6/19に続く「MO WAX」レーベルARCHIVE
ARCHIVE 3
MO WAX-2
LIQUID LIQUID
81年に NYの「99」レーベルから3枚のシングルをリリースしていた LQUID LIQUIDの作品をコンピレッドして97年にWO MAXから再リリースされたアルバムと12インチシングル2枚。80年代初頭といえばニューヨークではトーキングヘッズ、「ZE」でのジェームス・チャンス+コントーションズ、LIZZY MERCIERなど、ロンドンでは「Y」レーベルでのPIGBAG、リップリグ・パニック、マンチェスターでは「ファクトリー」でのア・サーテン・レシオなどなど、当時のNEW WAVEの波を受けてファンキー・パンクとでも形容したい新たなダンス・ミュージックが数多く表出していた。80年代後半ー90年代にかけてのクラブカルチャーの始まりは実はこうしたNEW WAVEの表出と共に始まっていたのだ。「CAVARN」リミックス盤ではすでにスクラッチが使われている。NEW WAVEの本来の意味は、こうしたパンキッシュで実験的なダンスミュージックのことを指して言ったのだ。決してテクノポップやポップミュージックのことではない。
RIQUID RIQUIDのメンバーはSCOTT HARTLEY(Drums、Percussion、Talking Drum)、ICHARD MCGUIRE(Bass、Percussion、Piano、Alarm Bell、Guitar、Melodica)、SALVATORE PRINCIPATO(Voals、Percussion)、DENNIS YOUNG(Marimba、Roto Toms、Percussion)の4人から成り、このパーソネルをみてもマリンバのサウンドを基調にした多律動なパーカッション、リズム主体の音楽を展開していることが解るだろう。以前You TubeではLiquid Liquid の Cavern という曲がノーマン・マクラーレンと並ぶ実験アニメーションの始祖の一人オスカー・フィッシンガー(Oscar Fischinger)の1927年作品「酔っぱらい幻想(Spiritual Constructions)」が使われ流されていた(jaz' room nu thingsではすっかりおなじみの映像だが)。ほんとの音楽センスのいいオーディエンスとはRIQUID RIQUIDのような音楽を人知れず聴いている人のことを言うのだろう。
●LIQUID LIQUID/LIQUID LIQUID(MO WAX MW078LP)
●LIQUID LIQUID/CAVERN(The Cut Chemist Rocks A Rave In A Missile Silo Remix)+SCRAPER(Psychonauts Remix)(MW091)
●LIQUID LIQUID/Bell Head(Harvey's Liquid Head Re-Edit)(MW096)
MONEY MARK
MO WAXからリリースされた5枚の作品を聴いていると、FCQのドラマーでもあるテッポ・マキネンの「TEDDY ROK7」の音楽に直結していることをなぜか嬉しく思う。こうした音楽を聴いていた人間が時間の経過のなかで、いまや同じジャズの土壌で共通の志向や感性を持っていることの確認できることが嬉しいのだ。さて、マニー・マークは日系のハワイアンの父に持つデトロイト生まれで6歳に西海岸に移り住む。本名をマーク・ラモス・Nishitaという。以下は「push production」のアーティスト・ページには明解なマニー・マークのプロフィールが掲載されてあったので無断で抜粋/引用させてもらった。
『ビースティ・ボーイズの第4のメンバーとして知られたマニー・マーク。95年にMo'Waxから傑作デビュー・アルバム"Mark's Keyboard Repair"をリリース。「孤高の天才キーボーディスト」の登場に、世界中が騒然、瞬く間にメディアや音楽ファンの注目を一身に集める存在となる。続いて発表された"Push the Button"(98年)では、マークのボーカルをフィーチュアしたメロディアスな楽曲の数々と、ファースト・アルバムをはるかに凌ぐプロデュース・ワークの巧妙さで、キーボーディストとしての認知を大きく塗り替え、一躍「オルタナティヴ界最高のサウンド・プロデューサー/メロディー・メイカー」として確固としたポジションを確立することになる。騒然とする周囲を嘲笑うかのように、続いてリリースしたのが"C
