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2007年07月 Archive

2007年07月08日

Put in earplugs

6月25日に続く
BLUE NOTE-2

RHYTHM
「リズムは変化し成長し新たに生まれるもの」

ブルーノートはその切り口、組み合わせによって想像以上のパターンが発生する。それは明治製菓の「コんガらガっち」のように無限大の組み合わせが可能なのだ。例えばハードバップという切り口によってコンパイルしDJイングしていくと、当時のジャズファンが体験しようにもできない、予想もできなかった本来のハードバップが蘇生してくる。これこそがアーカイヴの時代の再構築=エディトリアル/コンパイルの魔法であり妙である。ラテンやアフロ、ボッサという切り口で今回は数枚のアルバムを取り上げるが、こうした作品もFINN JAZZのフィールドの上にDJイングしていくと、ものの見事繋がり新しい未知のグルーヴが発生するのだ。音楽にとって最も重要な基本は、メロディでもハーモニーでもサウンドスケープでもなくやはりリズム(グルーヴ)だろう。クラーゲスが『リズムの本質』という著書のなかで、リズムを生命現象として捉え決して同一的なものを繰り返す規則的、機械的な現象ではなく、たえず異なったものへと回帰する運動であって、反復はつねに更新されていき、リズムは変化し成長し新たに生まれるものだと記述していたが、その時代とともに変容/変遷していくのは音楽においてもリズムそのものなのだと思う。速度とか強度とかズレによる揺らぎとかリズムパターンとか・・・。DJ イングするときフロアに流れている音楽を聴きながら、次にミキシングする曲をヘッドホーンで聴いているのは、主にリズムパターンだけである。クラブジャズの本意でもあるが、人はリズム反応するときに身体表現を伴うことでリズムを再生し内在するリズム感が引き出される。ハードバップもnu jazzもダンスミュージックだというのを忘れないように。ということで今回はコンガ、ボンゴ、パーカッションをフィーチャーしたアルバム18枚を紹介。

13.DUKE PEARSON feat.Bobby Hutcherson/THE PHANTOM(BST 84293)
本作は68年のアルバム。64年に「Wahoo!」、66年に「Sweet Honey Bee」、67年に「The Right Touch」、68年に「The Phantom」などの作品を発表している 。デューク・ピアソンもまた32年生まれで80年に死去したというから48年の短い人生だった。この作品にはBobby Hutchersonがヴァイブでフィーチャリングされている。パーソネルはJerry Dodgion(flute & alto sax)、Sam Brown(guitar)、Al Gafa(guitar)、Bob Cranshaw(bass)、Mickey Roker(drums)、Victor Pantojo(conga)、”Potato" Valdes(conga & guiro)。デューク・ピアソンは90年初頭のアシッドジャズの時代からクラブジャズ・ファンからは支持者が多かった。当時の解釈とは違うがnu jazzのグルーヴとこのアルバムはよくマッチする。

14.BLUE MITCHELL/COLLISION IN BLACK(BST 84300)
Horece Silverの「BLOWIN' THE BLUES WAY」でのBlue MitchellとJunior Cookの2管によるハードバップは渋かった。このアルバムではファンキーな太くて渋いトランペットが聴ける。心からトランペットでうまい!といえるのは彼のようなギミックのない抑え気味の渋いプレイのことを指すのだと思う。他にもブルーノートから「Down With It」、「Boss Horn」などのアルバムがリリースされ、60年にRiversideから「Blue's Mood」という名盤もリリースされている。1930年3月13日フロリダ州マイアミの生れ。78年5月21日死去。このアルバムでのパーソネルはBlue Mitchell (trumpet) 、Dick Hyde, & Jack Richmond (Trombone)、 Jim Horn, & Ernie Watts (Flute) 、Anthony Ortega (Tenors) 、Monk Higgins (Piano, Organ, Tenors, & Piano) 、Miles Grayson (pPiano & Percussion) 、Dee Ervin (Organ & Percussion) 、Al Vescovo (Guitar)、 Bob West (Bass)、 Paul Humphrey (Drums) 、John Cyr (Percussion)。68年9月にロスのRPMスタジオで録音。

15.McCOY TYNER/TENDER MOMENTS(BST 84275)
6管による大編成アンサンブルのハードバップ。ここまで濃いハードバップもそれほど見られないが、クラブジャズ系の感性にはこうした仕掛け、ダイナミズムも必要だと思う。「アフロブルー」的スピリチュアルでソウルフルなグルーヴが一貫して流れていてちょっとFINN JAZZのティモ・ラッシーの新しいアルバム「The Soul & Jazz」の趣きもある。A1「Mode to John」はコルトレーンに捧げられたもの。パーソネルはLEE MORGAN (tp) JULIAN PRIESTER (tb) JAMES SPAULDING (as,fl) BENNIE MAUPIN (ts) BOB NORTHERN (french horn) HOWARD JOHNSON (tuba) McCOY TYNER (p) HERBIE LEWIS (b) JOE CHAMBERS (ds)。67年の作品。

16.ORNETTE COLEMAN/LOVE CALL(BST 84356)
フリーとスピリチュアルを融合したような70年代の先駆けとしてのカオスジャズ。あの頃の時代背景をモロ反映したジャケット写真にあるヒッピーたちの自由を象徴してなのか、フリーやノイズ的なこうした音楽をいまさらAB面ずっと聴き続けている忍耐力はないが、このアルバムを部分的にカットアップしてDJ イングすると単調だったハードバップ・グルーヴに広がりがでてより複雑な味わいのある世界が表れる。1枚の完成されたアルバムとしては聴く気はないが、それでもDJイングにはなくてはならないもの。68年の作品。パーソネルはOrnette Coleman (as, vln) Dewey Redman (ts) Jimmy Garrison (b) Elvin Jones (d)。レコーディングはA&R Studios, NYC, April 29, 1968。

