ・スチュワート、スティーブ・ヒレッジ、モント・キャンベル、クライブ・ブルックスの4人だったが、'69年にバンド名をエッグと改名し、'70年に1st「Egg」、2nd「The Polite Force」を発表した後、'72年にレコード会社との契約上のトラブルとモント・キャンベルの脱退によりバンドは解散し、スチュワートはカーンからハットフィールド・アンド・ザ・ノースへ移籍する。この'74 年発表の第3作「The Civil Surface」直前には、すでにグループは解散していたが、ハットフィールド・アンド・ザ・ノースのメンバーとして活躍していたデイヴ・スチュアートが、ヴァージンからソロアルバムのオファーを受けたことをきっかけにグループを再結成し、制作されたもの。まるでストラビンスキーの曲のように、不協和音や変拍子を多用した効果音的要素と、ジャズの和音、アンビエントミュージックなどが統合されたジャズだ。ダイナミックなドラムの変拍子のうえを織りなす、オルガンのサウンドとフレンチホーン、バスーン、オーボエ、フルート、クラリネットなどの管楽器がよりゴシック的世界を鮮やかに浮かび上がらせている。エッグの音楽は、3大要素とするジャズ、クラシック(+現代音楽)、ロックを自由にポストモダンに横断することだったのだろう。

SIDE ONE:1.Germ Patrol 2.Wind Quartet 1 3.Eneagram
SIDE TWO:1.Prelude 2.Wring Out The Ground( Loosely Now) 3.Nearch 4.Wind Quartet 2
Dave Stewart( organ, bass, piano, keyboards) Clive Brooks(drums) Mont Campbell(bass, piano, French horn, vocals)
with Steve Hillage(guitar) Lindsay Cooper(bassoon, oboe, wind) Jeremy Baines(flute) Maurice Cambridge( clarinet) Barbara Gaskin(vocals) Tim Hodgkinson(clarinet) Christopher Palmer( bassoon) Amanda Parsons(vocals) Ann Rosenthal(vocals) Stephen Solloway(flute)
all music and words by Egg
produced by EGG
1974 VIRGIN/CAROLINE RECORDS

CANTERBURY MUSIC WEBSITE
http://calyx.club.fr/index.html

CASCADES 14

ヘンリーカウの新しい顔「KEW.RHONE.」は、カンタベリージャズとハードバビッシュなジャズとの融合
JOHN GREAVES/PETER BLEGVAD/LISA HERMAN
「ジャズ的なるもの」からブリティッシュ・ロックへの回顧 14

ジャズの持つ自由な表現形式、文脈のなかに、カンタベリー系のアーティストたちは当時のプログレッシヴ・ロックや現代音楽、伝統的なクラシックを統合させてひとつのカンタベリーと形容される新しいジャンルを確立させたと言っていいだろう。このアルバム「KEW.RHONE.」のジャケットに1800年代後半に発行された古書C.W.pealeの「Exhuming the First American Mastodon」の挿絵が引用されピーター・ブレグヴァドによ