hange Is Coming"(2001年)で、そのタイトルが示すとおり、これまでとは趣を異にする全編インストで構成されたアルバムであった。"Change Is Coming"のリリース後、自宅スタジオで次なるステップへ向けて黙々とレコーディングを続けてきたマークは、その間、映画やテレビのサウンド・トラックへの楽曲を数多く手がけることになる。もはや、マニー・マークは、本国アメリカではトップ・クラスのサウンド・プロデューサーとして知られる存在にまでなっているのだ。ジョニー・デップ&ペネロペ・クルス主演の「Blow」のサントラをマークが手がけたのは、大きな話題になった。それ以外にも、HBO(ケーブル・チャンネル)の「Family Bonds」というテレビ・シリーズのサントラを手がけており(米9月に放送)、「Along Came Polly」というベン・スティラーとジェニファー・アニストン主演の映画にも曲を提供し、さらには劇中のバンドのギタリストとしてゲスト出演もしている。そして、なんと現在制作中のレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのザックのソロ・プロジェクトには、キーボーディストとして全面参加。自身の作品以外にも、大きな話題となるコラボレーションが続々と登場している。』
http://www.moneymark.com/
初期のお宅的な風貌からいまではすっかり成功したミュージシャンならではの個性的な顔立ちに変貌している。
●MONEY MARK/MARK7S KEYBOARD REPAIR(MW034LP)
●MONEY MARK/THIRD VERSION E.P.(MW043MLP)
●MONEY MARK/MAYBE I'M DEAD(MW089)
●MONEY MARK/PUSH THE BUTTON(MW090)
ここでは省略しているが「Hand in Your Head」(MW066)というEPも98年にリリースされている。
SUKIA
96年発売の2枚組「コンタクト・エスペシャル・コン・エル・テーサー・サクソ」を聴いていると、チープなリズム・ボックスとサイケでスペイシーなムーグ・シンセとオルガンの音色がモンドとしての冗談っぽさを加味させていて、ここまで音楽で諧謔されると真剣に音楽を聴いていることのバカらしさすら感じる。ノイズやスカムの果てにきみが狂いたいなら、これしか残されていないんだよな。でもモンドには「粋」と「クールなエキゾチシズム」がなけりゃ、単なるバカ音楽だよ。
SUKIA/CONTACTO ESPACIAL CON EL TERCER SEXO(MW073)
SUKIA/GARY SUPER MACHO(MW081)
ATTICA BLUES
72年にIMPULSEからリリースされたArchie Shepのアルバム「Attica Blues」からとったというAttica Blues(アッティカ・ブルース)。ドラムンベースやトリップホップ/アブストラクト・ヒップホップを核にしたエジプト生まれの女性ヴォーカリストRobaを中心に据えた男女3人組ユニット。もしキミが当時、70-80年代のブリティッシュ・ロックのアイデンティティに固執して必死に情報を探していたなら、必然的に90年代はこのアッティカ・ブルースの音楽を聴いていただろう。だけど"失われた10年"というスッポリ抜け落ちた時代背景のなかで誰も情報を掌握していなかった。情報というのはサバイバルするための最も重いツールだからね。リアルタイムに掌握してこそ生かしも殺しもできるんだ。このMO WAXだってそうだ。クラブ・ミュージックという前にポストロックとしての意味合いが大きい。こうしたアッティカ・ブルースの流れは、いまではシネマチック・オーケストラなどに繋がっているんだ。
●ATTICA BLUES/ATTICA BLUES(MW080LP)
●ATTICA BLUES/3REE( A Means To Be)(MO WAX MW079)
97年リリース作品。ShowbizやAntipop ConsortiumやA2ではAs OneことKirk Degiorgioによるリミックス盤。