17.SABU/PALO CONGA(BLP1561)
ブルーノートにはパーカッションを全面に出したアルバムが何種類かある。このSabuのアルバムや「Solomon Ilori / African High Life 」などなど数種類ある。
アフロ・キューバン・サウンドのオーセンティックな意味を持つこのアルバムをそのまま下記のケニー・ドーハムのようには使えないが、ちょっとブレイク・タイムを持つ時に流すにはいいかも。サブー・マルティネスは41年に11歳でデビューし、44年にニューヨークに移り住みハリー・ベラフォンテの伴奏、ディジー・ガレスピーのバンドで演奏し、その後チャーリー・パーカー、モンク、アート・ブレイキーなどとも共演した。パーソネルとレコーディングはEvaristo Baro (b) Ray "Mosquito" Romero, Israel Moises "Quique" Travieso (cga) Arsenio Rodriguez (cga, g, vo) "Sabu" Martinez (cga, bgo, vo) Raul "Caesar" Travieso (cga, vo) Sarah Bavo, Willie Capo (vo) 。Manhattan Towers, NYC, April 28, 1957。

18.KENNY DORHAM/AFRO-CUBAN(BLP 1535)
古くは50年代のNY にCUBAN JAZZブームがあった。アフロ・キューバン・ジャズは当時のBE BOPの終焉と同時に発生したHARD BOPスタイルの誕生のフォーマットとなったと言われているが、なんだか最近のクラブジャズ→nu jazz→Finn Jazzの動向とシンクロしていて興味深い。Kenny DorhamのBLUE NOTE初リーダー作品であるアフローキューバン・ジャズは、90年代初頭のAcid Jazz表出の時に買ったものだが、ファイヴ・コーナーズ・クィンテット、ニコラ・コンテ、ティモなどの流れでいまになってやっとこのアルバムの利用価値が高まったというわけか。パーソネルとレコーディングはA面:Kenny Dorham (tp) Hank Mobley (ts) Cecil Payne (bars) Horace Silver (p) Percy Heath (b) Art Blakey (d) Rudy Van Gelder Studio, Hackensack。NJ, January 30, 1955。
B面:Kenny Dorham (tp) J.J. Johnson (tb) Hank Mobley (ts) Cecil Payne (bars) Horace Silver (p) Oscar Pettiford (b) Art Blakey (d) Carlos "Patato" Valdes (cga) Richie Goldberg (cowbell -1,3) Rudy Van Gelder Studio, Hackensack。NJ, March 29, 1955。

19.CHARLIE ROUSE/BOSSA NOVA BACCHANAL(BLP 4119)
nu jazzやFinn Jazzといってもその本質はやはりボッサやラテンテイストのジャズが主流で、まだまだジャズの領域にまでは至っていないのが現実である。ニコラ・コンテやイタリアのスケマでのジャズグルーヴ、FCQのグルーヴの間にこのアルバムでのブラジリアンを挿入しても違和感なくフイットするのはそれを証明している。テナー奏者CHARLIE ROUSEが、KENNY BURRELLやWILLIE BOBOをバックにジャズボッサを展開。トロピカル、カリプソ/キューバンテイストのクラブジャズDJ御用達アルバムである。パーソネルとレコーディングは、Charlie Rouse (Tenor Sax) 、Kenny Burrell, Chauncey "Lord" Westbrook (Guitar) 、Larry Gales (Bass) 、Willie Bobo (Drums) 、Carlos "Patato" Valdes (Conga) 、Garvin Masseaux (Chekere)。Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs。NJ, November 26, 1962。

20.CANDIDO/BEAUTIFUL(BST 84357)
ハバナ出身、米国にわたりラテン・ジャズ・フィールドなどで活躍してきたマスター・パーカッショニストの一人カンディド。最近ではパタート、ジョバンニ・イダルゴとのパーカッション3人衆ユニット、コンガ・キングスのアルバムも発売されている。本作は1970年の作品。ブガルー的な使い方が最適だろうとは思うけれど、癖のある彼のラテンジャズをどういった使い方をしようか思案中。
Bernie Glow, Pat Russo (tp) Alan Raph (tb, btb) Joe Grimm (ss, bars) Frank Anderson (p, org) David Spinozza (g) Jerry Jemmott (el-b) Herbie Lovelle (d) Candido Camero (cga, bgo) Joe Cain (arr) A&R Studios, NYC, October 20, 1970。

21.ART BLAKEY/ORGY IN RHYTHM(BLP 1554)
22.ART BLAKEY/ORGY IN RHYTHM(BLP 1555)
当時「リズムの響宴」シリーズとして発表されたvol.1、vol.2は、スコアもなく即興でワンテイクで録音されたものらしい。12名のメンバーのうち9人がパーカッション奏者で、「トフィ」という曲ではブレイキーのスワヒリ語のヴォーカルも聴ける野性的なアフリカン・リズムが8曲収録されている。ブレイクビーツ用にDJ必携のアルバムでもある。ラテン/アフリカの記号はジャズのなかで統合されこの「リズムの乱交パーティ」は正に現在のクラブジャズの時代を予見して作られたかのようにリアルだ。
パーソネルとレコーディングは、Art blakey(Drums,Vocal)、Arthur Taylor(Drums)、Jo Jones/'Specs'Wright(Drums & Tympani)、Sabu(Bongo & Timbales)、'Potato' Valdez/Jose Valiente(Conga)、Ubaldo Nieto(Timbales)、Evilio Quintero(Cencerro、Maaracas & Tree Log)、Herbie Mann(Flute)、Ray Bryant(Piano)、Wendell Marshall(Bass)。Manhattan Towers, NYC, March 7, 1957。

23.ART BLAKEY/HOLIDAY FOR SKINS VOL.1(BST 4004)
24.ART BLAKEY/HOLIDAY FOR SKINS VOL.2(BST 4005)
57年に発表された「Orgy In Rhythm」のVol.1とVol.2の2枚は「Hard Swing Bop」を展開するうえで曲と曲を繋ぐうえでとても重要なブレイクビートだ。その「リズムの響宴」シリーズの続編にあたるこの2枚の「Holiday In Skins」もまた”安定したハイハット・ワークとまさにワン&オンリーのスティックさばきが素晴らしい。「歌う楽器」としての打楽器の魅力を改めて認識させてくれる”(ライナーノーツより)というようにブレイクビーツとして多いに活用できる。vol.1とVol.2のパーソネルとレコーディングは、Art Blakey(Drums)Philly Joe Jones(drums & Tympani)、Art Taylor (drums & Gong)、 "Sabu" Martinez(Bongo & Conga)、Ray Bryant、ChonguitoVicente(Congas)、Victor Gonzalez(Bongo)、Andy Delannoy(Maracas & Cencerro)、Julio Martinez(Conga & Treelog)、Fred Pagani Jr(Timbales)、 Donald Byrd(Trumpet)、Ray Bryant(Piano)、WendellMarshall(Bass)、Chants By Art Blakey,Philly Joe Jones,Sabu Martinez,Austin Cromer,Hal Rasheed。 Manhattan Towers, NYC, March 7, 1957。
vol2はvol.1よりもジャズ寄りのグルーヴが聴かれる。こうしたコンガなどを使ったアート・ブレイキーの他の作品には62年の「Art Blakey And the Afro-drum Ensemble」などがある。

