Put in earplugs
6月25日に続く
BLUE NOTE-2
RHYTHM
「リズムは変化し成長し新たに生まれるもの」
ブルーノートはその切り口、組み合わせによって想像以上のパターンが発生する。それは明治製菓の「コんガらガっち」のように無限大の組み合わせが可能なのだ。例えばハードバップという切り口によってコンパイルしDJイングしていくと、当時のジャズファンが体験しようにもできない、予想もできなかった本来のハードバップが蘇生してくる。これこそがアーカイヴの時代の再構築=エディトリアル/コンパイルの魔法であり妙である。ラテンやアフロ、ボッサという切り口で今回は数枚のアルバムを取り上げるが、こうした作品もFINN JAZZのフィールドの上にDJイングしていくと、ものの見事繋がり新しい未知のグルーヴが発生するのだ。音楽にとって最も重要な基本は、メロディでもハーモニーでもサウンドスケープでもなくやはりリズム(グルーヴ)だろう。クラーゲスが『リズムの本質』という著書のなかで、リズムを生命現象として捉え決して同一的なものを繰り返す規則的、機械的な現象ではなく、たえず異なったものへと回帰する運動であって、反復はつねに更新されていき、リズムは変化し成長し新たに生まれるものだと記述していたが、その時代とともに変容/変遷していくのは音楽においてもリズムそのものなのだと思う。速度とか強度とかズレによる揺らぎとかリズムパターンとか・・・。DJ イングするときフロアに流れている音楽を聴きながら、次にミキシングする曲をヘッドホーンで聴いているのは、主にリズムパターンだけである。クラブジャズの本意でもあるが、人はリズム反応するときに身体表現を伴うことでリズムを再生し内在するリズム感が引き出される。ハードバップもnu jazzもダンスミュージックだというのを忘れないように。ということで今回はコンガ、ボンゴ、パーカッションをフィーチャーしたアルバム18枚を紹介。
13.DUKE PEARSON feat.Bobby Hutcherson/THE PHANTOM(BST 84293)
本作は68年のアルバム。64年に「Wahoo!」、66年に「Sweet Honey Bee」、67年に「The Right Touch」、68年に「The Phantom」などの作品を発表している 。デューク・ピアソンもまた32年生まれで80年に死去したというから48年の短い人生だった。この作品にはBobby Hutchersonがヴァイブでフィーチャリングされている。パーソネルはJerry Dodgion(flute & alto sax)、Sam Brown(guitar)、Al Gafa(guitar)、Bob Cranshaw(bass)、Mickey Roker(drums)、Victor Pantojo(conga)、”Potato" Valdes(conga & guiro)。デューク・ピアソンは90年初頭のアシッドジャズの時代からクラブジャズ・ファンからは支持者が多かった。当時の解釈とは違うがnu jazzのグルーヴとこのアルバムはよくマッチする。
14.BLUE MITCHELL/COLLISION IN BLACK(BST 84300)
Horece Silverの「BLOWIN' THE BLUES WAY」でのBlue MitchellとJunior Cookの2管によるハードバップは渋かった。このアルバムではファンキーな太くて渋いトランペットが聴ける。心からトランペットでうまい!といえるのは彼のようなギミックのない抑え気味の渋いプレイのことを指すのだと思う。他にもブルーノートから「Down With It」、「Boss Horn」などのアルバムがリリースされ、60年にRiversideから「Blue's Mood」という名盤もリリースされている。1930年3月13日フロリダ州マイアミの生れ。78年5月21日死去。このアルバムでのパーソネルはBlue Mitchell (trumpet) 、Dick Hyde, & Jack Richmond (Trombone)、 Jim Horn, & Ernie Watts (Flute) 、Anthony Ortega (Tenors) 、Monk Higgins (Piano, Organ, Tenors, & Piano) 、Miles Grayson (pPiano & Percussion) 、Dee Ervin (Organ & Percussion) 、Al Vescovo (Guitar)、 Bob West (Bass)、 Paul Humphrey (Drums) 、John Cyr (Percussion)。68年9月にロスのRPMスタジオで録音。
15.McCOY TYNER/TENDER MOMENTS(BST 84275)
6管による大編成アンサンブルのハードバップ。ここまで濃いハードバップもそれほど見られないが、クラブジャズ系の感性にはこうした仕掛け、ダイナミズムも必要だと思う。「アフロブルー」的スピリチュアルでソウルフルなグルーヴが一貫して流れていてちょっとFINN JAZZのティモ・ラッシーの新しいアルバム「The Soul & Jazz」の趣きもある。A1「Mode to John」はコルトレーンに捧げられたもの。パーソネルはLEE MORGAN (tp) JULIAN PRIESTER (tb) JAMES SPAULDING (as,fl) BENNIE MAUPIN (ts) BOB NORTHERN (french horn) HOWARD JOHNSON (tuba) McCOY TYNER (p) HERBIE LEWIS (b) JOE CHAMBERS (ds)。67年の作品。