アッティッカ・ブルースのダウンでメランコリックな「ブループリント」や「テンダー」を久しぶりに聴いて、90年代中期のあの暗い世相を思い出した。そして未だ病んでるキミのことも。(人生なんて神が与えてくれたひと時の暇つぶしなんだ。楽しいことしなきゃ)。彼らは他にも4枚のEPを発表している。
ATTICA BLUES/BLUEPRINT(MW038)
ATTICA BLUES/BLUEPRINT REMIX(MW038R)
ATTICA BLUES/TENDER(MW067)
ATTICA BLUES/TENDER REMIX(MW067R)
ANDREA PARKER
磨り硝子のような半透明の紙に包まれた2枚組LP、ANDREA PARKER「KISS MY ARP」は1999年作。アンダーグラウンドのビョークというほど癖のあるヴォーカルではなくリリシズム溢れたポストロックとしてのインダストリアル・テイストあるアブストラクト/音響系サウンド。MO WAXからリリースされたもの以外の作品は聴いたことないが、最近では07年にも「Here's One I Made Earlier」などの作品を発表している。プロデューサー、サウンドメイキングなどすべてひとりで行う才女でもある。
●ANDREA PARKER/MELODIOUS THUNK(MW040)
●ANDREA PARKER/THE ROCKING CHAIR(MW045X)
●ANDREA PARKER/KISS MY ARP(MWR099LPX)
●ANDREA PARKER/THE UNKNOWN(MWR098)
LUKE VIBERT
90年代を通じてWagon ChristをはじめAmen AndrewsやPlug、Kerrier Districtなど主にドラムンベース/アブストラクトの作品を数多くリリースしていたLuke Vibert本人名義による1stアルバム。『Big Soup』のリリースは97年。ビートの魔術師と言われ、ここでのブレイク・ビーツ曲の数々は現在の彼の音楽に繋がるサイバー・エレクトロニカな世界が描かれているといえよう。彼の作品で最も印象的だったのは、95年にライジング・ハイ・レーベルから「Plug1-Visible Crater Funk」や「Plug2-Rebuilt Kev」「Plug3-Versatile Crib Funk」などの作品をピークに「DRUM'N 'BASS FOR PAPA」などをリリースしていた頃だろう。最近の作品はまるで聴いていないが、当時サンプリングを駆使し60ー70年代のムードミュージック、イージーリスニング、ジャズなどの素材をジューサーにかけるごとくエディトリアルし独自のドラムンベース・スタイルを構築した彼の存在はダントツに輝いていた。
●LUKE VIBERT/A POLISHED SOLID(MW035)
●LUKE VIBERT/DO UNTO OTHERS(MW071)
●LUKE VIBERT/BIG SOUP(MW027LP)
INNERZONE ORCHESTRA
MO WAXからのリリースではないが、Carl Craigの99年の作品10インチ4枚組の「PROGRAMMED」は大きなターニングポイントだった。それは現在のジャズのフィールドに向かう最大の契機を与えてくれた重要な作品だった。その後、カール・クレイグはHancockの「Future 2 Future」にも参加していたが、96年のMO WAXでの2枚の作品「BUGIN THE BASSBIN」を聴いたことによって、「ジャズ的なるもの」の試行が始まったといっていいだろう。ロック的な過去の音楽へのしがらみや未練をすっぱりすべて捨て去り淘汰できたのもこのINNERZONE ORCHESTRAの2枚のEPがあったからだった。記憶は不確かだが10インチでMO WAXから発表されたこのシリーズものも持っていたように思うが、レコード資料室で見つけられなかったので今回はパス。
●INNERZONE ORCHESTRA/BUGIN THE BASSBIN(MW049)
●INNERZONE ORCHESTRA/BUGIN THE BASSBIN-REMIX(MW049X)
UNKLE/QUANNUM
●UNKLE/BERRY MEDITATION(MW096)
●UNKLE/RACCIT IN YOUR HEADLIGHT(MW103)
●UNKLE/PSYENCE FICTION(MW085)
●QUANNUM/SPECTRUM(MWR110LP)