25.ANDREW HILL/COMPULSION!!!!!(BST 84217)
アンドリュー・ヒルの音楽はブルーノートのミュージシャンのなかでも最も難解なものと言われセールスも良くなくレコーディングされても未発表ものが多くあるらしい。そういう理由なのか彼のブルーノートでの入手困難なアルバムが多い。残念なことに2007年4月20日午前4時に数年間患っていた肺がんのため自宅にて死去している。享年75才。本作「強制!!!!!」ではアフリカン・テイストのある現代音楽/フリージャズ的アプローチのドラマチックな音楽を展開している。個人的にはA1「Compulsion」、B2「Limbo」などの曲はハードバップとして捉えている。パーソネルとレコーディングは、Freddie Hubbard (Trumpet & Flugelhorn) 、John Gilmore (Tenor Sax & Bass Clanet)、 Andrew Hill (Piano)、 Cecil McBee (Bass) 、Richard Davis ((Bass) 、Joe Chambers (Drums) 、Nadi Qamar (African Drums, & African Thumb Piano)、 Renaud Simmons (conga)。 Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, October 8, 1965。

26.GRANT GREEN/GREEN IS BEAUTIFUL(BST 84342)
DJイングするときにギターやオルガン奏者のアルバムは出来るだけ避けているのだが、この「Green is Beautiful」は彼には珍しくトランペット、テナーサックスがセットされ、コンガやボンゴをフィーチャーしたパーカッシヴなラテンジャズが聴かれポップジャズとしてのテイストさえ持っている70年の作品で、これならなんとか使えるかも。(Grant Greenにはラテンミュージックをあつかった「The Latin Bit」という62年の作品もある)。ジャズがなし崩しにダメになっていった当時の中庸さが却ってクラブジャズとして適応していて、nu jazzとしての機能も引き出せる。パーソネルとレコーディングはJohn Acea (p) Grant Green (g) Wendell Marshall (b) Willie Bobo (d) Carlos "Patato" Valdes (cga) Garvin Masseaux (chekere) Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs。 NJ, April 26, 1962。

27.LOU DONALDSON/LIGHT- FOOT(BST 84053)
エレガントでロマンティックなアルバムだ。しかめっ面でジャズなど演奏していないルー・ドナルドソンの持つ和気藹々とした人間性も同時に収録されている。コンガという打楽器の音がいっそうそうした軽さを増幅させているのだろう。
パーソネルとレコーディングは、Lou Donaldson Alto Sax) 、Herman Foster (Piano)、 Peck Morrison (Bass) 、Jimmy Wormsworth (Drums) 、Ray Barretto (Conga)。Rudy Van Gelder Studio, Hackensac。 NJ, December 14, 1958。

28.FREDDIE HUBBARD/BLUE SPIRITS(BST 84196)
3管アンサンブルによるソウルフルな作品だが、Big Blackのコンガが使われている「Cunga Black」は現在のnu jazzやFinn Jazzの気配を持っていて、彼らがこうした曲に影響されていることが解り興味深い。B1「Outer forces」やB3「Jodo」のハードバップのフレディのソロには彼をフェイヴァリット・ミュージシャンにあげていたユッカ・エスコラのトランペットを想起する。艶のある甘いトランペットの音だ。パーソネルとレコーディングは、Freddie Hubbard (Trumpet) 、James Spaulding (Alto Sax & Flute)、Joe Henderson (Tenor Sax)、Kiane Zawadi (Euphonium)、 Harold Mabern Jr. (Piano) 、Larry Ridley (Bass)、 Clifford Jarvis (Drums) 、Big Black (Conga)、Hank Mobley(Tenor Sax)、McCoy Tyner(Piano)、Bob Cranshaw(Bass)、Pete La Rock(Drums)。Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs。 NJ, February 19, 1965。

29.HORACE PARLAN/HEADIN' SOUTH(BST 84062)
当時のジャズファンの間ではパーカッションが入ることにはかなりの抵抗感があり、パーカッションの"チャカ・ポコ"音は余計な装飾音、ジャズを軽くするものとみなされ毛嫌いされていたらしい。この「ヘッディン’・サウス」もニコラ・コンテやファイヴ・コーナーズ・クゥインテットの流れで使うと微妙にマッチするから不思議なものだ。パーソネルとレコーディングは、Horace Parlan (Piano)、 George Tucker (Bass) 、Al Harewood (Drums) 、Ray Barretto (Conga)。 Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, December 6, 1960。

30.ART TAYLOR/A.T.'s DELIGHT(BST 84047)
1929年4月8日 NY 生れ。Art Taylorはかって50年代ハード・バップ全盛時にArt Blakey and Jazz Messengers の対抗馬として、また JM や Horace Silver Quintet に続くファンキー集団としても注目された。当時彼は多くのハード・バップ・セッションに参加していて人気抜群 だったという。このアルバムA3「Move」のコンガのリズムが挿入されたハードバップはFinn Jazzのラテンチューンに続くグルーヴとして使える。パーソネルとレコーディングは、Dave Burns (Trumpet) 、Stanley Turrentine (Tenor Sax)、 Wynton Kelly (Piano)、 Paul Chambers (Bass) 、Art Taylor (Drums)、 Carlos "Patato" Valdes (Conga)。Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, August 6, 1960。

ブルーノートでの50-60年代のジャズに関わっていたミュージシャンたちの多くが恵まれた人生を歩んだとは言えない。しかし、ボクの知人は6000万もするマンシャンを買ったりしているこの今の時代を象徴する「拝金私生活至上主義」の時代に、ジャズだけではないが、ミュージシャンたちが追い込まれている生活苦は想像以上のものだ。CDやレコードなどは20-30万の金さえあれば誰もがリリースできプロパガンダできる時代だが、よほどのことが無い限りそれに対する社会や音楽業界のリアクションなんてまるでない。プレスした500枚のCDも多くがバンドの友人や仲間内が買っているだけで、それを売り切ることも困難なのだ。過去にnu thingsに関わってくれたミュージシャンも大半以上がバンドを解散していたり音楽活動を辞めたりしている。そんななかで音楽活動を敢えて続行できるミュージシャンは昼の顔が銀行マンだったり、商社マンだったりする。これって、なにかおかしくない?