16.ORNETTE COLEMAN/LOVE CALL(BST 84356)
フリーとスピリチュアルを融合したような70年代の先駆けとしてのカオスジャズ。あの頃の時代背景をモロ反映したジャケット写真にあるヒッピーたちの自由を象徴してなのか、フリーやノイズ的なこうした音楽をいまさらAB面ずっと聴き続けている忍耐力はないが、このアルバムを部分的にカットアップしてDJ イングすると単調だったハードバップ・グルーヴに広がりがでてより複雑な味わいのある世界が表れる。1枚の完成されたアルバムとしては聴く気はないが、それでもDJイングにはなくてはならないもの。68年の作品。パーソネルはOrnette Coleman (as, vln) Dewey Redman (ts) Jimmy Garrison (b) Elvin Jones (d)。レコーディングはA&R Studios, NYC, April 29, 1968。
17.SABU/PALO CONGA(BLP1561)
ブルーノートにはパーカッションを全面に出したアルバムが何種類かある。このSabuのアルバムや「Solomon Ilori / African High Life 」などなど数種類ある。
アフロ・キューバン・サウンドのオーセンティックな意味を持つこのアルバムをそのまま下記のケニー・ドーハムのようには使えないが、ちょっとブレイク・タイムを持つ時に流すにはいいかも。サブー・マルティネスは41年に11歳でデビューし、44年にニューヨークに移り住みハリー・ベラフォンテの伴奏、ディジー・ガレスピーのバンドで演奏し、その後チャーリー・パーカー、モンク、アート・ブレイキーなどとも共演した。パーソネルとレコーディングはEvaristo Baro (b) Ray "Mosquito" Romero, Israel Moises "Quique" Travieso (cga) Arsenio Rodriguez (cga, g, vo) "Sabu" Martinez (cga, bgo, vo) Raul "Caesar" Travieso (cga, vo) Sarah Bavo, Willie Capo (vo) 。Manhattan Towers, NYC, April 28, 1957。
18.KENNY DORHAM/AFRO-CUBAN(BLP 1535)
古くは50年代のNY にCUBAN JAZZブームがあった。アフロ・キューバン・ジャズは当時のBE BOPの終焉と同時に発生したHARD BOPスタイルの誕生のフォーマットとなったと言われているが、なんだか最近のクラブジャズ→nu jazz→Finn Jazzの動向とシンクロしていて興味深い。Kenny DorhamのBLUE NOTE初リーダー作品であるアフローキューバン・ジャズは、90年代初頭のAcid Jazz表出の時に買ったものだが、ファイヴ・コーナーズ・クィンテット、ニコラ・コンテ、ティモなどの流れでいまになってやっとこのアルバムの利用価値が高まったというわけか。パーソネルとレコーディングはA面:Kenny Dorham (tp) Hank Mobley (ts) Cecil Payne (bars) Horace Silver (p) Percy Heath (b) Art Blakey (d) Rudy Van Gelder Studio, Hackensack。NJ, January 30, 1955。
B面:Kenny Dorham (tp) J.J. Johnson (tb) Hank Mobley (ts) Cecil Payne (bars) Horace Silver (p) Oscar Pettiford (b) Art Blakey (d) Carlos "Patato" Valdes (cga) Richie Goldberg (cowbell -1,3) Rudy Van Gelder Studio, Hackensack。NJ, March 29, 1955。
19.CHARLIE ROUSE/BOSSA NOVA BACCHANAL(BLP 4119)
nu jazzやFinn Jazzといってもその本質はやはりボッサやラテンテイストのジャズが主流で、まだまだジャズの領域にまでは至っていないのが現実である。ニコラ・コンテやイタリアのスケマでのジャズグルーヴ、FCQのグルーヴの間にこのアルバムでのブラジリアンを挿入しても違和感なくフイットするのはそれを証明している。テナー奏者CHARLIE ROUSEが、KENNY BURRELLやWILLIE BOBOをバックにジャズボッサを展開。トロピカル、カリプソ/キューバンテイストのクラブジャズDJ御用達アルバムである。パーソネルとレコーディングは、Charlie Rouse (Tenor Sax) 、Kenny Burrell, Chauncey "Lord" Westbrook (Guitar) 、Larry Gales (Bass) 、Willie Bobo (Drums) 、Carlos "Patato" Valdes (Conga) 、Garvin Masseaux (Chekere)。Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs。NJ, November 26, 1962。
20.CANDIDO/BEAUTIFUL(BST 84357)
ハバナ出身、米国にわたりラテン・ジャズ・フィールドなどで活躍してきたマスター・パーカッショニストの一人カンディド。最近ではパタート、ジョバンニ・イダルゴとのパーカッション3人衆ユニット、コンガ・キングスのアルバムも発売されている。本作は1970年の作品。ブガルー的な使い方が最適だろうとは思うけれど、癖のある彼のラテンジャズをどういった使い方をしようか思案中。
