« Discard an axiom | Main | The inconsistency principle »

Don't break the silence

今週発売された新譜

(5月28日追加)
NILS KROGH/THINGS WE DO(DNMEP014)
スウェーデンのストックホルムにあるDNM(Dealers Of Nordic Music)でリリースされているレコードの全てがいいとは言えないが、ファイヴ・コーナーズ・クインテット効果ともいえる北欧やスカンジナビアン・ブームは今後もしばらくは続くだろう。我々が想像する以上にFCQ効果はスカンジナビアンのクラブシーンに波及し始めているようだ。このNILS KROGHのEP「Things We Do」もその効果の一端でDNMからリリースされたものだが、A2にJazzy Sport Crew(最近になっての東京のMasaya Fantasistaの精力的活動は凄いね)のダウンなヒップホップ・リミックスと、BサイドにトランペットにFebrizio Bossoをフィーチャーしたニコラ・コンテの4つ打ちハウスミュージック、ディープ・ジャズ・ワークが収録されていて、ユキミ・ナガノにも似たAnni Elifの美しいヴォーカルが聴ける。(先日下記に述べたアーティストが不思議とこの作品ではすべてが繋がってしまったね)。
http://www.dnmmusic.com/default.asp?page=home

ヨーロッパやイギリスでのレコードやCDの流通システムも、90年代から現在までTime Warpなど色々あったがこの2、3年の間に再び新しいシステムが構築されようとしている。それはクラブミュージックそのものが新しい時代に入ったこと、そして音楽そのもののあり方が再構築され問い直されているを意味している。
http://www.mconnexion.de/

NINJYA TUNE
●THE CINEMATIC ORCHESTRA/"Ma Fleur"
(NINJA TUNE ZEN122)
ハードケースに11枚の写真が収められた2枚組アルバム。添付された11枚のフォトすべてが、まるで時間が止まったかのような静謐な空気を撮らえていて、この写真を見ながらシネマチック・オーケストラの音楽を聴いていると、エントロピーがすでに死に向かい終息を迎える準備をしているかのように思える。ロウ・エモーショナルなメランコリック物語。これはブルース? フォーク? ロック? サウンドは相変わらずのシネマチック・オーケストラで、このアルバムでは特に2人の女性ヴォーカリストの存在にボクの意識がいってしまった。それほど歌を重視した作品だ。その1人はサイドDの「Breathe」でのヴォーカルのFontella Bassで、彼女はゴスペルシンガーであり95年にNonesuchレーベルから「No Ways Tired」などのソロアルバムも発表している。もう1人はサイドD2曲目「Time and Space」でのLou Rhodesで、97年から04年にかけてトリップホップやドラムンベースを展開していたユニット"LAMB"のメンバーで、ソロでは07年にCooking Vinylから「Beloved One」、06年に「Tremble」などの作品を発表していて、ポスト・ビョークとまでは言わないがいままで以上に頭角を現してくる予感がする。クラブジャズも最近はヴォーカルものの曲が多くなってきたが、クラブ系のダンスミュージック好きの人間はDJをはじめ多くが"歌をわすれたカナリア"のごとく自分の言葉を持っていない。クラブ系の音楽にジャーナリズムが確立されなかったり人々にクラブミュージックが充分認識されなかった要因のひとつだろうと思う。なぜこの曲に魅かれるのか、DJをしているのか? そう彼らに聞いてもなにも答えは返ってこない。しかしこのシネマチック・オーケストラのレコードを聴いているうちに、よくよく考えれば、なにもクラブというカテゴリーに固執して音楽を聴く必然性がもうないように思えた。ジャズもロックもクラブもなにもかもがジャンルレスの、それこそ真のポストモダンの時代がやっと今始まろうとしているのかも。ところで塩化ヴィニールでできたレコードというメディアは近いうちにすべてがCDに取って代わられるだろう。その時こそDJカルチャーは完全崩壊する。その日は近い。さて、6000yenもするこのシネマチック・オーケストラのレコードはもはや書物にも似たひとつのObject D'art。こうした美術品的方法か、または古いプレミアム価値の付いた貴重盤というフェティシズムを誘うしかアナログ・レコードメディアが今後果たす役割は残されていないだろう。