2007年07月18日

Use filters

BLUE NOTE-3

6月25日、7月8日に続く。

ハードバップとはジャズ・ミュージシャンの持つエモーションをダイレクトにぶつけた音楽であり、変容し続ける都市のスピードそのものである

HARD BOP
3-5管「Trumpet+Trombone+Tenor Sax+Alto Sax+Baritone Sax+Flute」アンサンブルのアルバム27選

50-60年代当時のハードバップの定義を調べようと、先日梅田の古本屋で見つけた88年のジャズ批評 no.62の特集「名演激演 ハードバップ・カタログ」を読んでみたが、まるでボクのとらえているハードバップとは違いがありすぎて、なんの資料にもならなかった。当時のニッポンのジャズファンは本当にハードバップの本質を見抜いていたのかしらんと疑わしくなってきた。恐らく当時はアルバム全体としてその音楽を批評する慣習があって、1曲1曲音楽を聴くのではなくアルバム全体の印象ですべてを捉えていたからだろう。81年6月発行の"音楽の手帖「ジャズ」"のなかで「ビ・バップからハード・バップへ」と題して佐藤秀樹氏が「様式主義に走り、知的に溺れすぎたウェストコースト・ジャズに対する巻き返しであり、ハード・バップがバップ・リグレッションと呼ばれ、黒人ジャズの持つ伝統への回帰を意味し、何にも増してミュージシャンの持つエモーションをダイレクトにぶつけようとしたもの」と述べているが、ボクもその通りだと思う。ハードバップに最も重要なのは、2管、3管によるアンサンブル、カッコいいテーマユニゾンとエモーショナルなリズムの速度、ハイ・テンションだ。だから、バップやモード、新古典派と呼ばれているアルバムのなかにもハードバップと言える曲が多々ある。2管、3管が輪唱するように重厚なインタープレイの絡み合いやテーマを奏でるあのスタイル。そしてグルーヴと言えばアート・ブレイキーのドラムスに特徴の「シンバルでリズムを刻み、両手両足を目にもとまらぬ早さで動かし様々な音色を出し、ソロの終わりで次のソリストを導入するまでクレッシェンドでつないでいく迫力、ソリストをのせるために投げかけるブレークの見事さ」(アンドレ・フランシス著「ジャズの世界」)こそがハードバップの本意のように思える。今回は3管から5管によるアンサンブルのアルバムをブルーノート4000番台で27枚紹介しよう。ここでのアルバムの評価、糸口は正統派のジャズの視点からではなく、あくまでもnu jazz、Club Jazzの視点からコンパイルしていることを忘れないように。21世紀に対応するものとしてのハードバップ、モード。クラブジャズの先端であるnu jazz、Finn JazzのグルーヴにDJイング可能な曲を50-60年代のブルーノート・レコードから選曲してみた。

31.DONALD BYRD/OFF THE RACES(BST 84007)
超高速のハードバップ・アレンジによるA1「Lover Come Back To Me」、マーチ風イントロで始まるB2「Off To The Races」などはそのまま21世紀の時代感覚にあったクラブジャズとして適応する。Pepper Adamsのバリトン、Jackie McLeanのアルト、そしてバードのトランペットによる3管アンサンブル。ジャケ写のベンツに寄りかかるバード。車がジャズを象徴するものという時代もあったんだ。
Donald Byrd (Trumpet) 、Jackie McLean (Alto Sax) 、Pepper Adams (Baritone Sax)、 Wynton Kelly (Piano)、 Sam Jones (Bass) 、Art Taylor (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, December 21, 1958。

32.DONALD BYRD/BYRD IN HAND(BST 84019)
小粋にスィンガーする曲「Witchcraft」から始まるこのアルバムでは、ファンキーなハードバップA3「Devil Whip」、渾名がナイフと言われるペッパー・アダムスのように切れ味鋭いドスの効いたバリトンが聴けるB2「Clarion Calls」、2管ユニゾンの疾走するバードのトランペットが気持ちいいB3「The Injuns」などが新たなハードバップとして再構築できる。それにB1のウォルター・デイヴィスの曲「Bronze Dance」もラテンリズムのグルーヴがnu jazzの流れで使えなど、このアルバムの利用価値は大。
Donald Byrd (Trumpet)、 Charlie Rouse (Tennor Sax) 、Pepper Adams (Baritone Sax)、 Walter Davis Jr. (Piano) 、Sam Jones (Bass) 、Art Taylor (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, May 31, 1959。

33.JACKIE McLEAN/JACKIE'S BAG(BST 84051)
B1の「Appointment In Ghana」の3管による渋めのハードバップが最高。2管によるA1「Quadrangle」、A2「Blues Inn」などアルバム全体的に渋めの上質なハードバップが多く、テンションの高いハードバップからそろそろこの辺りのクールで渋いものにDJリストを変更しようかとも思っているが、でもDJイングしてもせいぜい40分くらいかな。それ以上は退屈になるかも。
Aサイド: Donald Byrd (Trumpet)、 Jackie McLean (Alto Sax) 、Sonny Clark (Piano)、 Paul Chambers (Bass)、 Philly Joe Jones (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, January 18, 1959。
Bサイド:Blue Mitchell (Trumpet) 、Jackie McLean (Alto Sax) 、Tina Brooks (Tenor Sax) 、Kenny Drew (Piano) 、Paul Chambers (Bass) 、Art Taylor (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, September 1, 1960。

