« into somethin' | Main | On The Spot (Movie) »

Accept Advice

新譜 07.8.05
多くの古典的な記録としてのジャズはヒップホップの基礎としてあり、アブストラクト・ヒップホップもnu jazzとともに、古い伝統的ジャズを21世紀に対応する新たなジャズとして再構築し投げ返している

輸入レコードショップをチェックしても買うべき新譜レコードがないというのも寂しいものである。nu jazzの知名度も以前と比較するとかなり認知されてきてはいるが、残念なことにファイヴ・コーナーズ・クインテット以後、nu jazzと言われるレコードも皆無といっていいほどそれほどの数は発売されていない。クラブ系のハウスやヒップホップ、クラブジャズなどは音楽スキルがそれほど無くても、誰でもその気になればレコードなどは創造できるが、nu jazzとなるとそうはいかない。DJがnu jazzに影響されて作ったレコードなどは、感覚的には面白いものもあるだろうが、音楽的には稚拙過ぎて聴く気も起こらないしね。nu jazzはやはりどうあがこうがDJのものではなくジャズミュージシャンのものなのだ。現在店頭に並べられている新譜レコードは99.9%が90年代にその根を持つもので、若い世代はリアルタイムにそうした音楽を体験していないから、ハウスやヒップホップでも新鮮なのだろうが、そこに新しいヴィジョンはみられない。nu jazzもこのままでは火がつく前に終わってしまうだろうか。そんなこと考えていたら凄い音楽が現れてきたよ。マッドリブがプロデュースしたYESTERDAYS NEW QUINTET Presents「Yesterdays Universe」だ。

TIMO LASSY/THE CALL/SWEET SPOT(RICKY TICK RT015)
TIMO LASSY/THE SOUL & JAZZ OF TIMO LASSY(RT018)
ニッポンで先行発売されたCD「The Soul & Jazz...」の売り上げはそれほど芳しくないという話である。ファイヴ・コーナーズ・クインテットのようにスタイリッシュでモダンなnu jazzではないからだろうか。それともクラブ系のクラウドたちはボクが思うほどまだnu jazzの動向に興味を持っている人が少ないのかも知れないな。本格派ジャズファンが聴くにしては、ちょっとクラブ寄り過ぎるかもね。ティモ・ラッシーのこのアルバムでの音楽はFinn Jazzには珍しくソウルジャズ、ハードバップ、ファンキージャズで全体的にはスピリチュルなアフロやラテン的テイストの曲が多く、先日の「Somethin' Else Somethin' Nu」でJIMI TENORの「Joystone」のグルーヴにDJイングしてみたらうまく流れが作れた。FCQのJUKKA ESCOLAはトランペット、TEPPO MAKINENはドラムス、パーカッション、ヴァイブ、プロデュースでクレジットされている。「Sweet Spot」はアルバムからシングル・カットされたもの。
http://profile.myspace.com/index.cfm?fuseaction=user.viewprofile&friendid=159743838

THE STANCE BROTHERS/STEVE McQUEEN+JAY'S LAMENT(RT012)
THE STANCE BROTHERS/ROLL CALL+THE STRONG ONE(RT017)
FCQのリーダーでありドラムスのTEPPO MAKYNENは、Ricky Tick以前はTEDDY ROC名義でwhat musicから「Universal Four」をリリースしていた。彼の新しいプロダクション、ザ・スタンス・ブラザースの7インチシングル2枚を聴いていると古くは90年代のモ’ワックスでのアブストラクト・ジャズ、現在ではYESTERDAY NEW QUINTETに共振しているのが解る。ジャズの抽象性、または古いジャズをズタズタに切断し再構築する新たなジャズのありかたに未来を見ているテッポ・マキネンの時代を読み取る先見の明、感性の鋭さに感服する。新しいセカンド7インチシングル「Roll Call」には歴代の名ドラマーの名前をポエトリーディングのように連呼する強烈なドラムブレイク「Roll Call」、ビブラフォンの音色がクールな「THE STRONG ONE」の2曲が収録されている。この2枚のシングルを聴くとアルバム「KIND SOUL」の発売が待ち遠しい。
http://www.nu-things.com/blog/2007/04/take_a_break.html
http://www.ricky-tick.com/stance.html
http://profile.myspace.com/index.cfm?fuseaction=user.viewprofile&friendid=196074374