SCHEMA
●THE DINING ROOMS/INK EP1
(SCHEMA SCEP 429)
●THE DINING ROOMS/INK(SCHEMA SCLP4279)
スケマでのダイニングルームの音楽はジャズというと語弊がある。多くがラウンジかカフェ・ミュージック、またはポップス/ロックだ。最近のジャザノヴァ周辺でのSonar Kollectiveなどの動きも多くがロックやポップスだ。こうした音楽を某輸入レコードショップではジャズ/クロスオーヴァーと曖昧にジャンル分けしているが、もっと明確にラウンジ/ポップスと書くべきだ。でないとそれは詐欺だ。EP「INK EP1」はAサイドはSkwerlのリミックスしたハウスミュージックだし、Bサイドの2曲目の「Cobra Coral」はJuju Orchestraのリミックスしたアフログルーヴを持つジャズファンクで、2枚組アルバム「INK」での、ジャズサウンドを持つ曲は強いて言うなら「FATALE」と「COBRA CORAL」の2曲だけというように、買う人の身になってもっと丁寧に書いてあげるべきだと思うよ。EP「INK-EP2」(SCEP 4309)ももうすぐ発売される。こうしたレコード情報もYurTubeなどの映像で自分で確認するのが、間違った情報に振り回されない賢明な方法だろう。個人的にはスケマでもここらあたりは起きかけにお茶を飲んでいる時にバング・アンド・オルフセンのスピーカーから小さな音でBGM的に聴いていることが多い。
http://www.youtube.com/profile_videos?user=schemarecords

●BEAT OUT SHRINE/THE CHANT-PINKIE(SCHEMA SCEP 422)
Gerardo FrisinaとPaolo Fedreghiniのコラボレーション/プロデュースによるBEAT OUT SHRINEでのジャズファンクも太いポリリズム・グルーヴでクラバーをノセノセにして踊らせるにはDJ必携のEP。
●TOCO/GUARAPIRANGA GERERDO FRISINA REMIXES(SCHEMA SCEP 428)
アフロからラテン、ボッサ、ファンクまでのGererdo Frisinaによるこのリミックス盤もキミがDJなら必携のものだ。Gerardo Frisinaはこのニッポンではあまり評価されてないが、ラテン、アフロテイストを持ったnu jazzとしては、他の追従を許さない。それほど彼の作るポリリズムはポゼッションしている。もうすぐEP「Calle De Candela」とLP「Note Book A Journey In Soun」がスケマからリリースされるが、過去の作品は多くあり新譜ではないがいい機会なので05年の2枚組アルバム「THE LATIN KICKS」(SCLP395)と04年のEP「Gerardo frisina blends Sabu Martinez 6 Sahib Shihab」(SCEP 381)を紹介しておく。

Gerardo Frisinaが関係したミックスものにExotic nujazz Comboの"Mop Mop"があるが、いかに彼がセンスあるアーティストであるか。これをみれば分かる。
http://www.mopmop.com/
http://www.youtube.com/results?search_query=gerardo+frisina&search=Search
http://www.myspace.com/andreabenini

ミラノにあるスケマ・レーベルに関する情報は下記ホームページでどうぞ。
http://www.ishtar.it/

●MARIO BIONDI AND THE HIGH FIVE QUINTET/HANDFUL OF SOUL(SCEMA SCLP 406)
イカつい大男だが甘いロマンティックな世界を歌うジャズ・ヴォーカリスト、マリオ・ビオンディとハイ・ファイヴ・クインテットの共演作。ボクはマリオのヴォーカルよりもバックのHFQのトランペット、フリューゲルホーン奏者のファブリツィオ・ボッソやテナー・サックスのダニエル・スカナピエコに魅かれてこのアルバムを買ったのだが、全12曲中ボッソが7曲 ( M-3, 5, 6, 7, 8, 10, 11 )、スカナピエコが6曲 ( M-4, 6, 7, 9, 11, 12 )ソロをとっていて全体的にはニコラのジャズボッサ/スケマサウンドというより、もっとインプロ重視のジャズ寄りのグルーヴをプレイしている。マリオ・ビオンディはイタリアのマーク・マーフィーか?
下記のYouTubeではボッソやスカナピエコのソロもみられるよ。
http://www.youtube.com/watch?v=5IzccDy94Zg