34.TINA BROOKS/BACK TO THE TRACKS(BST 84052)
A1「Back To The Tracks」、B1「The Blues And I」、B3「The Ruby And The Pearl」などはシックで軽快なハードバップ。ブルーノートに眠っているティナ・ブルックスのリーダー作のこの一枚をマイケル・カスクーナの手によって陽の目を見たのがこのアルバム。
Blue Mitchell(Trumpet)、Jackie McLean(Alto Sax)、Tina Brooks(Tenor Sax)、Kenny Drew(Piano)、Paul Chambers(Bass)、Art Taylor(Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, September 1/October 20,1960。

35.FREDDIE HUBBARD/HUB CAP(BST 84073)
3管セクステットによるこのアルバムでは、ハードバップA1「Hub Cap」、ラテンテイストのハードバップB2「Plexus」の2曲が特にお薦め。A3「Luana」やB1「Osie Mae」でのラテンリズム、スウィンギーなハードバップもnu jazzやFinn Jazzの流れにマッチする。この「Hub Cap」はハバードが初めてモーダルなアプローチとフリーフォームに対する結論、トランペッターとしてのアイデンティティを確立したアルバムだと言われている。
Freddie Hubbard (Trumpet) 、Julian Priester (Trombone)、 Jimmy Heath (Tenor Sax) 、Cedar Walton (Piano)、 Larry Ridley (Bass)、 Philly Joe Jones (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, April 9, 1961。

36.FREDDIE HUBBARD/READY FOR FREDDIE(BST 84085)
珍しいユーフォニウムという金管楽器が使われたこのアルバムも全体的には3管編成の渋いハードバップが収められている。A1「Arietis」のモード的な美しいハーモニーとメロディ、トリッキーでドラマチックなA3「Marie Antoinette」、縦横無尽に疾走するハードバップ、B1「Birdlike」などの曲はFinn Jazzやnu jazzのグルーヴとして適応するだろう。
Freddie Hubbard (Trumpet)、 Bernard McKinney (Euponium)、 Wayne Shorter (Tenor Sax) 、McCoy Tyner (Piano) 、Art Davis (Bass) 、Elvin Jones (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, August 21, 1961。

37.LEO PARKER/LET ME TELL YOU 'BOUT IT(BST 84087)
ブルーノートから2枚のリ−ダーアルバムをリリースしているレオ・パーカー。バリトンサックスの太い音色はテンションの高いハードバップには最適。縦横無尽に疾走するバリトンの太いトーンが小気味いいA1「Glad Lad」、ドライブ感のあるハードバップA4「VI」、疾走するグルーヴB3「TCTB」など正にハードバップを象徴するアルバムだ。ゴスペル+ファンキー/カラーのB2「Loe Brown」もnu jazz的サウンドスケープを持っていて捨て難い。
John Burks (Trumpet)、 Bill Swindell (Tenor Sax) 、Leo Parker (Baritone Sax)、 Yusef Salim (Piano)、 Stan Conover (Bass)、 Purnell Rice (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, September 9, 1961。

38.ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS/MOSAIC(BST 84090)
3管になってから初のブルーノート録音。本作からトランペットがフレディ・ハバード、ピアノがシダー・ウォルトンに変わる。このメンバーチェンジによって、メッセンジャーズはファンキー路線から、よりショーターに合ったバンドに近づいてきたとこのアルバムを批評する人もいるが、そういうジャズの捉え方はもう古くさい。すべてをズタズタに解体してから再構築だ。A1「Mosaic」のようなラテンテイストのハードバップや、ハードでもダウンでもないエキゾチックなバップブルース的グルーヴのB1「Arabia」などはnu jazzやFinn Jazzに最も通じる世界。ウェイン・ショーターの曲A3「Chidren Of The Night」のソウルフルでスピリチュアルなグルーヴもモダンだ。
Freddie Hubbard (Trumpet)、 Curtis Fuller (Trombone) 、Wayne Shorter (Tenor Sax) 、Cedar Walton (Piano) 、Jymie Merritt (Bass) 、Art Blakey (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, October 2, 1961。

39.LEO PARKER/ROLLIN' WITH LEO(BST 84095)
バリトン奏者レオ・パーカーの未発表アルバムだったもの。3管アンサンブルだがハードバップとは言えないミディアム・テンポのバップブルースやポップジャズが収録されている。いまでも使えるものとして強いて挙げるならB4「Mad Lad Returns」くらいだろう。
Dave Burns (Trumpet)、 Bill Swindell (Tenor Sax)、 Leo Parker (Baritone Sax) 、John Acea (Piano)、 Stan Conover +Al Lucas(Bass) 、Purnell Rice (Drums)。Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, October 12, 1961。

40.ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS/BUHAINA'S DELIGHT(BST 84104)
これはショーター色の濃い、知的なアルバムでもある。ショーター作の3曲「Backstage Sally」などのミディアム・テンポのファンキー・ナンバーも素晴らしいが。ここではnu jazzという記号をコンセプトに記述しているので、細かいことはパス。アルバムタイトルの「ブハイナズ」とはアート・ブレイキーの回教徒名らしい。このアルバムではヘンリー・マンシーニの曲B3「Moon River」をものの見事ハードバップ仕立てにしているものと、A3「Bu's Delight」が21世紀速度を持っているグルーヴを選曲しよう。
Freddie Hubbard (Trumpet) 、Wayne Shorter (Tenor Sax)、Curtis Fuller (Trombone) 、Cedar Walton (Piano) 、Jymie Merritt (Bass)、 Art Blakey (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, November 28, 1961。

41.HERBIE HANCOCK/MY POINT OF VIEW(BST 84126)
ハービー・ハンコックのBlue Noteレーベルからの2ndアルバム「My Point Of View」。全体的にはモーダル/ブガルー/ファンキーバップのアルバム。無理して使うならブガルー/ファンキージャズのA1「Blind Man,Blind Man」とモーダルなB1「King Cobra」だろう。
Donald Byrd (Trumpet) 、Grachan Moncur III (Trombone)、 Hank Mobley (Tenor Sax)、 Herbie Hancock (Piano)、 Grant Green (Guiter)、 Chuck Israels (Bass)、 Tony Williams (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, March 19, 1963。

42.LITTLE JOHNNY/LITTLE JOHNNY C(BST 84144)
モーダル、ミディアム・テンポのバップブルースといった感の作品。ミディアム・テンポの渋いハードバップとしてB2「Heavy Legs」が使える。
Johnny Coles (Trumpet) 、Leo Wright (Alto Sax+Flute)、 Joe Henderson (Tenor Sax)、 Duke Pearson (Piano) 、Bob Cranshaw (Bass) 、Walter Perkins (Drums)、Pete La Roca(Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, July 18, 1963。