Bernie Glow, Pat Russo (tp) Alan Raph (tb, btb) Joe Grimm (ss, bars) Frank Anderson (p, org) David Spinozza (g) Jerry Jemmott (el-b) Herbie Lovelle (d) Candido Camero (cga, bgo) Joe Cain (arr) A&R Studios, NYC, October 20, 1970。
21.ART BLAKEY/ORGY IN RHYTHM(BLP 1554)
22.ART BLAKEY/ORGY IN RHYTHM(BLP 1555)
当時「リズムの響宴」シリーズとして発表されたvol.1、vol.2は、スコアもなく即興でワンテイクで録音されたものらしい。12名のメンバーのうち9人がパーカッション奏者で、「トフィ」という曲ではブレイキーのスワヒリ語のヴォーカルも聴ける野性的なアフリカン・リズムが8曲収録されている。ブレイクビーツ用にDJ必携のアルバムでもある。ラテン/アフリカの記号はジャズのなかで統合されこの「リズムの乱交パーティ」は正に現在のクラブジャズの時代を予見して作られたかのようにリアルだ。
パーソネルとレコーディングは、Art blakey(Drums,Vocal)、Arthur Taylor(Drums)、Jo Jones/'Specs'Wright(Drums & Tympani)、Sabu(Bongo & Timbales)、'Potato' Valdez/Jose Valiente(Conga)、Ubaldo Nieto(Timbales)、Evilio Quintero(Cencerro、Maaracas & Tree Log)、Herbie Mann(Flute)、Ray Bryant(Piano)、Wendell Marshall(Bass)。Manhattan Towers, NYC, March 7, 1957。
23.ART BLAKEY/HOLIDAY FOR SKINS VOL.1(BST 4004)
24.ART BLAKEY/HOLIDAY FOR SKINS VOL.2(BST 4005)
57年に発表された「Orgy In Rhythm」のVol.1とVol.2の2枚は「Hard Swing Bop」を展開するうえで曲と曲を繋ぐうえでとても重要なブレイクビートだ。その「リズムの響宴」シリーズの続編にあたるこの2枚の「Holiday In Skins」もまた”安定したハイハット・ワークとまさにワン&オンリーのスティックさばきが素晴らしい。「歌う楽器」としての打楽器の魅力を改めて認識させてくれる”(ライナーノーツより)というようにブレイクビーツとして多いに活用できる。vol.1とVol.2のパーソネルとレコーディングは、Art Blakey(Drums)Philly Joe Jones(drums & Tympani)、Art Taylor (drums & Gong)、 "Sabu" Martinez(Bongo & Conga)、Ray Bryant、ChonguitoVicente(Congas)、Victor Gonzalez(Bongo)、Andy Delannoy(Maracas & Cencerro)、Julio Martinez(Conga & Treelog)、Fred Pagani Jr(Timbales)、 Donald Byrd(Trumpet)、Ray Bryant(Piano)、WendellMarshall(Bass)、Chants By Art Blakey,Philly Joe Jones,Sabu Martinez,Austin Cromer,Hal Rasheed。 Manhattan Towers, NYC, March 7, 1957。
vol2はvol.1よりもジャズ寄りのグルーヴが聴かれる。こうしたコンガなどを使ったアート・ブレイキーの他の作品には62年の「Art Blakey And the Afro-drum Ensemble」などがある。
25.ANDREW HILL/COMPULSION!!!!!(BST 84217)
アンドリュー・ヒルの音楽はブルーノートのミュージシャンのなかでも最も難解なものと言われセールスも良くなくレコーディングされても未発表ものが多くあるらしい。そういう理由なのか彼のブルーノートでの入手困難なアルバムが多い。残念なことに2007年4月20日午前4時に数年間患っていた肺がんのため自宅にて死去している。享年75才。本作「強制!!!!!」ではアフリカン・テイストのある現代音楽/フリージャズ的アプローチのドラマチックな音楽を展開している。個人的にはA1「Compulsion」、B2「Limbo」などの曲はハードバップとして捉えている。パーソネルとレコーディングは、Freddie Hubbard (Trumpet & Flugelhorn) 、John Gilmore (Tenor Sax & Bass Clanet)、 Andrew Hill (Piano)、 Cecil McBee (Bass) 、Richard Davis ((Bass) 、Joe Chambers (Drums) 、Nadi Qamar (African Drums, & African Thumb Piano)、 Renaud Simmons (conga)。 Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, October 8, 1965。