MO WAXからは他にもBLACKALICIOUSの「A2G EP」(MWR109)、「NIA」(MWR112LPX)、NIGO「APE SOUNDS」(MWR129LP)、DIVINE STYLES「WORDPOWER2:DIRCTRIX」(MWRLP122)、DJ MAGIC MIKE「THE JOURNEY ERA OF BASS PART 1」(MWR121LP1)などなどや、LA FUNK MOB「Casse Les Frontieres,For Les Tetes En L'air」(MW023)、PESHAY「Miles From Home」(MW092)、URBAN TRIBE「Eastward」(MW065)、AS ONE「Planetary Folklore」(MW083)、DR.OCTAGON「Dr. Octagon」(MW046LP)などもあるけれど、ここで全て掲載したいけれどこれくらいにしておく。詳しくはボクの出版した「INFRA vol.1/future talk about days of iberian blue」にすべて掲載してあるので、古本屋で探してチェックするか、近いうちに平日、jaz' room nu thingsでListening roomの日を設けるので興味ある人はレコードでも聴きにきてください。
TIMO LASSY/THE SOUL & JAZZ OF TIMO LASSY(RICKY-TICK/COCB-53656)
さて、アナログはまだ発売されていないので、CDでニッポンのみ先行発売されたTIMO LASSYの「THE SOUL & JAZZ OF」を買った。この太くてソウルフルなジャズは、クラブジャズと本来のジャズの間にある高い境界を超える初めての作品と言えるかも知れない。FINN JAZZも愈々面白くなってきたね。今日はこれでも聴いて寝ることにするよ。
Comment (2)
阿木さん、ご無沙汰しております。尾城です。
お元気にされておられますでしょうか?
素晴らしいブログを発信されていますね!
もうブログと言うよりも、ネットを使った新しい音楽雑誌ですね。
雑誌形態も阿木さんがされている様に、you tube等を使った
スタイルはとても直感的でわかりやすいですね。
しかし、阿木さんを初めてお見かけしたのは、もう25年ほど前で、テレビでブライアン・イーノを紹介されている時でした。あの頃は全く理解できませんでしたが・・・(笑)
あの頃からずっと変化されながらも、潜在意識的には何か、
一貫した何か?(言葉では言えないですが)にとても影響を
受けてきました。僕の音楽人生には、阿木さんの存在がなければ成り立たないと真面目に思っています。
スタジオボイス拝見致しました。もう、脱帽ですね。
このデザインを見たときに、あぁ、時代を超えて創造されているなぁと思いました。
話は変わりますが、新しい音楽は本当に当分でてきそうにないですね。まぁ、阿木さんが言われる様に、今は再構築の時代ですね。その中でも、以前nu thingsでかけておられた、
ハンクモブレーのハイ・ボルテージと言うアルバムの中の、
TWO AND ONEという曲やRicky tickのLTCなんかは、僕的には
新しく感じました。
今は少し距離が離れましたが、又色々ご指導下さい。
又、お店に遊びにいかせて頂きます!
いつも内向的でスミマセン(悲)
それではお身体にはくれぐれも気をつけて下さい。
失礼致します。
投稿者: 尾城九龍 | 2007年06月27日 02:02
日時: 2007年06月27日 02:02
尾城クン。コメントありがとう。
九州と大阪の往復生活をもうすっかりエンジョイしているようですね。最近は誰の曲のアレンジをしているのですか?
"現在はすべてが風に種子を蒔いて飛ばすようなもの"と「ジャズの世界」を書いたアンドレ・フランシスが言っていたけれど、新しい音楽が生まれないのは、音楽そのものよりも、それを創造する人間のほうがさきに壊れていて、志しやプライドを持って凛と立って生きている人がまるでいなくなってしまったことのほうが重大だよ。ボクが現在ジャズを聴くようになったのは、50年代−70年代のように、ジャズに特別な意味があると思ってではなく、都会に住んで『ジャズ的なるもの』に触れていると心が豊かになるからなんだ。また店にでも顔みせてください。近いうちにお会いしましょう。
投稿者: 阿木 譲 | 2007年06月27日 18:42
日時: 2007年06月27日 18:42