43.ANDREW HILL/POINT OF DEPARTURE(BST 84167)
当時、時代をリード する存在だったEric Dolphyの参加によって話題を呼び、高い評価を集めたアルバムらしい。アンドリュー・ヒルのブルーノート第4作目にあたる3管セクステットでの、こうしたアブストラクト/インタープレイのドラマチックなハードバップこそ単純になりがちなグルーヴに緊張感を持たせるために最も必要。A1「Refuge」、B2「Flight 19」のアブストラクトなハードバップは最高。
Kenny Dorham (Trumpet)、 Eric Dolphy (Alto Sax+Flute+Bass Clarinet)、 Joe Henderson (Tenor Sax) 、Andrew Hill (Piano) 、Richard Davis (Bass) 、Tony Williams (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, March 21, 1964。

44.ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS/FREE FOR ALL(BLP 4170)
アート・ブレイキーのドラムスを聴くまでは、なぜかそのダイナミックでオーバーアクションぎみのドラムテクニックというイメージや先入観で、彼のアルバムを買うのを避けていたのだが、それが大きな誤解であることが、こうしてアルバムの多くを聴いて初めて気づいた。前面にでることなく一定のグルーヴをキープしている安定したリズム感、曲のピークでのテンションの高いときのダイナミズムなどなど。何事もイメージや先入観で判断したら大きな間違いをおかすことになる。すべて自分の耳や目で確かめることだ。ブレーキーの作品にとってはショーターの知性が不可欠だというのも頷けるが。A1「Free For All」、B1「The Core」でのリズムの叩き込みのカッコ良さ!。これはもう現在のnu jazzに最も必要なグルーヴであり、現在のジャズに最も欠けているグルーヴ、テンションでもある。B2「Pensativa」はラテンテイストでnu jazzに繋がるグルーヴ。
Freddie Hubbard (Trumpet) 、Curtis Fuller (Trombone)、 Wayne Shorter (Tenor Sax)、 Cedar Walton (Piano)、 Reggie Workman (Bass) 、Art Blakey (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, February 10, 1964。

45.DONALD BYRD/I'M TRYIN' TO GET HOME(BST 84188)
男女混合のヴォイス/スキャットを絡ませたファンキー・ゴスペル・ジャズ。ちょっと特殊な使い方をするならA3「I'm Tryin' To Get Home」をアップテンポのゴスペルテイストのハードバップとして。
Jimmy Owens, Ernie Royal, Clark Terry, Snooky Young (Trumpet)、 Donald Byrd (Trumpet+Fluegelhorn) 、Jimmy Cleveland, Henry Cocker, J.J. Johnson, Benny Powell (Trombone)、 Jim Buffington, Bob Northern (Fluegelhorn) 、Don Butterfield (Tuba) 、Stanley Turrentine (Tenor Sax) 、Herbie Hancock (Piano) 、Freddie Roach (Organ)、 Grant Green (Guiter) 、Bob Cranshaw (Bass) 、Grady Tate (Drums)、 Duke Pearson (arranged) 、Coleridge Perkinson (Dir, Cond) unidentified vocal chorus。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, December 17, 1964。

46.DUKE PEARSON/WAHOO(BST 84191)
渋めのモーダル色の濃いハードバップとしてB3「Fly Little Bird Fly」をお薦め。それ以外は使えそうもないかも。
Donald Byrd (Trumpet) 、James Spaulding (Alto Dax+Flute)、 Joe Henderson (Tenor Sax) 、Duke Pearson (Piano)、 Bob Cranshaw (Bass) 、Mickey Roker (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, November 21, 1964。

47.WAYNE SHORTER/THE ALL SEEING EYE(BST 84219)
ブルーノートでの65年録音4枚目のリーダー作。5管アンサンブルのこのアルバムは現代音楽+フリージャズ。B1「Chaos」がハードバップとして活用できる。
Freddie Hubbard (trumpet+Fluegelhorn) 、Alan Shorter (Fluegelhorn) 、Grachan Moncur III (Trombone) 、James Spaulding (Alto Sax) 、Wayne Shorter (Tenor Sax) 、Herbie Hancock (Piano)、 Ron Carter (Bass) 、Joe Chambers (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, October 15, 1965。

48.JOE HENDERSON/MODE FOR JOE(BST 84227)
3管+ヴァイブという編成が現在のnu jazzにマッチする。軽やかなハードバップB2「Granted」、ラテンリズムのB1「Caribbean Fire Dance」、A1「A Shade Of Jade」、A3「Free Wheelin'」などのモードと呼ばれていた曲なども勿論nu jazzに適応できる。
Lee Morgan (Trumpet)、 Curtis Fuller (Trombone)、 Joe Henderson (Tenor Sax)、 Bobby Hutcherson (Vibes) 、Cedar Walton (Piano) 、Ron Carter (Bass) 、Joe Chambers (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, January 27, 1966。

49.HANK MOBLEY/A CADDY FOR DADDY(BST 84230)
ブガルーのA1「A Caddy For Daddy」から始まり、全体的にはクールでモダンなアルバムだ。B3「3rd Time Around」は軽やかな60年代的ハードバップ。A2「The Morning after」、B1「Venus Di Mildew」などは現在の都市の景観にも通じるモダンな曲。ブガルーあたりのグルーヴは90年代初頭のアシッドジャズのものかも。
Lee Morgan (Trumpet) 、Curtis Fuller (Trombone) 、Hank Mobley (Tenor Sax) 、McCoy Tyner (Piano) 、Bob Cranshaw (Bass)、 Billy Higgins (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, December 18, 1965。

50.STANLEY TURRENTINE/ROUGH 'N TUMBLE(BST 84240)
ブルージー+ゴスペルの世界でハードバップとして使えそうなものは1曲もない。スウィンギンなアレンジA3「Feeling Good」、4管アンサンブルのビッグバンド的アレンジB3「Baptismal」が新鮮だが。
Blue Mitchell (Trumpet) 、James Spaulding (Alto Sax)、 Stanley Turrentine (Tenor Sax)、 Pepper Adams (Baritone Sax)、 McCoy Tyner (Piano) 、Grant Green (Guiter)、 Bob Cranshaw (Bass)、 Mickey Roker (Drums)、 Duke Pearson (Arrangements)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, July 1, 1966。