26.GRANT GREEN/GREEN IS BEAUTIFUL(BST 84342)
DJイングするときにギターやオルガン奏者のアルバムは出来るだけ避けているのだが、この「Green is Beautiful」は彼には珍しくトランペット、テナーサックスがセットされ、コンガやボンゴをフィーチャーしたパーカッシヴなラテンジャズが聴かれポップジャズとしてのテイストさえ持っている70年の作品で、これならなんとか使えるかも。(Grant Greenにはラテンミュージックをあつかった「The Latin Bit」という62年の作品もある)。ジャズがなし崩しにダメになっていった当時の中庸さが却ってクラブジャズとして適応していて、nu jazzとしての機能も引き出せる。パーソネルとレコーディングはJohn Acea (p) Grant Green (g) Wendell Marshall (b) Willie Bobo (d) Carlos "Patato" Valdes (cga) Garvin Masseaux (chekere) Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs。 NJ, April 26, 1962。
27.LOU DONALDSON/LIGHT- FOOT(BST 84053)
エレガントでロマンティックなアルバムだ。しかめっ面でジャズなど演奏していないルー・ドナルドソンの持つ和気藹々とした人間性も同時に収録されている。コンガという打楽器の音がいっそうそうした軽さを増幅させているのだろう。
パーソネルとレコーディングは、Lou Donaldson Alto Sax) 、Herman Foster (Piano)、 Peck Morrison (Bass) 、Jimmy Wormsworth (Drums) 、Ray Barretto (Conga)。Rudy Van Gelder Studio, Hackensac。 NJ, December 14, 1958。
28.FREDDIE HUBBARD/BLUE SPIRITS(BST 84196)
3管アンサンブルによるソウルフルな作品だが、Big Blackのコンガが使われている「Cunga Black」は現在のnu jazzやFinn Jazzの気配を持っていて、彼らがこうした曲に影響されていることが解り興味深い。B1「Outer forces」やB3「Jodo」のハードバップのフレディのソロには彼をフェイヴァリット・ミュージシャンにあげていたユッカ・エスコラのトランペットを想起する。艶のある甘いトランペットの音だ。パーソネルとレコーディングは、Freddie Hubbard (Trumpet) 、James Spaulding (Alto Sax & Flute)、Joe Henderson (Tenor Sax)、Kiane Zawadi (Euphonium)、 Harold Mabern Jr. (Piano) 、Larry Ridley (Bass)、 Clifford Jarvis (Drums) 、Big Black (Conga)、Hank Mobley(Tenor Sax)、McCoy Tyner(Piano)、Bob Cranshaw(Bass)、Pete La Rock(Drums)。Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs。 NJ, February 19, 1965。
29.HORACE PARLAN/HEADIN' SOUTH(BST 84062)
当時のジャズファンの間ではパーカッションが入ることにはかなりの抵抗感があり、パーカッションの"チャカ・ポコ"音は余計な装飾音、ジャズを軽くするものとみなされ毛嫌いされていたらしい。この「ヘッディン’・サウス」もニコラ・コンテやファイヴ・コーナーズ・クゥインテットの流れで使うと微妙にマッチするから不思議なものだ。パーソネルとレコーディングは、Horace Parlan (Piano)、 George Tucker (Bass) 、Al Harewood (Drums) 、Ray Barretto (Conga)。 Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, December 6, 1960。
30.ART TAYLOR/A.T.'s DELIGHT(BST 84047)
1929年4月8日 NY 生れ。Art Taylorはかって50年代ハード・バップ全盛時にArt Blakey and Jazz Messengers の対抗馬として、また JM や Horace Silver Quintet に続くファンキー集団としても注目された。当時彼は多くのハード・バップ・セッションに参加していて人気抜群 だったという。このアルバムA3「Move」のコンガのリズムが挿入されたハードバップはFinn Jazzのラテンチューンに続くグルーヴとして使える。パーソネルとレコーディングは、Dave Burns (Trumpet) 、Stanley Turrentine (Tenor Sax)、 Wynton Kelly (Piano)、 Paul Chambers (Bass) 、Art Taylor (Drums)、 Carlos "Patato" Valdes (Conga)。Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, August 6, 1960。