JAZZY SPORTS
●NSM PRESENTS :THE HYPE EP1
(jazzy sport jsv-026)
4つ打ちハウスをDJイングしているダサいDJは腐るほどいるのに、ウェストロンドンのブロークンビーツをDJイングしているDJをみたことがないのはなぜだろう? それがとても不思議でしかたない。このEPはウェストロンドンのニュー・セクター・ムーヴメンツ/IGカルチャーの新譜なのだが、ヴォーカルにナイジェリア出身のASA OF LOGOSをフィーチャーし全編ダウンなまるでアフリカの土着民たちが狩りにいく前に戦意を高めるかのように徐々に高揚していく魔術的で不思議な緩いグルーヴを持ち、ポスト・ブロークンビーツとしての nu hiphopと形容したいほどにボクは興味を持った。
●THE SA-RA CREATIVE PARTNERS PRESENTS:SONIC SEDUCTION,VOL.1(Jazzy Sport jsv-024)
ジャジー・スポーツ・レーベルでの作品は、この2枚が初体験だが、このタイトでルーズな緩い4拍子のグルーヴはひょっとするとクラブでのアフロ・ステップとして新しいスタイルのダンスミュージックを生み出すかも知れない予感がする。それほどこのグルーヴは未知の感覚、斬新なジャズ・グルーヴでとても新鮮だ。これらの仕掛け人は東京の"Jazzy Sports"だが、彼らのような存在がいることを思うとニッポンのクラブカルチャーもまだまだ捨てたもんじゃないかも。

Trackback

http://www.nu-things.com/mtcgi/mt-tb.cgi/17

Comment (2)

S.HIGASHIYAMA:

はじめまして!いつもブログ楽しく拝見させていただいてます。nujazzって想像力や創造力をかきたててくれる、唯一の音楽だと思います!僕はDJでもミュージシャンでもありませんが、時代の先を読み、どう言う解釈をするか、これほどリスナーに感じるノリシロを与えてくれてる音楽って他にないと思います。そう言えば、ニコラ コンテもジャズは、温故地新だ!って言ってましたよね。いつもブログで、まだまだ知らない事が多いな、と実感してます!。いろいろな事、教えてくれて、ありがとうございます!また、時間を作ってお店に遊びに行きたいと思っています!
追伸 この前の本音、身に染みました。

AGI yuzuru:

先日のGREEDY BUGS IN THE ARCHIVE Vol.1は両日合わせて20人弱のギャラリーしか集客できなかった。情けない話だ。でもまあ、そんなものだろう。漫画や映像文化にみられるように、音楽もまたいまやJPOPのように国産ものが海外から発生する情報を上回る勢いを持っていて、輸入音楽市場なんて1000枚から3000枚を売るのに必死になっている状況で、そんななかで10年前のイギリスの音楽情報、クラブシーンなんて誰も興味を持っていないことが、これで証明された。次回予定している「MO' WAX」レーベル特集もやめるつもりだ。しかし当日顔をみせてくれたお客さんは、ほんとに音楽好きで知的な人が多かった。それだけは唯一胸を張れる。ここでお礼を言っておきます。当日の感想をsongofsummerさんとsuguyaさんがブログで取り上げてくださっているので参考に。
http://corbusier.exblog.jp/
http://page.sgy3.com/index.php

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2007年05月22日 03:53に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「Discard an axiom」です。

次の投稿は「The inconsistency principle」です。

→Main Page
→Archive Page

Powered by
Movable Type 3.35