51.DUKE PEARSON/SWEET HONEY BEE(BST 84252)
サイドAはイージーリスニング・ジャズ/ポップジャズといったもので、強いて使うならA2「Sudel」のラテンテイストの曲くらいだろう。モダンな記号にこだわりすぎて少々軽すぎカフェミュージックとして機能するくらい。
Freddie Hubbard (Trumpet) 、James Spaulding (Alto Sax+Flute) 、Joe Henderson (Tenor Sax) 、Duke Pearson (Piano)、 Ron Carter (Bass) 、Mickey Roker (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, December 7, 1966。

52.STANLEY TURRENTINE/THE SPOILER(BST 84256)
5管によるブルージーかつファンキーなジャズ。A3「La Fiesta」のラテングルーヴがnu jazzとして使える。
Blue Mitchell (Trumpet) 、Julian Priester (Trombone) 、James Spaulding (Alto Sax+Flute) 、Stanley Turrentine (Tenor Sax)、 Pepper Adams (Baritone Sax) 、McCoy Tyner (Piano)、 Bob Cranshaw (Bass+Fender Bass)、 Mickey Roker (Drums) 、Joseph Rivera (Shaker+ Tambourine ) 、Duke Pearson (Arrangements)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, September 22, 1966。

53.DONALD BYRD/BLACKJACK(BST 84259)
ジャズ・ ファンクの傑作と言われているアルバムだが、A2「West Of The Pecos」とA3「Loki」hsSylvester Kynerの曲でハードバップやnu jazzが切り口ではちょっと物足りない。軽いハードバップとしてドナルド・バードの曲B3「Pentatonic」が唯一使えるかも。
Donald Byrd (Trumpet)、 Sonny Red (Alto Sax) 、Hank Mobley (Tenor Sax) 、Cedar Walton (Piano) 、Walter Booker (Bass)、 Billy Higgins (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, January 9, 1967。

54.DUKE PEARSON/THE RIGHT TOUCH(BST 84267)
ジャズボッサの名盤として有名なこのアルバムでは、A1「Chili Peppers」、B1「Los Malos Hombres」などのラテンリズムの曲はFinn Jazz、nu jazzのグルーヴとしてそのままDJイングできる。
Freddie Hubbard (Trumpet)、 Garnett Brown (Trombone)、 James Spaulding (Alto Sax) 、Jerry Dodgion (Alto Sax+Fluto)、 Stanley Turrentine (Tenor Sax) 、Duke Pearson (Piano+Arrangements)、 Gene Taylor (Bass)、 Grady Tate (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, September 13, 1967。

55.TYRONE WASHINGTON/NATURAL ESSENCE(BST 84274)
3管によるテーマ・ユニゾンや掛け合いが素晴らしいソウルジャズA1「Natural Essence」、B1「Soul Dance」。B2「Ethos」はラテンリズムの曲でFinn Jazz/nu jazzとしてとらえられる。
Woody Shaw (Trumpet) 、James Spaulding (Alto Sax+Flute)、 Tyrone Washington (Tenor Sax) 、Kenny Barron (Piano) 、Reggie Workman (Bass) 、Joe Chambers (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, December 29, 1967。

56.WAYNE SHORTER/SCHIZOPHRENIA(BST 84297)
当時、新主流派的と言われたジャズはハードバップを核に発展していったものだと言われている。このアルバムもインタープレイ/フリージャズに重点が置かれているがボクはハードバップの進化したものだととらえている。A3「Schizophrenia」は、スローなイントロで始まり急転調するハードバップ。A1「Tom Thimb」はラテンテイストの曲。このアルバムもHard Swing Bopでは必要不可欠のアルバム。
Curtis Fuller (Trombone)、 James Spaulding (Alto sax+Flute)、 Wayne Shorter (Tenor Sax)、 Herbie Hancock (Piano)、 Ron Carter (Bass)、 Joe Chambers (Drums)。
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, March 10, 1967。

57.HANK MOBLEY/THE FLIP(BST 84329)
スタイリッシュでモダンなハードバップB2「18 Th Hole」。B3「 Early Morning Stroll」はお洒落なモード。B1「Snappin' Out」はラテンボッサの曲。これらをすべてnu jazzとして聴き直すと、また違った視界が開けてくるんだ。音楽ってキミの意識の持ち方によって心の中に入ってもくるし、また、こないものでもあるんだ。不思議だね。
Dizzy Reece (Trumpet)、 Slide Hampton (Trombone)、 Hank Mobley (Tenor Sax) 、Vince Benedetti (Piano)、 Alby Cullaz (Bass)、 Philly Joe Jones (Drums)。
Barclay Studios, Paris, France, July 12, 1969。

myspace/blue note
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バップ、クール、ハードバップを通過してフリージャズ、ロックへと、加速度的に変わり続ける時代とともに変遷を繰り返し世界を拡張していったマイルス・デイヴィスの音楽を思う時、管楽器はやはりジャズだけではなくすべての音楽の華であり、あらゆる音楽状況を支配できるものだと思う。ハードバップはその管楽器の持つ機能を最も効率よく引き出した典型的な音楽ではないだろうか。管楽器は未来へ繋げる音楽への可能性をまだまだ秘めた楽器であるとボクは信じている。

追伸 「Hard Swing Bop」というコンセプトで、50-60年代のハードバップを21世紀のこの今の時代感覚に合うものとして再構築してから、もう1年が経とうとしている。こんなことしているのは世界広しといえど、ボクくらいのものだろうが、その大きな理由はこの2、3年の音楽シーンにnu jazz以外なにひとつ新しい音楽が表出してこなかったからだろう。先端の音楽ばかりを追ってきてもう30年近く経つが、こんなことはかって一度も無かった。音楽だけではなく、これがこの2007年の世界を取り巻くリアルな現状だろう。きっと新しい音楽はもう人間が重力から解放されるようなことがないかぎり、表出しないだろう。明日26日から始める「Somethin' Else, Somethin' Nu」は、ハードバップだけにとらわれないで、「ジャズ的なるもの」という大きな括弧つきのDJイングを楽しもうと考えている。その行為のなかで、なにか新しいものが見えてきたら幸いである。

