Marcos Fernandes、Bill Horist 「Jerks and Creeps」 release Party
with Marron and Kei
07 11 '07 at jaz' room nu things
*80年代初頭にロックが出口なしの状況にあったとき、ニューウェイヴやパンクとはまるで異質のオルタナティヴな試行、録音技術を使った電子音学的な自然音や機械のノイズ、犬の鳴き声からガラスを割る音まで、録音できる音と言う音を電気的、機械的に変化させ、切って繋いでカットアップしたミュジーク・コンクレートや、あるいはミニマルミュージック、現代音楽にその出口を求めたことがある。ボク自身のインディペンデントなレーベル、ヴァニティ・レコードからリリースしたノーマルブレイン(藤本由紀夫)やトレーランスなど数枚のアルバムがそうしたボクの思いを具現化した作品なのだが、当時まだだれひとりそうしたポストモダンの時代を読み取ることが出来なくて、編集していた雑誌「ロックマガジン」ではパンクから突然編集方針を変え、特集「MUSICA VIVA」でそうしたエクスペリメンタルな音楽や近代、現代音楽を横断したことで、「阿木という評論家はなにを考えてるのか分からないな」(ボクにとってはドイツのいわゆるノイなどのジャーマン・エクスペリメンタルの流れでこうした音楽を位置づけることは当然のことと考えていたが)と、多くの読者から批判を浴び無視されたことを思い出す。こうした流れは最終的に、ポスト・インダストリアルやノイズ・エクスペリメンタルで完全にロックの潮流は断たれ前進することもできなく、ロックは死滅してしまうことになるのだが。そしてそれと同時にキミたちが音楽の矛先を完璧に見失った90年代から2001年までの、あの「失われた10年」、クラブミュージックの時代が既に始まっていたのだ。
ただ在るものとしての音楽 人工的に創りだす空間のなかの空気感 気配 人工自然
エクスペリメンタルやインプロビゼーショナル及びグローバルなサウンドをリリースしているカリフォルニアのインディーレーベル、アクリーションから米国サンディエゴ在住、Accretions Records オーナーのMarcos Fernandes(フィールド・レコーディング、エレクトロニクス)とシアトル在住のギタリスト Bill Horist が2005年に日本ツアーをおこなった時のライヴ録音である「Jerka and Creeps」のCD発売記念イヴェントが昨夜nu thingsで行われた。個人的にはこうした音楽は、もはや興味の対象にはないのだが、nu thingsにイヴェント・オーガナイザーとして関わってくれている西川文章がギターでも参戦し、nu jazz以外のnu thingsのオルタナティヴな顔にしてくれるというので、挨拶がてら顔をだしたというわけだ。それにしてもエクスペリメンタルな、音響系の音楽がnu thingsのモダンな空間に想像以上に心地よいほど溶け込んでいた。ロックのなれの果て(失礼!)のエクスペリメンタルと呼ばれるこうした音楽愛好者もまだまだ結構いるんだな。今後nu thingsでは月に2日ほどの音響系のイヴェントを催す予定ですので、こうした音楽の好きな人はチェックして下さい。
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*Marco Fernandes *Bill Horist *Haco *Marron Kei *Masafumi Ezaki
*Tim Olive *Bunsho Nisikawa
こうしたあらかじめ決められた構造もなくフリーな即興とリズムレスのノイズの波のうねりだけの音楽を聴いていると、まるで陸地の見えない波間をさまよっている漂流者のような気になってくる。どこまで行っても、終わりが見えてこない。ある意味でインテレクチュアルな音楽ではあるけれど・・・。もうこれ以上言うのは控えるが、一種の現代美術、アートパフォーマンスとして捉えると、微かな明かりが見えてくる。映像や美術、舞踏などとのコラボレーションのなかでこそ完成され、初めて物語が始まるのだと思う。意味を思い問うものではなく、ただ在るものとしての音楽。人工的に創りだす空間のなかの空気感。気配。人工自然。
Fernandes/Horist Jerks and Creeps(Accretions ALP046)
ハイブリッドな昆虫の写真がジャケットに使われ、CD「Jerks and Creeps」はそれ自体でオブジェとして機能していて、とても美しいし存在感がある。CDはもはや音の出るスーベニール、絵葉書のようで美術品としての効用もある。
**こうした音楽もまた90年代にアブストラクトとして変容し、その先端にあるものが、ブッゲ・ヴェッセルトフトでありシネマチック・オーケストラ、Stones Throw、最新ではKekko Koskinen「Agatha」の音楽なんだけれどもな。そこで問題になるのが、キミたちは失われた10年にあの90年代に始まったクラブミュージックをリアルタイムにすべて体験したのか否かだ。過去のエレクトロニカ、サンプリング、コンピュータ・ミュージック、ミニマル・ミュージック、アヴァンギャルド、フリー、ワールド・ミュージックなどがあの10年の歳月を経てクラブシーンのなかで変遷に変遷を重ね、その先端が現在はnu jazzや「ジャズ的なるもの」という音楽なのだということ。
***2、3日前から風邪をひいてしまって、このイヴェントに顔を出すのもつらかったのだけれど、いまも節々がダルくて、まともな文章になっているのかどうか不安だ。風邪には気をつけて下さい。