YESTERDAYS NEW QUINTET Presents.../YESTERDAYS UNIVERSE:PREPARE FOR A NEW YESTERDAY(VOL.1)(STONES THROW STH2158)
最近はハードバップだFinn jazzだと言ってアブストラクト・ヒップホップを侮り、この2、3年これらの情報を遮断していたら、知らない間にずいぶんジャズに接近しているのに驚いた。10ユニット、15トラックで構成されたイエスタデイ・ニュー・クインテット・プレゼンツの2枚組の新しいアルバム「Universe」を聴いて、もはやアブストラクト・ヒップホップというよりもプログレッシヴな新世代の未知のジャズが具現化されていて衝撃的だった。特に02、04、07、08、09、13、14などのエレクトロ・スペースジャズには新しい概念を持ったジャズの時代到来の息吹すら感じ、言葉を失うくらいに感動的だった。このアルバムは今年の最も重要なアルバムの1枚になるだろう。YNQにとっても、多くの古典的な記録としてのジャズはヒップホップの基礎としてあり、アブストラクト・ヒップホップもnu jazzとともに、古い伝統的ジャズを21世紀に対応する新たなジャズとして再構築し投げ返している。これは凄い! Yesterdays New Quintetの音楽はいまピークに向かって昇華し続けている。
http://www.nu-things.com/blog/2007/04/what_is_reality_of_situation.html

http://www.youtube.com/results?search_query=YESTERDAYS+NEW+QUINTET&search=Search



GERARDO FRISINA/TOKYO'S DREAM(SCHEMA SCEP420)
GERARDO FRISINA/NOTE BOOK-A Journey In Sound The Remixes(SCHEMA SCLP408)
ニコラ・コンテによって始まったイタリアでのラテンテイストのnu jazzもすでに円熟期を迎えている。「Hi Note」や 「Latin Kick」などジェラルド・フリジーナは数多くの作品をリリースしているが、2枚組「Note Book」はジェラルド本人による様々なアーティストの楽曲のリミックス&リワークをコンパイルしたもの。それに加え新曲が3曲収録されている。シングルカットされた「Tokyo's Dream」も収録されている。他にはAfro Artからリリースした作品、ディジー・ガレスピー「Swing Low,Sweet Gadillac」、サン・ラ「Stardust From Tomorrow」などのリミックスも収録され、SoulstanceのLo Greco兄弟のリズムセクション、ベネゼイラのパーカッショニストなどを起用することによってリズムセクションをより強力にし、次世代ジャズダンス・ミュージックとしてのnu jazzを展開している。ダンスミュージックはハウスからラテンキックのnu jazzへ。これ、もはや常識!


追記 8.9 '07 am4.46
「デジタル・コミュニケーションのテクノロジーは、インターネットやさまざまな情報機器の発展にともなって社会や人間のコミュニケーションを新しい形で支え始めた」とか言う人がいるけれど、果たしてそうだろうか。ミクシー友達だからとか、ブログを読んでくれているからネットの方が楽に友達をつくれるとか、仲良くなりやすいとか、コミュニケーションが成立しやすいとか言う人が居るけれど、どれだけ信憑性のある話か疑わしいものだ。ネットでのコミュニケーションは会ったこともないのに、ブログでの文章から想像するボクをひとつの理想像のような型にあてはめて思い込んでしまっていたり、昔からの知人のような態度で接することが多い。メールやチャットでの匿名やハンドルネームで会話している人たちの、あの馴れ馴れしい文章をみても、そうした罠にはまる人は多いだろう。「ネットの匿名性は個人をあいまいにすると同時に,他人との距離感もあいまいにする」と言った人がいるが、人と人のコミュニケーションには適当な距離を置くことは大事なことだ。このボクのブログだっていったいどんな人が見に来ているのか、コメントや足跡を残してくれる人はまだしも、数多くの人が覗きにきているからといって、そこに確かな感触があるわけではない。だからボクはネット・コミュニケーションに夢はみていない。ひょっとしたらネット依存症の人が増殖し始めているのかも。ブログやホームページもひとつのツールだし人と人を繋ぐ契機にはなるだろうが、人と人とのコミュニケーションは顔を付き合わせて交流してこそ始まるものだ。ボクのブログを読んでくれるのは嬉しいけれど、興味を持ってくれたなら会おうね。そして足跡くらいは残してね。それとここで紹介している音楽情報も、そのレコードやCDを聴いてこそ初めて理解できるということ。

Trackback

http://www.nu-things.com/mtcgi/mt-tb.cgi/31

Comment (9)

阿木様
ここで紹介されている、Yesterdays New Quintet のYouTubeを聞いてました。とても刺激的です。次回のDJでは、ハードバップ一辺倒ではなくて、YNQが聞けることを期待して楽しみにしています。いつも良い情報をありがとうございます。