2007年07月28日

WORDS and SOUNDS

WORDS AND SOUNDS


小笠原淳

「WORDS AND SOUNDS」、まずは「言葉」。ここしばらくこうしたロック的/文学的な音楽やイヴェントを出来るだけ意識的に避けていたが、平野隼也がオーガナイズしているイヴェントもたまには覗いてやらなければと、昨夜nu thingsに顔を出した。言語コミュニケーションを目的とするこうした音楽は、感じるというよりも、音楽という手段によって聴く者の頭の中の意識を概念化し、ある種の抽象的世界を発生させ構築し、それを共有することによって目的を果たすのだろうが、そこで言葉が歌われ始めだすと、物語性のような情緒的なナニモノかが生まれ流れ出してくる。それがいまのボクには白々しく思える。自分の吐いた言葉が100%機能しキミとのコミュニケーションを円滑に押し進め、いつまでも嘘でないなら、ボクもロックを捨て去らなかっただろう。だけど言葉はボクを裏切り、ボクは言葉を裏切るのだ。言葉は音楽にとってほんとうに必要なものだろうか。ボクは言葉に嘘をつきたくないから、人を傷つけることを解ってはいても本音しか話さない。それでその人との関係が断たれても、構わない。いずれ破綻するような嘘っぽい関係なら立て前だけの言葉で長続きさせる必要もない。


浅田真央

もし音楽に言葉が必要なら、文学的な詩だけは御免だ。シュルリアリスムの自動筆記(オートマティスム)やダダイストのダーダー言語、ビート詩人のような唾を吐き捨てるように韻を含んだリズム言語であって欲しい。それは湿っているうちは残っているが、乾いたら跡形も無い。そんな詩が好きだ。(真央クン。東京に行くのなら絶対に出世しろよ。いつまでも吉祥寺などの中央沿線の安アパートに住んで、いつの間にか背中にギターを背負った売れないミュージシャンになり、好きな男ができたらそれで終わりなんて、ちょっと哀し過ぎるよ)。最低限音楽にあって欲しいことは広い意味を持つ概念作用だけであり、そこに聴く側の個人的な翻訳可能な隙間をあけておいて欲しいことだけである。音楽の本質はもはやこうしたロック的な言葉の世界にあるのではなく、言葉にならないもののなかにある。「作曲家は、世界の内的な本質を明らかにし、その最も深遠な英知を、理性では理解できない言語で紡ぎ出す。それはちょうど、催眠術にかかった人が、目覚めているときには覚えていないことについて口にすることに似ている」といったショーペンハウエルのように。それにしても言語や言葉の問題はやっかいなものだ。


SAKAGUCHI+MAEDA

そして次の「音響」。音楽的人間と文学的人間とは決して混ざり合えないし、コミュニケーションできないものだと、ボクは諦めている。音楽は感じることだけで充分である。そこに言葉はいらない。だけどインストゥルメンタルの音響だからと言って現代音楽やフリーミュージックにある即興や偶然性から生まれる抽象になにか道があるとも思わない。インテレクチュアルなエッグヘッドや思考回路で音楽は理解するものではない。それも言葉と同じように白々しい。


SOULMARINE PRODUCTION
photo by Masaaki SUGIYA

音響であっても現在の音楽はデザインするごとくより構成主義的でスタイリッシュで、意識的でなくてはならないとボクは思っている。強いて音響というならラング(コード)とパロール(メッセージ)に分類し言語活動の総体をランガージュと命名したソシュールの言うように、暗号的メッセージのごとく概念と聴覚映像が表裏一体となったものかな。でも正直に言うけれど、いまのボクは音楽にはリズムこそが最も重要な要素だと思っているし、極論すればリズムだけの音楽でも構わない。だから音響系と呼ばれる90年代中期で終わった音楽では、いまでも支持できるのは唯一CARL CRAIG「Paris Live」(planet e PE65290-1)に聴こえるエレクトリック・ジャズ/ラップトップ・ジャズかも。ここでもカール・クレイグはバックにWendell Harrison(Clarinet、Sax & Guidance)、'Mad' Mike Banks(Key & Inst.)、Kelvin Sholar(Key & Super Vision)などのジャズミュージシャンを起用している。さて、音楽に意味はいらない。鳥肌立つほどに官能的で気持ちよく、瞬間的に感じさせてくれるものであって欲しい。

追伸

起き抜けにつけたワイドショウで布袋が町田を殴って、町田が被害届けを出したというニュースを偶然に見た。パンクスがJPOPギタリストに殴られて被害届けを出したということが可笑しくて笑ってしまった。芥川賞作家、町田康が布袋を殴って訴えられたというのが筋道じゃないのか? それならもっとカッコいいのに残念だなあ、と思った。彼ももう芸能ネタにされるような存在になってしまったのか。堕落したこれがいまのロックやパンクのリアルな笑い話なんだ。

2007年07月30日

into somethin'

into somethin'
at jaz' room nu things
29 sun july '07

WHAT'S UP
MASUHARA Iwao(bass) TANAKA Yoichi(Trumpet) KAWAMURA Hideki(T-Sax) HORI Hideaki(Piano) ANDO Masanori(Drums)

TAKEDA TATSUHIKO QUINTET
TAKEDA Tatsuhiko(Drums) TAKEI Tsutomu(Sax) IKUTA Sachiko(Piano) ARATAMA Tetsuro(Bass)

Jam Session

photo by Masaaki SUGIYA

ここで多くを語るのはやめよう。色々感じることはあるが、竹田達彦というジャズドラマーによって、この夜が成立していたことだけは間違いない。彼の存在によって、なによりも想像以上の素晴らしい時間が持てたことも確かだ。昨夜の贅沢な2バンドのスキルの高いジャズミュージシャンによる『into somethin'』はきっとジャズファンだけではなくクラブジャズファンにもいつまでも語り継がれるだろう。それほど竹田達彦クインテットのオリジナル曲はジャズとかクラブジャズとか言ってることがバカらしくなるほど全てを超越する(ハードバップ風の曲もラテンテイストの曲もあり)素晴らしい「ジャズ的なる」音楽だった。

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