メイド・イン・ジャパンの、イギリスやヨーロッパのマーケットで充分通用する次世代ミュージシャンたちの創るクラブジャズ
9/24のJABBER LOOP、9/23のNATIVE、9/22のTONE QUINTETの3日間のいわゆるnu jazz以後のクラブジャズでの括弧付きの「ジャズ的なるもの」というイヴェントを終えて、メイド・イン・ジャパンの音楽状況はまさに新たな局面にさしかかっているなと感じた。それは愈々海外でも通じる次世代によるニッポン独自の「ジャズ的なる」音楽が発生してきているなと強く感じたのだ。ドイツや北欧ではすでに保証済みのNATIVEは勿論のこと、JABBER LOOPやTONE QUINTETの音楽も、もはや充分世界で通用するまでのスキルやセンスに達しているということだ。音楽だけではなく、ファッションからアート.カルチャーに至るまで、新しいことと言えば常にヨーロッパやイギリスなどの輸入文化の流行によってコントロールされ、それを模倣しコピーし続けてた我々は、いつの間にか気がつけばヨーロッパやイギリスを遥かに凌ぎ超えるまでの、世界中の新しもの好きがワクワクするようなニッポン・ブランドを手に入れてしまっていたということだ。60-90年代のような、すべての概念を覆すような新しい音楽は、もう輸入レコードのなかで見られない。それならメイド・イン・ジャパンの、次世代ミュージシャンたちの創るクラブジャズに注意をはらいチェックするほうが数倍ワクワクさせてくれる。彼らの「ジャズ的なるもの」音楽は、海外でマンガやアニメが受け入れられているのと同じように、商品としての完成度も高く充分海外に輸出できる。なんといってもニッポン人の音楽を聴く耳は世界一優れているのだからね。
JABBERLOOP/and infinite jazz...(COLUMBIA COCB- 53658)
若さというのは、なにものにも勝るフェイクな宝石のようなものだ。磨けば磨くほど人工的にキラキラ輝いてくるから美しい。JABBERLOOPの成長し大きくなった音楽と若い女性ファンで埋め尽くされた客席をみてそう思った。彼らがnu thingsのステージを踏んでからすでに3年が経っている。初期はファンク系の音楽を展開していた彼らも、nu jazzやクラブジャズの波を受け、いつの間にか独自のグルーヴを持つクラブジャズを展開するまでに成長している。若さって、凄いよ。メジャーのコロムビアからリリースされた「and infinite jazz...」にはブロークン/ドラムンベース・グルーヴから始まるnu jazzをも包括した若々しいクラブジャズが収録されている。能書きたれてテクニックはあるがスタンダード・ジャズしかやれないジャズミュージシャンよりも何倍もJABBERLOOPはジャズがなんたるかを知っているし、優れた感性を持っている。もしジャズに未来があるとするならJABBERLOOPのような存在こそがいま必要不可欠なのだ。それにしても客席の若い女性ファンをみていて、nu jazz以後のクラブジャズにもすでに世代交代が始まっているんだなと、思い知らされた。それってとても嬉しいことだし、彼らの音楽の彼方に無限大に広がる未来がみえる。
http://www.jabberloop.com/
長友誠(tp) 後藤大輔(sax) 岸本亮(key) 斉藤勝平(ds) 永田雄樹(ba)
DJ SHINSUKE(DJ)
NATIVE/UPSTAIRS(SRIP-9025)
この秋に発売予定だったニューアルバムが、来年2月に延期になったという。今後マネージメントやディストリビュートも「Stride」から「Nature Bliss」に移籍しての展開だという。ステージが終わって中村氏とNATIVEのそうした近況を聞いていて、正直ちょっと不安になった。大丈夫かな? 会話の途中で中村氏が聴かせてくれた Rambling Recordsから発売されたばかりのアルバム「KAREN」のなかのNATIVEのシャーデーのカヴァー「Smooth Operator」などの動きからも、J-POPもクラブジャズの新しい記号を欲しているのが分かる。さあ、どうなんだろう。まあ、なにをやってもNATIVEサウンドが聴こえてきたのでさすがだけど。NATIVEの音楽と付き合ってから、もうかれこれ3年になる。彼らのジャズは、クラブジャズとはいっても、どちらかというとダンスミュージックではない。ジャズシーンから表出してきたこのクラブの時代に対応したNATIVE JAZZとしか言えない独自のクールでスタイリッシュなグルーヴ、サウンドを持ったものだ。それはクラブイヴェントでのNATIVEではなく、こうした単独のライヴではやはりジャズファンの顔が多くみられることでも証明できるだろう。音楽スキルの高さと音楽センスの良さは他の追従を許さないほど突出しているのは、誰もが認めている。さて、NATIVEは来年に向けて、どこに行こうとしているのだろう。nu jazz以後のニッポンでのクラブジャズの未来は彼らの今後の動向にかかっているといってもいい。新しいディストリビューター、マネージメントによって、きっと来年は新生NATIVEが素晴らしい躍進をみせてくれることだろう。
http://www.cnative.com/
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中村智由(As) 大久保健一(b) 山下佳孝(Ds) 杉丸太一(p)
TONE QUARTET/Flamenco Sketches(R-0780413)
TONE QUARTETの世界は70年代のWoody Shawの「Love Dance」など数枚の作品にドラムスで参加していたVictor Lewisの「Hey,It's Me Your're Talking To」につきるだろう。これは彼らのCD「Flamenco Sketches」のなかの最後に収録されている曲だが、サスペンス映画のなかのスリリングなワンシーンを想起させるたたみ込むような太いベースのフレーズに絡むヴァイヴやピアノはドラマチックでもありダイナミックで圧巻だ。ベースのN.TONEを核に、音大を卒業したばかりの20代前半のミュージシャン、ヴァイヴのT.KAGEYAMA、ピアノのY.SEKIYA、ドラムスのY.HIKITAによるTONE QUARTETは、結成してまだ半年しか経っていない。女性2人、男性2人からなる彼女たちはnu jazzもクラブジャズも知らない生粋のジャズミュージシャンだが、彼女たちがそうした先端での「ジャズ的なるもの」を自身のカルテットに取り込み動き始めたら、それはそれで凄いことになるだろう。そうした先端でのクラブジャズの感性と共振する曲は彼女たちが演奏する「キャラバン」にすでに見られるが(ボクは予々、音楽のダイナミズムとリズム感の良さは男性よりも女性ミュージシャンのほうが身体的に生まれ持ったもので勝っていると信じているが)。それにしてもヴァイブの音色はなぜか都市の風景にマッチする。ヴァイブは21世紀のこのいまを象徴する音色だ。TONE QUARTETの将来も楽しみだ。
http://www1.odn.ne.jp/giantsteps/tone/index.html
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刀祢直和(b) 影山朋子(vib) 関谷友加里(p) 引田裕路(ds)
レコードやCDがダウンロード用にデジタル符号化された圧縮データに過ぎないなら、ライヴこそが音楽やミュージシャンに残された唯一の砦かも。