ちなみにぼくは追記にある「ネット依存症」でしょう。新聞の購読もやめたら、それに連動してテレビのニュースもほとんど見なくなりました。その分、ニュースもネットで読み、ネットに依存する時間がますます増えています。エーテルのような情報の海に浮遊する感触です。ネット以前の時代に比べたら希望が持てそうですが、さあ、これからどうなるでしょう。分かりません。

阿木 譲:

杉谷さん。
情報の海で溺れないためには、あれも欲しい、これも欲しいと欲張らないことでしょう。なにが自分にとって必要な情報かという選別も難しいけれど、ボクの場合は、先端の音楽に関するものだけで、検索するにもそれらの概念に添って古い情報を集めて自分なりに再解釈するようにしています。常に新しい音楽情報が船頭のような役割を担ってくれているということです。YNQのアブストラクト・ジャズ、スペースジャズは、まだまだ素材としては少な過ぎ、HARD BOPのような4時間のDJイングなどは不可能ですが、きっとnu jazzの1側面として微かに未来を臨める新しい記号になりそうな予感がします

遠藤裕一郎:

黒川紀章を見ていたら、急に阿木譲さんが頭の中に
浮かんだのでこちらを伺いました。

なんでかな?黒つながりかな?
いや、黒川紀章も阿木譲さんも、同じオーラを持った人
だからかも知れませんね。

暇なコメントで欄を汚してしまい申し訳ございませんでした↓。

阿木 譲:

黒川紀章か・・・。
ボクよりもひと世代上だけれど、
ボクもそんなに歳とったのかな。
まあお洒落な人だけれど・・・。

東山 聡:

阿木譲様
こんちは、いつもBLOG拝見させてもらっています。早速YNQのYESTERDAYS UNIVERSEを購入しました。この数日ウチのターンテーブルに乗りっぱなしです。このアルバムとTEDDY ROK SEVENのUNIVRSAL FOURはヘビーローテーション状態になってますね!僕はアブストラクトヒップホップと言うジャンルは聞くのは、初めてでした。少し戸惑いがありましたが、ロック的なカオスとは違い、ある種の構築美と言うか無駄を全て排除する事により、それこそ今まで聞いた事のないjazzが聞けたように思えましたし、感動的でした!
フィンジャズやnu jazz、ヒップホップと手法の違いはあれ、目指しているもの到達点は同じなんでしょうね。自分なりの、勝手な解釈ですが...

これからも、いろんな情報を下ろしてください。

阿木 譲:

東山クン。
Yesterdays New Quintet、The Stance Brothers、Carl Craigなどのジャジーでアブスラクトな音楽は20世紀の現代音楽、フリーなどの実験的な音楽の流れの先端で起こっている動きとも解釈できるもので、過去のそれらの音楽が持っていた頭で理解していた観念的な白々しさを突き破ったクールなもので、直、身体に来る音楽。大きな音で聴いてごらん。カッコいいよ!


Yesterdays New Quintet、iTunes Store から買いました。
ずっと以前に聞いた、いろいろなサウンドが聞こえてきます。でも、阿木さんの言う通り、クールです。彼らは醒めてます。そこがとても刺激的です。
nu things の大きな音で聞かせてください。やっぱり次のDJで期待します。番外編とかでも・・・

阿木 譲:

杉谷さんへ。
ヴィニール袋から取り出したハッシッシ(固形マリワナ)をレコーディング用のメモ用紙の上に置き、そのハッシッシがYNQのリズムに共振して飛び跳ねているYouTubeの映像は、ドラッギーで覚醒した彼らのクールな音楽を象徴しているのに気付かれましたか。YNQの音楽をある時間、そのグルーヴをキープするには、70年代のSTRATA-EAST、TRIBE、BLACK JAZZなどのレコードで聴かれたスペースジャズ、オブスキュア・ジャズ、スピリチュアル・ジャズなどの素材を使うしかないだろうと思っている。ほんとは現時点で、まだここまでは行きたくないんだけれど、一度試してみますよ。

東山 聡:

阿木様
返信のコメントありがとうございます。確かに、頭で考えるより体で感じる音楽ですね。座って聞いてる様じゃダメですね(笑)
僕も杉谷さんと同じく、nu thingsと言う特別な環境で大音量で聞いてみたくなりました! 是非次回DJお願いします。その時はお店にお伺いします!!

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2007年08月05日 03:23に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「into somethin'」です。

次の投稿は「On The Spot (Movie)」です。

→Main Page
→Archive Page

Powered by
Movable Type 3.35